老舗企業研究:伝統への挑戦
[2009年10月30日(Fri)]
本日は京大のプロジェクトで、福寿園の本社に伺い、福井正憲社長に取材させていただいた。
福寿園は寛政2年(1790年)の創業で、大阪・神戸に通じる木津川の船着場として、また大和・伊賀街道の交叉地として諸物の集散地であった山城国上狛(現京都府木津川市山城町)に福井伊右衛門が茶商として始めた。現在も、本社は、JR奈良線上狛駅から歩いて10分ほどのところにある。
創業者の伊右衛門の名前は、2004年にサントリーとのコラボレーションで売り出したペットボトルのお茶のヒットで一躍有名になり、京都以外の人で福寿園の名前を知らなかったけどこの「伊右衛門」で身近に感じるようになった人も多いのではないだろうか。
福井氏は、8代目。とても73歳には見えないほどお元気。商工会議所やライオンズクラブの役職を歴任された地域の名士。旅行が趣味で、それも誰も行かないような秘境にいくのが趣味とのこと。
そんな社長に、200年以上も事業が続いている秘訣は?と尋ねると、「ぼちぼちすること。商売は、やりすぎたらあかん」「その年の儲けだけ気にするのではなく、蓄積が大事」「時代の流れを読んで、今の時代に必要とされるものを提供しながら、次の世代のために投資することを忘れたらあかん」とのこと。福寿園の家訓は「無声呼人」(声なくして人を呼ぶ):徳のある人のところには、呼ばれなくても人が集まるという意味。このために、「信用、得意先、技術、人材、資本の5つを蓄積して社会に貢献する」を社是とし、代々受け継いできた。また、商売は対等。どんな客にもへつらって商品を売る必要はない。社格(社としての品格)のある得意先を選ぶこと。さすが、老舗としてのブランドを維持してきた会社だけある。
また、「外から会社(日本)を見る」ことの大切さについて述べられた。社長の旅行好きは、結局のところ、そのためのようでもある。海外での経験から生まれた事業も数多い。社長は、インドや中国への事業で失敗したお話を交えながら、「小さく失敗して大きな失敗をしない」ことの大事さについて語られた。
また、サントリーとのペットボトル事業は、福寿園にとっても大きな投資であり、今や収益事業として大きな位置を占めているが、ペットボトルのお茶が売れることで、市場全体としても、茶葉が売れなくなっている現状がある。福井氏は、これに対して、お茶だけを販売する時代ではなくなった。次の事業展開として、お茶を核としたライフスタイルをプロデュースするティーライフの提案を行なっていくとのことについて熱く語ってくださった。そして、この新しい挑戦を結集したのが、昨年度四条どおりにオープンした本店だ。
フランスを征するものが、世界を制する。京都をパリと互角にする。という強い思いで、フランス料理に合うお茶を考案したり、お茶をつかった洋菓子の研究などにも力をいれておられる。これらの試みは、四条本店に行けば体感できる。
最後に、帰り際に訪問した4人全員に、本店で開発された新しい新商品ブランド「富小路」の玉露と煎茶のティーバックセットを手土産に持たせてくださった。洗練されたパッケージデザイン。粋なおもてなしに老舗経営者の心のゆとりが見えた。
他人の資本をいれてまで規模を大きくすることを求めない。しかし、きっちりと次の世代に残していける事業をしていく。そのために、消費者の意見を聞くのではなく(当然、参考にするば)、あくまでメーカーとして市場を作っていくモノづくりをしていく。
−老舗の経営には、私達、人間の生き方にも共通する秘訣があるのではないだろうか。
以下、お土産にいただいたお茶「富小路」のセット。缶の中には、ハーブなどと同じようなネット型のティーバックが入っている。
福寿園は寛政2年(1790年)の創業で、大阪・神戸に通じる木津川の船着場として、また大和・伊賀街道の交叉地として諸物の集散地であった山城国上狛(現京都府木津川市山城町)に福井伊右衛門が茶商として始めた。現在も、本社は、JR奈良線上狛駅から歩いて10分ほどのところにある。
創業者の伊右衛門の名前は、2004年にサントリーとのコラボレーションで売り出したペットボトルのお茶のヒットで一躍有名になり、京都以外の人で福寿園の名前を知らなかったけどこの「伊右衛門」で身近に感じるようになった人も多いのではないだろうか。
福井氏は、8代目。とても73歳には見えないほどお元気。商工会議所やライオンズクラブの役職を歴任された地域の名士。旅行が趣味で、それも誰も行かないような秘境にいくのが趣味とのこと。
そんな社長に、200年以上も事業が続いている秘訣は?と尋ねると、「ぼちぼちすること。商売は、やりすぎたらあかん」「その年の儲けだけ気にするのではなく、蓄積が大事」「時代の流れを読んで、今の時代に必要とされるものを提供しながら、次の世代のために投資することを忘れたらあかん」とのこと。福寿園の家訓は「無声呼人」(声なくして人を呼ぶ):徳のある人のところには、呼ばれなくても人が集まるという意味。このために、「信用、得意先、技術、人材、資本の5つを蓄積して社会に貢献する」を社是とし、代々受け継いできた。また、商売は対等。どんな客にもへつらって商品を売る必要はない。社格(社としての品格)のある得意先を選ぶこと。さすが、老舗としてのブランドを維持してきた会社だけある。
また、「外から会社(日本)を見る」ことの大切さについて述べられた。社長の旅行好きは、結局のところ、そのためのようでもある。海外での経験から生まれた事業も数多い。社長は、インドや中国への事業で失敗したお話を交えながら、「小さく失敗して大きな失敗をしない」ことの大事さについて語られた。
また、サントリーとのペットボトル事業は、福寿園にとっても大きな投資であり、今や収益事業として大きな位置を占めているが、ペットボトルのお茶が売れることで、市場全体としても、茶葉が売れなくなっている現状がある。福井氏は、これに対して、お茶だけを販売する時代ではなくなった。次の事業展開として、お茶を核としたライフスタイルをプロデュースするティーライフの提案を行なっていくとのことについて熱く語ってくださった。そして、この新しい挑戦を結集したのが、昨年度四条どおりにオープンした本店だ。
フランスを征するものが、世界を制する。京都をパリと互角にする。という強い思いで、フランス料理に合うお茶を考案したり、お茶をつかった洋菓子の研究などにも力をいれておられる。これらの試みは、四条本店に行けば体感できる。
最後に、帰り際に訪問した4人全員に、本店で開発された新しい新商品ブランド「富小路」の玉露と煎茶のティーバックセットを手土産に持たせてくださった。洗練されたパッケージデザイン。粋なおもてなしに老舗経営者の心のゆとりが見えた。
他人の資本をいれてまで規模を大きくすることを求めない。しかし、きっちりと次の世代に残していける事業をしていく。そのために、消費者の意見を聞くのではなく(当然、参考にするば)、あくまでメーカーとして市場を作っていくモノづくりをしていく。
−老舗の経営には、私達、人間の生き方にも共通する秘訣があるのではないだろうか。
以下、お土産にいただいたお茶「富小路」のセット。缶の中には、ハーブなどと同じようなネット型のティーバックが入っている。







