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寄付の在り方:メディア時評 [2011年09月20日(Tue)]
独立行政法人大学評価・学位授与機構  評価研究部 准教授の田中弥生から、毎日新聞朝刊に掲載されたメディア時評の生地を送っていただいた。

とても示唆に富んだものなので、ここに紹介しておきたい。

毎日新聞朝刊 メディア時評 9月17日
 
 震災機に寄付文化の議論を東日本大震災の義援金は3000億円を超えた。阪神大震災の1790億円と比較すると飛躍的に伸びたが、同時に課題も指摘されている。
主要各紙は義援金問題を頻繁に取り上げた。毎日新聞は6月18日付朝刊で復興の遅れと義援金の遅配を指摘し、朝日新聞は8月14日付朝刊で市町村別の義援金支給率を挙げ、配分役の自治体が被災し、様々な支給業務に追われ作業が進まないと詳述した。
 そもそも、個人や企業の民間寄付が、慣習に基づいて政府によって配分され、公的補助金のように扱われるという点で義援金は不思議な仕組みを持つ。この点について直球で言及したのは1日付朝日社説だけだが、各紙とも配分方法の課題を浮き彫りにし、世論を喚起したという点で高く評価される。だが、寄付文化を育てるため、メディアに2つの点で期待したい。

 第1に、寄付に関する誤解を解くことだ。寄付イコール義援金と誤解している人は意外と多く、テレビでも度々聞かれた。しかし、「義援金」は被災者に見舞金として渡されるもので、複数ある寄付形態の一種だ。救援・復興活動に従事する活動や団体への寄付は「支援金」と呼ばれ、例えば、中央共同募金会には28.5億円、ジャパン・プラットフォームには60.5億円が寄せられ、救援活動に従事したNGOや被災地の人々が自ら立ち上げた復興支援団体に助成金として配られた。災害寄付には、支援金と義援金の別があると意識し議論すれば、より広い視野で寄付先を選ぶことにつながる。米国などの寄付先進国では、目が肥えた寄付者が多く、選択先の団体や事業を選ぼうとする傾向が強い。
 第2に、メディアは、寄付が寄付者の意志を背負った金であることを伝えることだ。寄付者を「支援する顧客」と呼んだのはドラッカーである。寄付者には役立ちたいという意志があり、寄付を扱う者はその意志に応えるべく、使途と成果を伝える責任があるという意味だ。その視点で捉えると、14日付朝日で、宮城県利府町に直接寄せられた寄付を「より被害の大きい自治体に」と町が日本赤十字社に寄付をしたことが紹介されていたが、寄付者の意向を確認した上での行為だったのかも掘り下げてほしかった。
 
 日本の寄付総額のGDP比は約0.22%で、英国の0.88%、米国の1.87%と比べると大きな差があり、税制も未整備で寄付文化がないと言われてきた。だが、来年度より税額控除制度の施行が決まり制度環境も変わりつつある。量とともに、先に指摘したような質の議論を深めないと寄付文化は育たない。メディアにはその役割も期待したい。
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