雑草よ [2011年08月28日(Sun)]
人が何千年もかけて知恵を絞り、造り上げてきたものが、この世にはたくさんあり、
その集大成が一つの町となる。 そこに人は住み、人らしさを自問自答しながら生きる。 それがある日突然、ぱっと消える。 町も人も。 ナウシカも、未来少年コナンも、そんな始まりだった気がする。 そこに何が残るのか。想像の世界だった。 が、今目の前にそれが広がる。 泣きたくなるような、笑いたくなるような、それは醜なのか、美なのか、死なのか、生なのか。 今、津波が去った町には雑草がびっしり生えている。 人が造った残骸の間を縫うように、雑草が生い茂る。 何を意味するのだろう。 皮肉にも見える。雑草が人をあざ笑うように背を競っている。 同時に、人を励ますように、生の強さを必死にアピールしているようにも見える。 海が澄んできた。 底にはまだ油がびっしり積もっている。ガレキも然り。 だが、その上を小魚の群れが踊るように泳ぐ。 人はどうするのだろう。 眩しすぎるくらい真っ青な野原がどこまでも続く。ここに町があった。人が死んだ。 雑草よ、この光景を前に何を想えというのか。 |