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ツナカン物語 [2011年09月14日(Wed)]

鮪立に「唐桑のマドンナ」がいる。
カキ養殖業の奥さんで、とてもエネルギッシュだ。
3階建ての立派なお宅は、3階まで波を被った。今はそのすぐ後ろの家を、これもまた波を被ったのだが、新たな住み家としている。

3階建ての家で作業し始めたのは、6月の頭。ある人の紹介でニーズを知った。
はじめ現場に入ったのは、シンゴ。
「唐桑のマドンナには会った方がいいよ!」シンゴがそう興奮気味に語るのを、今でも覚えている。
作業内容は、水を吸ってゆがんだ天井はがしや、床下に石灰を撒いて消毒。
馬場家のカツモトさんと亮太と3人で、作業に行ったりした。マドンナも加わって4人で床下に潜り込んで、石灰で真っ白になった。
天井は、バールで下から突き上げるようにドスドスっと周囲四隅を浮かし、ぶら下がってバリバリとはがす。ドカンっと天井が降ってくる。メットをしてなかったら、悲惨なことに…

「わー、キレイになった!キレイになった!」マドンナに褒められ、またやる気を出す。
昼メシには、初めてマンボウの刺身を食わしてもらった。

GakuvoやIVUSAにも片付けをしてもらう。
みな、マドンナのパワーに圧倒され、マドンナのトークに爆笑し、力をもらった。
徐々に家がキレイになるにつれ、マドンナが言う。
「この家は一度はもう取り壊そうかと思ったけれど、みんなにキレイにしてもらって、取り壊すのがもったいなくなってきた」
3階まで波を被ろうと、家の基礎や柱に問題はなかった。すごい家だ。

「私には夢ができた!いつか将来、ここを改装して、手伝ってくれたボランティアさんたちが帰ってこれるようにするの。そのときは、私がカキなり何なりを御馳走するわ。泊まってもいいし、休憩でもいいし」
ボランティアに恩返しする場所にしたい。帰ってこれる場所にしたい。みんなが集まれる家にしたい。
「それ、絶対やりましょう!みんな、唐桑に帰ってきますよ」

そのうち、鮪立地区で作業する際は、マドンナの家に休憩しに行くようになっていた。
作業中に津波注意報が出たときは、皆で避難しにいった。

---

それから1ヶ月は経っただろうか。夏休み目前。マドンナに相談しに行く。
「この夏は、学生はじめたくさんのボランティアが来ます。この3階建てで、寝泊まりできるようしませんか」
旦那さんやマドンナは快諾してくれた。
これで、唐桑ボランティア団事務局として、短期団体を受け入れやすくなる。
マドンナの夢の一歩にもなってくれたら。

マドンナは、それから空いている時間を見つけて、せっせと拭き掃除をしてくれていた。
ボランティアがやるからいいですよ!と言っても、オレらがいない間に掃除を進めている。

泥やガラスだらけだった床が、ついにスリッパで歩けるようになった。
風呂の上の天井が抜け落ちていたのだが、それも新たに入れてくれた。
トイレのドアが波にぶち抜かれていたのだが、新たにしてくれた。
2階部分は床が抜けて1階が丸見えだったのだが、床を敷いてくれた。
Gakuvoとの契約が進み、電気、水道を引くこととなった。地元唐桑の業者に来てもらって、家の中を見てもらう。
1、2、3階全てに電気が通ることとなった。

---

「ほいっ、そこのスイッチ押してみて!」
ぽちっ
パーっと部屋が明るくなる。おおぉー!電気だ!マドンナとハイタッチ!
流しからジャーっと水が出る。水道や!

遂に、家の中を素足で歩けるようになっていた。

つづく
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