朝からすごい雨でしたが、午後からは晴れ間がでて、予定どおりローカリゼーション運動のパイオニア、ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんのドキュメンタリー映画「
幸せの経済学」の上映会に行ってきました。「国際生物多様性デー」に合わせて全国113ヶ所で同時上映されたとのこと。
映画では、インドのラダックの伝統的な暮らしにある共存共栄の豊かな生活が欧米の消費スタイルや都市化・工業化・大量生産などにより破綻し、今までなかった失業・貧困・飢餓といった問題が発生していく様子が映し出されます。
補助金や国際間のゆがんだ規制等によって、地元で生産したものよりも、他国で大量生産されたもののほうが安いという矛盾。自然と共存していた民族が、現金の得やすい作物をつくり、木を伐採し、土地がやせていく。
上映会に参加して、GDPの数値を上げる経済発展を目的とした国の政策や、生産と消費、賃金労働者ありきの資本主義の在り方に、多くの人が疑問を抱き始めていることを実感しました。
彼女が提唱するローカライゼーション。東日本大震災を経験した日本だからこそ、実現できそうに思います。
近い将来は、プチ農業しながら地域に根付いた生き方が良いがろうと思っていた私にとっては今後の方向性を確認する上で、とても力強いメッセージをいただいた感じです。
また、自分が育った田舎の小規模農業の未来は、どこかに集約されて大規模化するしか生き残る方法がないのだろうかと思っていたのですが、小規模だからこその高い収穫率と雇用創出については、日本でも参考にできないものかと考えさせられました。
左:映画のパンフレット 右:映画の監督ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんと辻信一氏の対談本「いよいよローカルの時代」
映画では、グローバライゼーションについて、8つの不都合な真実を、監督が35年以上研究しているインドのラダックの伝統的な暮らしと比較して述べています。
@人を不幸にする
アメリカでは物質が豊かになっていながら「非常に幸せ」と回答した人は1956年をピークに減少し続けているとのこと。一方でラダックでは、人々が互いに尊重しあいながら、幸せに生活している。
A不安を生みだす
アメリカを模倣しようとする消費行動からは、ねたみや差別が生まれる。ラダックも都市に人口や仕事が集中して、コカコーラやマクドナルドといった世界的な大企業の消費生活が進出するようになって、
B自然資源を消費する
資本主義の消費社会では、工業化や大量生産が進み、生態系が破壊され、それが食糧難や飢餓を招く。昔は、自然に生かされ、自然から恵みをもらって生活していた。
C気候を激変させる
輸入品のほうが安いという減少のなか、人件費の安い国では森林を伐採して大量生産向けの農産物をつくり、土地はやせ衰え、洪水をもたらしている。
D生活を破綻させる。
ゆがんだ補助金や規制が、他国で製造されたものを安くし、地元の商品が売れない現状を招き、失業者を生んでいる。ラダックには昔、みんなが働き、失業者は一人もいなかった。
E対立を生む
グローバライゼーションは貧富の差を生み、選択肢のなくなった人を追い込み、テロを生んだり、かつては共存していた民族に対立を生んでいる。
F大企業へのばらまきである
補助金や規制の多くが、大企業などの特定の特権をもった人たちに有利な形で使い・つくられ、地元で雇用を生んでいる中小企業を崩壊させている。
G誤った会計の上に成り立っている
GDPを成長させれば人は豊かになると思い、経済の成長を優先してきたが、GDPを上げるためにやってきた産業活動の多くが、自然破壊・戦争(武器の生産)などを生み、人を不幸にしている。
また、京都で上映されるのは残念ながら6月末(京都シネマ)になりますが、フィンランドの放射性廃棄物の最終処理に関わる映画
「10万年後の安全」もとてもよいとのこと。
マスメディアに頼らず、自分で情報収集して、自分で考え、行動しなければと思う毎日です。