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アンカーづくり [2011年10月06日(Thu)]

数ヶ月前から漁師さんのお手伝いしている作業がある。
アンカーづくり。通称、土俵づくり。

アンカーとは、いかりのこと。海底に沈め、養殖施設を固定する。土砂を黒い土嚢袋に詰めるので、土俵とも言う。
アナログだなぁと思い、「重しなら、コンクリでいいんでねぇっすか?」と尋ねると、土俵だと海底に着いたときにどしゃっと海底にへばりつくように平たくなるから、こっちの方がいいんだ、と教えられる。

土砂を手作業で袋に詰め、ヒモで口を固く閉じる。最近は機械が入ったらしいが。
土俵ひとつで、だいたい40〜50キロくらいか。
それを何千、何万と作る作業だ。養殖関係の漁師さんが集まり、共同作業で行う。
震災後の緊急雇用として、漁師さんには日当1万2千円が支払われる。
砂子浜、大沢漁港、小田浜、小鯖、御崎…次から次へと依頼が入り、RQやひのきしん、唐桑ボランティア団事務局が協働で人員をさばく。
「1、2、3、4…」
と土砂をスコップでひとかきひとかき袋に投げ込む。それを横で袋を構える漁師さんが数えてくれる。疲れたら交替。
ヒモの結び方は、漁師さんそれぞれ微妙に違う。それがまたいい。
休憩は必ず多いくらいにとる。20分に1回くらいか。夏の暑い日はアイスが配られる。「老体には応えるんだよ」と言う。休憩の合図を無視して作業を続けると怒られる。
「休むのも仕事だ」

---

あれはいつごろだったか。初めてアンカーの依頼を受け、メンバーと一緒に現場に入ったときだった。
「あのー、ボランティアなんですが」
現場に来たものの誰に声をかけていいか分からない。
漁師が20〜30人はいる。
「責任者誰ですか?」
漁師たちがくるっとこっちを向き、笑う。
「みーんな責任者だっちゃ」

なぜかこの言葉が印象的で今も覚えている。
唐桑は漁師の町。
「漁師でねくても、漁師なんだ」
馬場さんが言う。漁師の存在が身近で、漁師のことなら皆知っている。
(逆に気仙沼(旧市内)のことは「あれは商人の町だ」と言う人も。その違いがおもしろい)

「船頭はみな経営者だ」という言葉も聞いた。サラリーマンではない。
ひとりひとりのプライドが凄まじい。経営者がごろごろいるような町だ。
ひとりひとりの味は濃い。
故にひとりひとりに魅かれるのかもしれない。