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京都フォーライフ〜「自信」と「誇り」をもって働くために〜
NPO法人京都フォーライフの公式ブログ
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“作業” から “価値” へ[2025年06月30日(Mon)]
これまで、重い障がいのある方たちの就労は、多くの場合「単純作業の担い手」というイメージにとどまってきたように感じます。
封入作業や清掃、軽作業といった業務は、確かに社会にとって欠かせない仕事ではありますが、そこに従事する一人ひとりの個性や強みが、真に活かされる場面は、これまであまり多くはなかったように思います。

私が担当する事業所では、高齢者向けのお弁当宅配サービスを展開しています。
お弁当の盛り付け作業に、従業員(利用者)の皆さんは日々、黙々と取り組まれています。
そして、「美味しかった」「ありがとう」といったお客さまからの声が返ってくるたびに、彼らの表情には確かな誇りとやりがいが宿っていることが感じ取れます。

ただ “作業をこなす” のではなく、自分の手で “誰かに届くもの” を作り上げる。
そこには、より深い意味での「達成感」や「社会とのつながり」があり、その実感こそが、働くことの本質を私たちに教えてくれているように思います。

そして今、私たちはその先にある、新たな問いと向き合おうとしています。
AIやロボット技術の進化により、社会全体が「単純作業の自動化」へと大きく舵を切る中で、障がいのある方たちの就労の在り方もまた、大きな変化の渦中にあります。
これまでのように “作業をこなす” ことを前提とした働き方から、「その人だからこそ生み出せる価値」に目を向ける働き方へと、私たちは今、まさに転換期を迎えているのです。

京都フォーライフが運営する「For the life Café」では、試験的にロボット技術の導入を進めるなど、テクノロジーを取り入れた新たな取り組みにも挑戦しています。
こうした試みは、単なる効率化を目的としたものではなく、障がいのある人たちが創造性や企画力といった “人ならではの力” を発揮できる仕事へと、可能性を広げていくための第一歩でもあります。
私たちが大切にしたいのは、「できる・できない」で線を引くのではなく、「どうすればその人の力が発揮されるか」という視点です。
誰もが自分らしく力を発揮できる社会とは、与えられた仕事を ただ受け入れるだけの社会ではありません。
その人の中にある可能性を信じ、丁寧に引き出し、支え合いながら「働く意味」を ともに創っていける社会 ―― 私たちはそんな未来の実現に向けて、これからも挑戦を続けていきます。


「知る」ことが、偏見をほどく鍵に[2025年06月23日(Mon)]
梅雨明けを待たずして、すでに35℃を超える 猛暑日が続いています。
この厳しい暑さのなかでも 京都フォーライフの現場では、変わらず多くの従業員(利用者)の皆さんが 懸命に作業に取り組んでくださっています。
作業場内には 業務用エアコン,家庭用エアコン,さらには スポットクーラーなども導入し、できる限りの暑さ対策を講じてはいますが、それでもやはり “暑いものは暑い!”と 感じるのが正直なところです。

そうした中、従業員(利用者)の皆さんなかには、障がい特性ゆえに 『こだわり』 が強く、また自身での体温調節が難しい方もいらっしゃいます。
炎天下であっても 長袖を着用されている方の姿を見かけることも珍しくありません。
事情を知らない方が見れば、「なぜこんな暑さの中で長袖を?」と 不思議に思われるかもしれませんし、中には 「変わった人・・・」 と の誤解を抱くこともあるかもしれません。
しかしながら、ほんのひと言 「今日は暑いから、半袖に着替えても大丈夫だよ」 と 声をかけたり、「この服の方が涼しいかもしれないね」 と いった助言があれば、素直に応じてくれて それだけで不快感を減らし、体力の消耗を防ぐことにつながる場合も多々あります。
つまり、「知っていること」− それが、ほんの少しでも当事者の困りごとを和らげ、周囲との誤解やすれ違いを解くきっかけになるのです。

もちろん、すべての人が障がい特性について専門的な知識を持つ必要はありません。
しかし、集団で働いたり、共に過ごす場において、一人でも「知識をもって助言できる人」がいるだけで、偏見や差別の芽はずいぶんと抑えられるのではないかと思います。
今はまだ、そんな理想は『夢物語』と感じられるかもしれません。
それでも私は、この夢がいつか現実となる日が来ると信じています。
そして、その日のために、まずは自分の身近な人に対して、「知ることの大切さ」を伝え続けていきたいのです。
一人ひとりの理解と気づきが、小さな変化を生み出し、それがやがて大きな「共生」へとつながっていく− そんな未来を信じて、今日もまたこの場所で、共に働く仲間たちと汗を流しています。
“できる”を支える、現場のまなざし[2025年06月16日(Mon)]
私が担当する事業所では、高齢者向けのお弁当製造と宅配を中心とした事業を展開しています。
日々の現場では、「おかずの盛り付け」「ご飯の計量」「一口サイズへの加工」など、さまざまな工程に従業員(利用者)の皆さんが真摯に向き合っています。

その中で、私たち支援員が最も大切にしているのが、「適材適所」という視点です。
作業の効率や安全性を守るためには、ひとり一人の特性や得意なことを見極め、それに応じた配置や役割を調整していくことが欠かせません。
一見すると難しいと思われる作業でも、工程の組み立て方や視覚的な工夫ひとつで、驚くほどパフォーマンスが向上することがあります。
たとえば、ある方は長く「計量が苦手」とされていました。数字を読むことに不安があり、作業のたびに戸惑いが生じていたのです。
しかし、目安となるラインや基準を「見てわかる形」に工夫したところ、正確で安定した作業ができるようになりました。
この時、私たちは痛感しました。
「この人は数字が苦手だから無理」と、いつの間にか一面的に評価していたのは、支援する側だったのかもしれない、と。
支援とは、能力の限界を線引きすることではなく、その人の中にある可能性の「扉を開く」こと。
ほんの少し見方を変えれば、閉じていたと思っていた扉が開く瞬間に立ち会える。そんな現場での気づきが、私たちの支援の質を育ててくれます。

また、現場では常に「作業効率化」と「リスク管理」の両立が求められます。
どちらかに偏ってしまえば、もう一方の大切さを見失ってしまう危うさがあります。
効率を優先しすぎれば、異物混入などの重大なリスクを見逃すかもしれない。
反対に、リスクを過度に恐れてしまえば、従業員の挑戦や成長の場が奪われてしまう。
だからこそ、私たちは日々の現場で、支援員同士の小さな気づきや違和感を丁寧にすくい取り、声を掛け合いながら、最善の支援の形を模索し続けています。
支援とは、ただ作業を教えることではありません。
その人の歩幅に寄り添いながら、まだ見ぬ「できる」を信じ、引き出し、積み重ねていくこと。
その一歩一歩の先にある「自信」や「笑顔」のために、私たちもまた、学び続けています。
誰かの力が発揮される瞬間を、いちばん近くで見守れること。
それが、この仕事の何よりのやりがいです。
初心忘るべからず[2025年06月09日(Mon)]
宇治市のご理解とご支援のもと、宇治市文化センター内で運営している『For the life Café』。
そのカフェで、これまで接客業務のパート職員として働いてこられたYさんが、今春から新たに「支援員」としてフルタイム勤務を始められました。
現在は、カフェのバックヤードで働く従業員(利用者)の支援を担当してくださっています。

Yさんは、真面目で誠実、そしておだやかな優しさを持った方。
これからきっと、信頼される支援者として歩んでいかれるのだろうと感じています。
今は支援対象が少人数であることもあり、Yさんなりにじっくりと向き合ってくださっていますが、ふとした時にこう漏らされました。
「たった1人の支援でも、こんなに難しいんですね……」
その一言に、私は思わずハッとさせられました。

私たちは日々、複数の従業員(利用者)さんと接しながら、支援を行っています。
けれどその中で、ひとり一人とどこまで丁寧に向き合えているだろうか。
言葉の選び方、声のかけ方、支援の在り方……。
日常のなかで当たり前になってしまっていることを、Yさんは、あらためて立ち止まり、真っすぐに見つめ直そうとしています。
少人数だからこそ見える気づき。
初めてだからこそ抱く迷いや不安。
Yさんの姿に、かつての自分の足取りが重なりました。

私もこの仕事を始めたばかりの頃は、わからないことばかりで、上司に何度も質問していました。
“福祉の常識は、社会の非常識”――そんな言葉に戸惑いながら、世の中の当たり前と福祉の現場とのギャップに悩み、
自分の言動は本当に正しいのかと、何度も自信をなくしかけました。
今、Yさんが感じている迷い、葛藤、そしてやりがい。
そのすべてが、私自身が歩んできた道のりであり、支援者として大切にすべき感覚でもあります。
『初心忘るべからず』
Yさんとともに、あらためてその言葉の重みをかみしめています。
そして私も、まだまだ学びながら、支援者としての成長を重ねていきたい――
そう、心から思える日々です。

助成金申請〜AIと共に育む[2025年06月02日(Mon)]
今年4月中頃からの一か月間、「地域コミュニティ形成」を目的とした助成金の申請業務に奔走しておりました。
これまでにも、就労支援事業に必要な設備や機器、施設改修や車両購入など、多様な目的に応じた助成金申請を重ねてきました。幸いにも、多くの場面で採択をいただき、事業を前に進めることができたことには、心から感謝しています。

今回は、「NPO法人京都フォーライフ」単独の事業への助成金ではなく、行政機関のバックアップを受けて、大学や研究機関,ロボット開発企業との共同で取り組む事業、そして、2年間の継続プロジェクトについて、といったことであり、少々 勝手が違いました。
関わる方々も、期待される影響も、何もかもが これまで以上に大きく、重みのある挑戦となりました。

この事業は、AIロボットという新しい技術を活用し、地域住民が自然と集い、安心して交流できる「居場所」を創出する、いわば未来型の地域づくりです。特に、高齢者や障がいのある方、社会とのつながりを持ちにくい方々にとって、テクノロジーが冷たい壁ではなく、あたたかな扉となることを目指しています。
人と人が支え合いながら生きていくために必要な「つながり」を、AIの力を借りてもう一度、地域に根づかせる。そんなモデルケースを、このプロジェクトで形にしたいのです。
この一か月間、関係各所と何度も話し合いを重ね、申請書に込める言葉のひとつひとつに、想いと願いを注ぎ込みました。 

その過程で、私自身が改めて この事業の本質に気づかされました。
今後 一層 加速するであろうAIテクノロジー活用が、人々のコミュニティ形成に 無関係なわけがなく、むしろ 積極的に活用してゆくことが この流れに取り残される人たちを救う手立てとなればと、
「孤立を防ぐ手段」 として活かすこと・・・、
人と人とが寄り添える未来・・・
誰もが自分の役割を感じながら 孤立せずに暮らせる社会・・・

そんな難しいことを いろいろと考え続けた後、やっと 申請を完了いたしました。
あとは 助成金を採択いただけることを祈るだけです・・・

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