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仕事中です。 [2014年07月20日(Sun)]

昼飯を市内の定食屋でさっと済ませて、唐桑へ向かう。
雨が降り出した。

漁師さんの家にお邪魔して、コーヒーやらお茶やらをいただきながら、まちをおもしろくするための作戦会議。

「つないでいがねぇと。
このままなんとかすねぇと唐桑は消滅すんのさ、結局」

次世代がいないことを嘆く漁師さん。「やれることはなんでもやろう」と意気込んでくれる。
外を見ると雨があがっている。
「雨ハレたの?」奥さんに尋ねられる。「はい、ハレたみたい」
「雨が晴れる」というなんとも不思議な表現にも慣れた。

浜の話をしていたので、思わず「ちょっと浜降りましょうよ」と誘う。
長靴に履き替えて浜へ。
「これ今、干潮?」と尋ねると漁師さんは防波堤に目をやって「満潮でも干潮でもねぇな」と返す。
「昔は昆布とって、浜にびっしり並べて干したのよ。干す場所でケンカしてなぁ。境界線引いて。浜で足りないときは、家の前、家の屋根にまで干したんだ。
夜中寝ねぇで取ったんだぁ。ちょうちんつけてな。
隊長ぉ(私のことをこう呼ぶ)、ちょうちんだぞ、おい。今みてぇに、頭にライトなんづぅハイカラなもんでねぇのよ。
もっこに入れて担いで運んだのさ。つれぇなんてもんでねぇ。
でも、ガキながらにそれが楽しかったんだべな。モノを獲れるっていうのが。」

地元の人とちょっと外に出て歩けば「あるもの探し」が始まる。「地元学」が始まる。

唐桑中学校に寄って、先生と「まち歩き」企画の打ち合わせ。
昇降口で知った顔の中学生を見つけ、「おぉ」と声をかける。
「あ、どうもス」と他人行儀に返してくる。かぁぁ〜!震災のときは「ねぇ〜キャッチボールしようよ〜」とまとわりついてた小学生が今じゃこの敬語だ。
「みけんにしわ寄ってるぞ。どした反抗期入ったか」と聞くと、
「いや、そんなんじゃないス」とすっかり声変わりしたおっさん声で照れている。

ガソリンがない。
私用車での移動だったので、とりあえず郵便局へお金を降ろしに向かう。
唐桑郵便局のATMには、警察官の姿が。お金を降ろしている。
後ろからぬっと顔を近づけると、「あぁ!こら、盗る気じゃないだろうなぁ!」とATMにしがみつくような仕草。この方、通称「ショチョー」。
「今日仕事?」「仕事中です。」
ふと、カウンターの中から目線を感じる。あら。郵便局勤めの大沢の兄貴がたまたま唐桑の局にいた。
兄貴は「あ、あそこの人怪しいです!」とお巡りさんと戯れる私を指差して、他の局員に触れ回る。
私は「ショチョー、あそこにニセ局員が紛れてます!」と返す。

カウンターを挟んでおしゃべり。
「やせましたか?」と兄貴に聞く。
「おめぇが太ったんだべど」と笑顔で返される。新婚をイジってくる。「今日、仕事か?」
「仕事中です。仕事中だけど、今日給料入ったから慌てて降ろしに来たんですよ」
いやいやいや、と笑う。

ガソリンスタンドへ向かう。
さっきの漁師さんの家でたくさんお茶こ飲んだおかげかトイレが近い。もれそう。
迎えてくれたのは社長。第一声、「今日はお休み?」
「仕事中です」
「5000円?」レギュラー5000円分現金は定着。
「そう!社長、トイレ貸して!」
勢いよく車から降りる。
「はい、トイレ代が5000円ね」と片手をぴょんと出す。

親しき仲には、冗談が欠かせない。そういう人たちだ。
スタンドのトイレでふと不思議になる。
そうだ、この数時間のことを遠東記に書こう。
漁師さん、子ども、お巡りさん、郵便局員さん、スタンドの社長…
なんだこのまちは。

まちのどこに行っても、人がいる−


このまちの居心地のよさをどう表現するのか、移住者としての私の今の課題。
なんつぅか、こういうことなんだよな。