サービス品質をKPIで管理する[2010年11月26日(Fri)]
今日の日経MJに、「ドクターシーラボ 通販コールセンター強化 ― 電話の待ち時間短縮、優良顧客の専用回線」とあった。
顧客の利便性向上のためのシステム刷新など、3年以内に約30億円の設備投資するらしい。会社の中計を見ると、通信販売においては、
「売上高 9,000百万円増を目指す」
通販化粧品市場において、お客様接点における対応スピードを最速に
↓
お客様との絆を強固に 〜応対品質の細分化・高度化・最適化〜
↓
継続的な当社商品・サービスのご愛用
とある。また、チャネル戦略、顧客戦略の基本方針も明示されている。
現場の社員が行動できるまで、会社の仕組みがどこまで作りこまれているかは分からないが、通販コールセンターの強化は、会社の戦略に沿った重要な取り組みテーマなのだろう。
サービス品質の維持・向上と従業員への動機づけのためにもKPI(重要業績評価指標)の設定は重要となる。結果、顧客満足度と売上の向上にもつながる。
以前、ある大手企業向けにコールセンターの顧客満足度評価モデルを作成したことがあるが、KPIを考えるにあたっては、お客の視点に立てば
・電話番号を見つけやすい
・電話につながりやすい
・音声が聞こえやすい
・オペレーターが質問に対して早く、丁寧に答えてくれる
といったニーズに対して
・応答率
・放棄呼率
・平均応対時間
などを設定する。また、ミステリーコールやインターネット調査などを使って、
・スタッフの知識レベル
・スタッフの言葉づかい
・クレーム回数
なども数値化し、総合的な顧客満足度指標を作成することもある。
そのときに、顧客のタイプと提供する経験価値は何かをしっかり定義しておくことが大切である。
ただ、今までKPIを導入した企業を見てきて感じるのは、KPIを綿密に設計しすぎてはうまくいかないことが多い。
目標とKPIの因果関係の希薄さ、KPI管理の複雑さ・面倒さ、KPIの趣旨徹底の甘さなどがおもな原因だが、全社員が追うべきKPIの数は極端な話1つでもいい。とことん突き詰めて考えると重要なKPIというのは集約されるからだ。社員のベクトルを集中させる意味でも、多くても3〜5個くらいまでだろう。
KPIは、継続的に定点観測すべきものと、そうでないものが出てくるので、定期的に見直すとよい。それが社員が自社のサービス向上の先にある真の目的は何かを考えるよいきっかけになるからである。