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冠婚葬祭は [2016年06月18日(Sat)]

「何かを決断するときは、いろんな人の意見を聞いて、決めなさい。
ただし、その助言の結果選んだ道が間違っていたとしても、絶対にその人のせいにしちゃいけない。
それは自分の責任」

子どもだった私に、酔うと必ずこの話をしてくれた。繰り返し繰り返し。だから、すっかり覚えている。
なんでこの話だったんだろう。
そんな鯖江のじいちゃんが逝った。

その第一報を受けたときは「唐桑御殿つなかん」にいて、それをすぐに従兄弟であり事務局長のこうやに伝える。
こうやは2階の玄関を出たところの柵に体を預けると、ずるっとしゃがみ込んで、震えるため息をひとつ吐いた。
「そうか、こうやは実のじいちゃん亡くすのは初めてか」と兄貴ぶる。余裕ぶる。
こうして、こうやと私は急ぎ福井県鯖江市に向かった。
久々に兄弟・従兄弟が集まる。
なんだか元気が出る。りょうちゃん、こうや、しゅん、なほ、けん。みんな、いる。

20代も後半になると、冠婚葬祭に触れる機会が増えてきた。
友人の結婚式、唐桑でお葬式。そして実の祖父。

冠婚葬祭はあわただしい。
大人がよく走る。お膳を搔っ込む。
冠婚葬祭は罪悪感なく昼間っから呑める。
酔って寝るだけだからハンドルキープを気にしなくていい。
冠婚葬祭は初めましてが多い。
結婚式での相手方の親戚。葬式で初めて会う親戚のおっちゃん。
冠婚葬祭は大人がもめる。席順、段取りの方法。それを横で他人事みたいな顔して眺める。
ついでに言うと、地元播州の秋祭りでも必ず喧嘩は起きる。
冠婚葬祭は普段泣かない人も泣く。自分もよく泣いてしまう。
泣くとどっと疲れがまわる。酒がまた旨くなる。
冠婚葬祭は世相を映し出す。
意外と流行りを受けやすく、世代の価値観の違いでぶつかったりする。
冠婚葬祭は面倒くさい。
やたらと「それ要る?」みたいな手順、儀式が多い。

だから冠婚葬祭は大事なんだ。
あわただしくて、酔ってて、初めまして〜って言って、もめて、泣いて、時代を感じて、やっぱりめんどくさいなってなるから、おれら親戚家族なんやなぁって実感せざるを得なくなる。
冠婚葬祭は、家族や集落を維持する上で欠かせない、人間の大事な発明品なんだ。

くるくる回る頭でそんなことを考える。
叔父さんがうとうとしている。おかんは寝ているフリして起きてる。親父は相変わらずざるだ。
じいちゃんはなかなか棺桶から出てこない。起きてきて一緒に呑んだら楽しいのに。

---

じいちゃんは毎朝散歩(というか山登り)に出掛ける人だった。夏休みに遊びに行ったときには、こうやとよく散歩についていった。まだ暗い内から西山公園に行き、展望台で体操をして、鯉にえさをやって、すっかり明るくなってから帰ってくる。
(こうやはこの頃から、すれ違う大人全員に元気よく礼儀正しく挨拶する子だった。)
(私はこの頃から、なかなか起きれず、散歩の約束をパスする子だった。)

腿(もも)の骨をつまんで、思い出される鯖江の街角だった。
「しっかりしてますね…」と驚かれるほど、逝去まで1年間入院していた人とは思えないがっちりした骨だった。

東京にいる産まれたばかりの息子に会いたくなって、納骨を見届けると鯖江を後にした。
これからはひ孫のことも見守ったってな。

IMG_9603.JPG