中小・小規模企業の経営者や後継者の方と話す機会がありますが、 若い人と創業者世代の方との考え方や価値観に大きなギャップがあることが悩みであることが結構あります。
私も、実体験として日々そのことを感じています
私たちの父親世代は、モノが不足していた時代の中で、テレビや車、さらには組織や組合の中での地位を所有することを目標としてきました。
それは、戦後復興、高度経済成長期の中で、日本の中で成立する「社会的構造」が存在していたからです。
中小・小規模企業も大企業の下請けや公共事業の恩恵を受けてくることができましたが、今では、大企業も地方自治体も中小企業を支える余裕はなくなってきています。
日本のお家芸だった自動車や家電といった製品メーカーも世界の中でのシェアを急速に低下させています。端的に言えば、自分たちの技術に固執したり、政府の財布に依存してきたツケが今頃回ってきたのだとと思います。
年功序列、終身雇用、企業内組合といった伝統的な「制度」は形を変えつつありますが、いまだ業界や国の古い「規制」が新しい変化を阻害しています。既得権益にすがる抵抗勢力の圧力もすごいものです。社会保障や税についても制度疲労しているのは周知の事実です。
一方、私も含めた現在の20〜30代くらいの人たちは、経済は安定時代(低迷とは言っても世界の中ではまだ高い方)の中で生きてきて、安く、早く、品質も高い製品・サービスにずっと接してきました。モノが与えられる世の中で生きてきました。
お金やモノで自分や自分の会社を豊かにしたいという価値観から、自分が共感する人たちとつながりたい、その人たちには余分にでもお金を支払い、社会を良くしていきたい、という価値観へシフトしてきているのではないかと思います。昨年の大震災がその価値観へのシフトを決定づけました。
そうは言っても、まだまだ創業者世代と若者世代との間では、意見や価値観に大きな相違が見られることはあります。でも、それは対立するものではないし、双方が歩み寄っていくしかないと思います。若い人たちの思い、今の経営層が無下に拒むのではなく、サポートしていく流れになっていってほしいものです。
個別の論点だと、今の経営層には理解できないものもあるかもしれませんが、それは、「社会をより良くしていきたい」という点では変わらないと同じなんだと認識してほしいです。
みんながこのままではマズいということは分かっている。でもどこか、人任せで、風任せ。
批判、不平不満、傍観だけしていては、状況は何も変わらないです。
行動しない人に他人を批判する権利はないと思います。
私も、日々の仕事に忙殺されてしまいますが、その中でも、少しでも社会のためにできることをしていかないといけないと思っています。
それは、仕事そのものを社会的価値の向上につなげてもいいでしょうし、仕事以外のことでもいいと思います。
橋下大阪市長に代表されるように、社会の「構造」「制度」そのものを変えていくことが日本全体の経済力、国際競争力を底上げしていく方法だと思いますが、それは誰にでもできることではありません。
まずは、自分の周りに起こっていることに関心を持ち、首を突っ込み、考えを発信していく ― 地域コミュニティーやSNSで自分の意見を他の人と共有する、ボランティアに参加する、なんでもいいと思います。世の中に役立つことをすれば、自分もいい世の中に住めるのですから。
少子高齢化が進み、経済が成熟、国債は膨張、既存の制度は疲弊し、資源が乏しい日本という国は、外国にとっても注目している存在です。数年から数十年先に似たような状況に陥る可能性があるからです。
一番先を進む者は、前に何もないので、自分で考えて、針路を決めていくしかありません
