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京都フォーライフ〜「自信」と「誇り」をもって働くために〜
NPO法人京都フォーライフの公式ブログ
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冬の荒天に[2026年02月23日(Mon)]
今月 初旬の『大寒波』、
凍てつく風と降り積もる雪・・・
京都のまちも、いつもの表情を失い、交通機関は乱れ、道路は凍結し、日常は一瞬にして“非日常”へと変わりました。
幸いにも、京都フォーライフにおいては大きな被害はなく、各事業所は通常通り稼働することができました。しかしその「通常通り」の裏側には、決して当たり前ではない、一人ひとりの大きな努力がありました。

積雪や凍結により通勤が困難となる中、従業員(利用者)の中には、出勤を断念せざるを得なかった方もおられました。
それもまた、命と安全を守るための大切な判断です。
それでもなお、半数以上の従業員(利用者)の皆さんが、「どうすれば行けるだろうか」と通勤手段を模索し、出勤してくださいました。
中には、あの路面状況の中を1時間以上かけて徒歩で来られた方もおられます。
社会一般で見れば、「出勤する」という行為は当然のことと受け止められるかもしれません。
けれども私は、その “当然” の重みを、改めて深く考えさせられました。

身体に障がいのある方とって、平常時の歩行でさえ、私たちが想像する以上に神経を使い、体力を要するものです。
一歩一歩、転倒の危険と隣り合わせで歩いておられます。
それが凍結した路面となれば、その緊張感は何倍にもなります。
その中で出勤された姿は、私には誇り高く、そして尊いものに映りました。
また、知的障がいや精神障がいのある方の中には、見通しの立たない状況に強い不安を抱える方、日々のルーティーンが崩れることに大きなストレスを感じる方もおられます。
交通機関の乱れ、いつもと違う道順、時間の変更・・・
それら一つひとつが、大きな心理的ハードルとなります。
そのような状況下で、臨機応変に判断し、行動し、出勤する。
それは決して「並大抵」のことではありません。
私は支援員の一人として、そして一人の人間として、
あの日出勤してくださった皆さんを、心から誇らしく思い、深い敬意を抱いています。

同時に、気づかされました。
健常者とされる私たちにとっての「当たり前」や「常識」は、
誰かにとっては、大きな壁であり、乗り越えるべき山であるかもしれないということ。
日々の支援の中で、
知らず知らずのうちに、自分たちの基準を “普通” として押し付けてはいないか。
できない理由よりも、できるための工夫に目を向けられているだろうか。
あの雪の日、皆さんの姿は、
支援する側である私たちにこそ、大切なことを教えてくれました。

「その人の目線に立つ」ということ。
それは言葉にするのは簡単ですが、実践することは容易ではありません。
だからこそ、
あの日の光景を忘れずにいたいと思います。
困難な状況の中でも、
自ら考え、選び、行動された皆さんの姿を胸に刻みながら、
これからも、“私たちの常識” ではなく、
“その人の現実” に寄り添う支援を心がけてまいります。
あの大寒波の一日が、
私たちにとって、支援の原点を見つめ直す大切な機会となりました。

自信の源[2026年02月16日(Mon)]
Iさんは、愛嬌があり、人懐っこく、自然と周囲を和ませてくれる存在です。
その笑顔に、どれだけ多くの従業員(利用者)や職員が励まされてきたことでしょう。誰からも慕われる、その理由がよくわかる方です。
そんなIさんの支援に入った日のことです。

ラックに商品を積み上げる作業で、担当支援員が「横と同じ積み方をしてください」と声をかけ、その場を離れました。
一見、難しい指示ではありません。
けれど、その瞬間のIさんの表情に、私は小さな “揺らぎ” を感じました。
どこか戸惑いを含んだ、わずかな不安。
笑顔の奥にある、迷いのようなもの。
すぐに手を差し伸べることもできました。

けれど私は、あえて一歩引き、見守ることにしました。
しばらくして、Iさんは自ら小さな声で「わからない」と言いました。
その一言は、決して弱さではありませんでした。
それは、「わからないままにしない」という、勇気ある選択だったのだと思います。
よく見ると、商品が積まれていること自体は理解できています。
けれど、「なぜその形になるのか」という仕組みの部分が、心の中でまだ整理できていない――そんな状態のように感じました。

私は、答えを先に示すことをしませんでした。
代わりに、「いくつ乗っているかな?」と一緒に数え、
「どんな形になっているかな?」と、ゆっくりと言葉にしていきました。
急がなくていい。
時間がかかってもいい。
まずは、自分の力で考えてみよう。
そう伝えたとき、Iさんの表情が、ふっと柔らいだのを覚えています。
そして――
「わかった。」
その声は、小さいけれど、確かな自信を帯びていました。
手を動かし、形を整え、積み上げる。
やり終えたときのIさんの顔は、先ほどまでの不安が嘘のように晴れやかでした。
「できた。」
その一言には、単なる作業の成功以上の意味が込められていたように思います。

“わかった上で、できた”という実感。
自分の力でたどり着いた答えへの、誇り。
その姿は、とても美しく、胸が熱くなりました。
後に、担当支援員とこの出来事を共有しました。
「できるはず」と思っていることでも、表情や空気のわずかな変化に目を向けること。
本当に理解しているのか、それとも、わからないまま頷いているのか。
その“もう一段深いところ”を見つめる視点の大切さを、改めて確認しました。

支援に携わる私たちは、ともすれば「できる・できない」という結果で判断してしまいがちです。
けれど本当に大切なのは、“どうやって、そこにたどり着いたのか”
自分で考え、迷い、そして「わからない」と言えたこと。
時間をかけて理解し、「わかった」と言えたこと。
そして、「できた」と胸を張れたこと。
その一つひとつが、Iさんの確かな成長の足跡です。

支援員によって見え方が違うこともあるでしょう。
だからこそ、日々の支援を共有し、語り合い、互いの視点を重ねていく。
その積み重ねの中で、一人ひとりの「本当の力」を丁寧に見つけていく。
できたことを、心から認めること。
その瞬間を、共に喜ぶこと。
Iさんの「できた」という笑顔は、
支援とは何かを、静かに、そして確かに教えてくれました。
答えを与えることではなく、
“わかる瞬間”に寄り添うこと。
その尊さを、私はあの日、改めて胸に刻みました。
つらいお別れ[2026年02月09日(Mon)]
これまで、京都フォーライフでの事業に関わる中で、
病気や事故により、あまりにも突然のお別れを迎えることになった方が、何人もいらっしゃいました。
ふとした瞬間に、その方の笑顔や声、何気ないやり取りが胸によみがえり、
「もう一度会えたなら」――そんな思いが、今も心を離れません。 

昨年度から取り組んでいる 「高齢者向け配食サービス事業」においても、
残念ながら、同じようなお別れを経験することがあります。
昨日まで、元気に言葉を交わしていたお客様。
「また明日ね」と手を振ってくださった、その“明日”が訪れないことを知ったとき、
配達に携わるスタッフの胸に去来する思いは、言葉に尽くせないものがあるでしょう。
調理を担当している従業員(利用者)の皆さんにとっても同じです。
これまで毎日のように目にしていた、お一人おひとりのお名前の札。
その札が、ある日 静かに姿を消した理由を知ったとき、
胸の奥に、ぽっかりと穴が空いたような寂しさを覚えていることと思います。

人は誰しも、いつか必ず別れの時を迎えます。
そう頭では分かっていても、
やはり「お別れ」は、何度経験しても、慣れるものではありません。
それでも――
今日も変わらずお会いできるお客様がいらっしゃる。
今日も、温かい食事を心待ちにしてくださっている方がいる。
その一食が、誰かの一日を支え、
そのひとときが、ささやかな安心や楽しみにつながることを願いながら、
メンバーは今日も、心を込めてお弁当を作り、届けています。
どうか、その想いと歩みを、温かく見守り、応援していただければ幸いです。

仕事場のシンフォニー[2026年02月02日(Mon)]
青果市場での施設外就労に従事している従業員(利用者)のWさん。
先日、作業場の様子を見に行った際、ふと 視線が留まり、私は思わず 彼女の仕事ぶりに しばし くぎ付けとなりました。
無駄のない動きで、次から次へと作業をこなしていく姿。
その所作は あまりにも滑らかで、何か 大きな楽器でも演奏しているかのような しなやかささえ感じられました。
そして何より、その表情からは 「働くこと」 そのものを楽しんでいるような、静かな充実感が にじみ出ていたのです。
そんな驚きに包まれながら、ふと周囲に目を向けてみると、
そこには Wさんだけでなく、他の従業員(利用者)の皆さんが、それぞれの持ち場で、同じように テキパキと作業に取り組む姿がありました。
誰一人として手を抜くことなく、自分の役割を理解し、黙々と、しかし 確かに誇りをもって働いている。
これまで何度も目にしてきた、見慣れたはずの作業風景、
その日は、不思議と それがまったく違って見えました。
一人ひとりの動きが重なり合い、呼吸を合わせるように進んでいく様は、まるで 皆さんが奏でる“シンフォニー”のようで、そこには言葉では言い尽くせない、どこか崇高なものさえ感じられました。

障がいがある方たちの就労支援に携わる私たちは、失敗が起きないように,生産性を少しでも高められるように,という思いから、どうしても 「課題 」や 「できないこと」 に目を向けがちです。
知らず知らずのうちに、「課題」を見つけ出すこと自体が 目的になってしまうことさえあります。
けれど、その日 私が目にした光景は、そうした視点だけでは決して出会えなかった風景でした。
一旦 立ち止まり、「評価」や「分析」から 少し距離を置いて眺めてみたとき、そこには「支援される存在」ではなく、確かに “働く 一人の担い手” として、その場を支えている皆さんの姿がありました。

人は、視点を変えたときに 初めて見えてくるものがあります。
Wさん、そして 青果市場で働く従業員(利用者)の皆さんは、そのことを 静かに、しかし 力強く 教えてくれたように思います。
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