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京都フォーライフ〜「自信」と「誇り」をもって働くために〜
NPO法人京都フォーライフの公式ブログ
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支えられて気付いたこと[2026年07月27日(Mon)]
私事ではありますが、少し前に足を骨折し、しばらくの間、思うように動くことができない生活を送ることになりました。
普段であれば何気なくできていた一つひとつの動作が、思いのほか大きな負担となり、生活すること、そして働くことの大変さを、あらためて身をもって感じる日々でした。
やりたいことが思うようにできないもどかしさ。
ほんの些細なことにも時間がかかってしまう自分への苛立ち。
そうした感情と向き合う中で、不自由さとは身体の痛みだけでなく、心にも静かに重くのしかかるものなのだと感じました。

連日の猛暑の中、少し外に出るだけでも体力を奪われるような日が続いています。
そのような厳しい暑さの中でも、従業員(利用者)の皆さんは、それぞれの持ち場で黙々と、そして誠実に仕事に向き合ってくださっています。
そんな皆さんから、私の怪我を気遣う温かい言葉をかけていただきました。
「大丈夫ですか」「無理しないでくださいね」
何気ない一言ではありますが、その言葉の一つひとつが、思うように動けない日々の中で、私の心をそっと支えてくれました。
誰かが自分のことを気にかけてくれている、その安心感が、心細さや不安をやわらげてくれることを、今回あらためて実感しました。
従業員(利用者)の皆さんには、心より感謝しています。

同時に、この経験を通して、私たちの職場にも、日々の生活や仕事の中で、周囲からは見えにくい不自由さや、言葉にしにくいやりにくさを抱えながら働いている方がおられるのだということを、あらためて深く考えさせられました。
自分一人でできていると思っていた日々の営みも、実は多くの人の支えや配慮の上に成り立っています。
その当たり前のようで、決して当たり前ではないことに気づかせてくれた今回の経験を、単なる自分自身の出来事で終わらせてはいけないと感じています。
従業員(利用者)の皆さんが安心して働き、自分の力を少しずつでも発揮していける職場であるために、私たちは一人ひとりの困りごとに丁寧に目を向け、不自由さを少しでも取り除いていく努力を続けていかなければなりません。

働くことは、ただ作業をこなすことだけではありません。
誰かに必要とされること。自分にも役割があると感じられること。
そして、今日もここに来てよかった、ここで働けてよかったと思えること。
その小さな積み重ねこそが、やがて一人ひとりの「自信」となり、働くことへの「誇り」へとつながっていくのだと思います。
今回、皆さんからいただいた温かい言葉への感謝を胸に、これからも一人ひとりの小さな声に耳を澄ませながら、誰もが自分らしく、安心して働ける環境づくりに努めてまいります。
働く力の芽生え[2026年07月20日(Mon)]
今年の4月、京都フォーライフに2名の新人従業員(利用者)さんが仲間入りしました。
そのうちのお一人に、Dさんという方がおられます。
入ってこられたばかりの頃、Dさんは毎日のように 「足が痛いなぁ。座って仕事がしたいなぁ」 と口にされていました。
おそらく、身体に障がいがある方が 座って作業されている姿を見て、“自分も座って仕事をしたい” という思いにつながったのかもしれません。
けれども、その方が なぜ座って作業されているのか、そこにはどのような事情や配慮があるのかまでは、Dさんにはまだ分かりにくかったのだと思います。
そこで私は、一つひとつ言葉を選びながら、その理由を説明しました。
それから「座りたい」と言われることは少なくなりましたが、それでもしばらくは「足が痛い」「今日は何時に終わる?」という言葉が続いていました。
新しい環境に慣れること、働く時間の流れを体で覚えること、そして「仕事をする」という日々のリズムを身につけていくことは、Dさんにとって決して簡単なことではなかったのだと思います。

ところが、ここ最近、そのような言葉を耳にすることが少なくなってきました。
“少しずつ、この場所で働くことに慣れてきたのかな” そう感じ、うれしく思った矢先のことでした。
作業中に ふと歌を口ずさんだり、大きな声で笑ったり、思いがけない言葉が飛び出したりすることがあります。
Tさんは独り言の声が大きくなることがあり、周囲の方から注意を受ける場面もあります。
けれども、注意されたことに深く落ち込むというより、しばらくするとまたいつものDさんに戻っていきます。
そのたびに、「大きな声が出ると、まわりの人はどう感じるのか」「仕事をしている人の集中にどんな影響があるのか」 を、できるだけ分かりやすく伝えるようにしています。もちろん、一度説明したからすぐに変わる、というものではありません。
伝えて、待って、また伝える。
その繰り返しの中に、支援の難しさと大切さがあります。
それでも、Dさんの姿を見ていると、確かに成長している部分がたくさんあることに気づかされます。

成長の歩みは、人それぞれです。
すぐに形になって見える成長もあれば、周囲には分かりにくいほど小さな変化として現れる成長もあります。
Dさんにとって、社会人としての立ち振る舞いやマナー、職場のルールを学んでいく日々は、これからも続いていきます。
私たちはその歩みを急がせるのではなく、Dさん自身が少しずつ『働くこと』の意味を感じ、自分の力でできることを増やしていけるよう、そばで見守り、支えていきたいと思います。

「朝が弱いんです」[2026年07月13日(Mon)]
「朝が弱いんです」
遅刻が続いていた従業員(利用者)さんから、何度も聞いてきた言葉です。

従業員(利用者)のCさんは、これまで午前9時 作業開始の事業所に通所していました。
しかし今回、午前8時 作業開始の事業所へ異動することになり、「朝の出勤が不安です」と心配そうに話していました。
ところが、実際に通勤 が始まってみると意外なことが起こりました。
8時の勤務開始には問題なく間に合っているのです。
ところが、7時50分から始まる朝礼には間に合わない。
以前の事業所でも同じでした。
9時の作業開始には間に合うものの、8時50分からの朝礼には遅れてしまう。
開始時間が1時間早くなっても、“遅れるタイミング” だけは変わらなかったのです。

その姿を見ていて、私はあることに気づかされました。
もしかすると、Cさんの課題は 『朝が弱い』 という単純なものではないのではないか、と。
起きることはできている、出勤もできている、
けれど、その間に何か目に見えない壁が存在している。
出発前の決まったルーティンかもしれません。
身支度への強いこだわりかもしれません。
不安な気持ちを落ち着かせるための時間なのかもしれません。
あるいは、自分でも気づかないうちに抱えている緊張や負担感なのかもしれません。

私たちは時として、「結果」だけを見てしまいます。
遅刻をしている、 時間が守れない、、もっと早く動けばいい。
支援者であっても、ついそのように考えてしまうことがあります。
しかし、その行動の背景には本人にも説明できない理由が隠れていることがあります。
本人自身が困っているにもかかわらず、なぜそうなるのかが分からない。
だから周囲も理解できず、本人も責められているような気持ちになってしまうのです。

私たちの仕事は、表面に見えている行動を評価することではなく、その奥にある「なぜ」に寄り添う仕事なのだと思います。
何に時間がかかっているのだろう。 どの場面で立ち止まってしまうのだろう。 何が不安なのだろう。 どんな支援があれば安心できるのだろう・・・
答えはすぐには見つかりません。
だからこそ、本人の言葉に耳を傾け、小さな変化を見逃さず、一緒に探し続ける。
その積み重ねの中で、ようやく見えない壁の正体が少しずつ姿を現してくるのだと思います。

雨の日の出勤に思う[2026年07月06日(Mon)]
梅雨の季節を迎え、雨の日が続いています。
今年は特に大雨による警報の発表や、電車・バスなど交通機関の乱れが目立ち、「今日は無事に来られるだろうか」と心配になる日も少なくありません。
そんな日でも、従業員(利用者)の皆さんはそれぞれの状況を自ら判断しながら出勤してきます。
電車の遅延や道路状況の悪化により到着が遅れる時には、必ず連絡を入れてくれます。
当たり前のように思えるかもしれませんが、その一つひとつの行動の中に、大切なものを感じます。
もちろん、何よりも大事なのは安全です。
危険を冒してまで来てもらいたいわけではありません。
しかし、天候が悪く、いつも通りに動けない状況の中であっても、「今日は仕事がある」「自分には役割がある」と考え、責任をもって行動してくれる姿には深い敬意を覚えます。

福祉施設の現場では、できることやできないことに目が向きがちです。
しかし、本当に大切なのは、その方がどのような思いで社会とつながろうとしているか、ということだと考えます。
誰かに言われたからではなく、自分で考え、自分で決めて行動する。
その積み重ねが「自信」につながります。
そして、「私は社会の一員として働いている」「誰かの役に立っている」という実感が、「誇り」を育てていくのだと思います。

雨の日の出勤は、決して特別な出来事ではないかもしれません。
しかし、その何気ない一歩の中には、自立への挑戦や働くことへの責任感、そして自分の人生を自分で歩もうとする強い意志が込められています。
私たち支援者は、ともすれば成果や結果に目を向けがちです。
けれども、本当に心を動かされるのは、こうした日々の何気ない姿です。
濡れた傘をたたみ、「おはようございます」と事業所の扉を開けるその姿に、私は働く人としての「誇り」を見ます。
梅雨空は、ときに私たちの足を重くします。
しかし、その雨の中を歩いてくる一人ひとりの姿は、むしろ私たちに大切なことを教えてくれます。

「働く」ということは、単に作業をこなすことではありません。
自分の役割を信じ、誰かとの約束を守り、社会とのつながりを感じながら生きることです。
雨の日に見える従業員(利用者)の皆さんの責任感と誠実な姿は、私たち支援者にとっても大きな学びです。
そしてその姿こそが、「自信」と「誇り」をもって働くことの本当の意味を静かに語ってくれているように思います。
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