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京都フォーライフ〜「自信」と「誇り」をもって働くために〜
NPO法人京都フォーライフの公式ブログ
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熊出没[2025年11月24日(Mon)]
ここ数日、朝晩の空気がぐっと澄みわたり、季節は迷いなく冬へと歩みを進めています。
私が担当する施設外就労の現場は、いま繁忙期の真っただ中です。
現場では、まだ半袖で汗を流す仲間の姿も見られますが、どうか皆が体調を崩すことなく、この季節の変わり目を乗り切ってほしい−−そう祈る日々です。
従業員(利用者)の皆さんは、それぞれの役割を懸命に果たし、静かな熱をもって働いておられます。
その姿は、いつ見ても胸を 熱く打つものがあります。

一方、近頃は全国各地で熊の目撃情報が相次ぎ、京都府内、そして事業所にも程近い宇治市周辺でも報道が続いています。
通勤時、作業現場、そして日々の暮らしの中で、“もし遭遇したら”という不安が、従業員(利用者)の方々の心を覆いはじめています。
ある従業員(利用者)は、久しぶりの公休日に「出かけたいけれど、熊が怖いから今日は家で過ごします」と職員に話されました。
不安を抱え、休日さえ心から解放されない−−その言葉には、静かな諦めと、守りたい日常への願いが滲んでいます。
また別の方は、万が一遭遇した際にどのように身を守ればよいか、真剣に私たち支援員に相談されていました。
危険をただ恐れるのではなく、向き合い、乗り越えようとする姿勢に 小さな畏敬を抱きます。

本来、働く人の暮らしは、安心と希望に満ちていてほしい。
通勤路が命の危険と隣り合わせであってはならない。
当たり前であるはずの日常が脅かされている現状に、戸惑いと切なさを覚えます。
どうか一日も早く、この地域に穏やかな季節が戻りますように。
そして従業員(利用者)の皆さんが、心おきなく外を歩き、笑顔で働き、生き生きと生活できる環境が整いますように。
願いはただ、その一点です。
ニュース番組の取材[2025年11月17日(Mon)]
先日、私が担当する事業所にニュース番組の取材が入りました。
その日は、朝から工場に いつもとは少し違う緊張感と、どこか誇らしいワクワク感が漂っていました。

取材を受けてくれたのは、ふたりの従業員(利用者)、
作業中はいつものように穏やかな笑顔で冗談を交わしていたのに、カメラが向くと表情が一変します。
背筋を伸ばし、真剣なまなざしで質問に向き合っておられました。
言葉を選びながら、ひとつひとつの問いにしっかりと応えているその姿に、
“彼らを支援しているつもりでいたけれど、むしろ私のほうが教えられている”
ふと そんな思いがこみ上げ、胸が熱くなりました。

世間ではいまだに、障がいのある方たちに対して誤解や偏見が根強く残っています。
「役に立たない」「何をするかわからない」「怖い」といった、実像とはかけ離れたイメージも少なくありません。
けれど、私たちが出会ってきたのは、
真面目に、まっすぐに仕事へ向かう姿勢を持った人たち。
自分ができないことに悔しさをにじませながら、それでも諦めず、涙を流してでも前に進もうとする人たち。
そのひたむきさは、障がいのない私たちが忘れてしまいがちな『働くことの意義』そのものを教えてくれます。
彼らの努力は静かで、決して派手ではありません。
でも、その姿には確かに心を揺さぶる力があります。
そばで見ている支援者である私たちが、日々学ばされるほどに・・・

今回受けた取材のニュース番組は、
「就労継続支援A型事業とは何か」
「障がいのある方が、どんな思いで、どんな姿勢で働いているのか」
その一端を世の中に届ける機会になると思います。
そして同時に、
「理解してもらえない苦しさを抱えながらも頑張る人が、安心して働ける場所が確かにある」
そんな希望を届けられるものであってほしいと願っています。
あの日、カメラの前で懸命に言葉を紡いでくれたふたりの姿を思い出すたびに、
この職場が、もっと多くの人とつながっていく未来を願わずにはいられません。
どうかこの想いが、少しでも多くの人に届きますように。
そして、必要としている誰かの心に、そっと 灯りがともりますように、
心から、そう願っています。
フライパン[2025年11月10日(Mon)]
京都フォーライフが運営する『For the life Café』のバックヤードで働く、従業員(利用者)のYさん、
厨房の様子を見に伺ったとき、彼はいつもと少し違う表情で 「これ、あげるわ・・・」と 直径30センチを超える 立派なフライパンを差し出してきました。
どうしたのか尋ねると、「昨日の休日に スーパーで見かけて一目惚れし、思わず購入したものの、帰宅してから 電磁調理非対応の商品だと知った」 とのこと。
「じゃあ 職場で使ってもらおう」と 持ってきたけれど、カフェの厨房も すべて電磁調理器仕様で、どこにも居場所がなくなってしまったようです。

Yさんはグループホームで生活されており、普段の食事は調理担当の方が作ってくださいます。
自分で料理をする機会など ほとんどありません。
それでも、この大きなフライパンを手にした瞬間、
“カフェの厨房スタッフとしての誇り” や “自分専用の道具を持ちたい” という 静かな職人魂が、彼の中で芽生えたのかもしれません。
そう思うと、そのフライパンが ただの調理器具ではなく、Yさんにとって “働く喜び” を形にした 象徴のように感じられました。
だからこそ、それを使えなかったときの落ち込みは、誰よりも深かったのだと思います。

私自身、調理器具を買う機会が少なく、電磁調理に対応していない商品があることを このとき初めて知りました。
売り場では きっと 表示や注意喚起もされていたはず、
もしかすると、店員さんも丁寧に 確認してくださったのかもしれません。
それでも、知的障がいがあるYさんには、その意味を理解するのは難しかったのでしょう。

“暮らしの中の当たり前” が、誰かにとっては 大きな壁になることを 改めて感じた出来事でした。
そして、そんな小さなつまずきが、働く人の誇りや 気持ちを傷つけてしまうこともあるのだということを。
Yさんが差し出したフライパンは、今も厨房の隅で 静かに光っています。
見方を変えると 意味が変わる[2025年11月03日(Mon)]
先日、ある従業員(利用者)が 交通トラブルを起こしました。
信号の見落としによる 軽い接触事故で、幸い 大きなケガはありませんでしたが、警察から厳しく注意を受けたそうです。

後日、本人から話を聞いたときのこと。
彼は 落ち着いた表情で、「はい」 「すみません」 「もうしません」 と繰り返していました。
その姿だけを見れば、反省し、素直に受け止めているようにも見えました。
けれども、話の端々から伝わってきたのは── 「なぜそうなったのか」 「どうして注意を受けたのか」
その理由の部分が、うまく整理できていないということでした。

彼は日頃から 真面目で、指示を出せば 素直に動く人です。
周囲からも 「いい方だ」 と 評判の従業員(利用者)、
しかし今回の出来事を通して、その “素直さ” は 性格だけではなく、障がい特性からく る「理解のしづらさ 」や 「状況整理の難しさ 」といった側面も関係しているのではないか──
そんな思いが胸をよぎりました。
叱られたことを 「悪いことをした」 として受け止めることはできても、「なぜ悪いのか」 「どうすれば次は防げるのか」 までは結びつかない、
それが、彼の中での “反省” の限界なのかもしれません。
だからこそ、悪意がなくても、同じことが繰り返される危うさを感じました。

今後は、生活支援事業所とも連携しながら、行動面の支援に加えて、「理解」や「気持ち」の整理を助ける関わりを重ねていくつもりです。
出来事を一緒に振り返りながら、「なぜそうなったのか」 を 本人の言葉でゆっくり紐解く──
そんな小さな積み重ねの中から、“自分の行動を 自分で振り返る力” を育てていければと思っています。

私たちは 日々の支援の中で、つい表面に見える言葉や態度だけをもとに
「この人は こういう性格だ」 と 判断してしまいがちです。
けれども、その奥には、その人なりの特性や 理解の壁が潜んでいることがあります。
“素直なだけ”に見えた行動も、視点を変えて見てみると、まったく違う意味を持っていることがある。
支援とは、その「角度を変えて見る力」を持ち続けることなのだと、今回の出来事を通して改めて教えられました。
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