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松圃虎舞 [2011年08月25日(Thu)]

花堂監督に連れられ、松圃(まつばたけ)地区の太鼓の練習を見学する。
それが、そもそもの始まりだった。7月8日のこと。

松圃虎舞。虎が舞い、そのバックで太鼓を鳴らす。唐桑の伝統芸能の一つ。
松圃は、被災の少ない地区で太鼓などは無事だった。



お母さんや中学生以上が大太鼓を、小学生らが小太鼓を叩く。ベテランのお父さん、お母さんは笛を吹く。

---

故郷の英賀保(姫路市)を思い出す。
小学生時代から、毎年、播州の秋祭りの前は必ず太鼓の練習に通った。
屋台(やたい・やっさ)には、大太鼓を中心に4人の叩き手(内2人はブイさし)が乗り、英賀神社を目指す。他町の屋台と練り合う。英賀神社の宮入、宮中、宮出の乗り子が花形だった。
関東の神輿のようなものだが、オレらから言わすとあれはオモチャのようなものだ。迫力はあんなものじゃない。
太鼓の練習には、必ず町内の恐いおっさんが指導役でいて、いつも練習はびくびくだったが、楽しかった。

---

「人の話は聞くぅ!」
先生役のお父さんが大声を出す。わらわらと雑談する子供たちがぴたっと前を向く。
懐かしさがこみ上げる。
私は誰よりも太鼓の音が好きだ。音が心の臓を揺らす。

練習は、火曜と金曜の夜7時から。
いつの間にか、毎週通うようになった。最初は脇で見様見真似で手を動かす。バチが置いてあったので、バチをとる。
そのうち、地元のおばちゃんが、後ろから「ハマってきな(一緒に叩いておいで)」と背中を押す。手前の小太鼓が空いていたので、申し訳なさそうに入っていく。心の中は大興奮だ。

7月末になった。
虎舞は、半造の星祭りと只越荘の祭りに出演が決まっていた。
星祭りには行けないが、30日の只越荘の祭りには行ける。
その前日の練習だった。「お兄さんも出るでしょ?衣装合わせるから、こっち来て」
お母さんに声をかけられる。

小太鼓に「お兄さん」とシールが貼ってあった。



心躍る。その日、夜2時まで拠点(プレハブ)で練習する。なかなか覚えるのが大変。
当日。小太鼓の衣装。
身長差で逆にもう目立つ目立つ。小学生の中に交じっているので当然だ。




只越荘の祭りが無事終わり、8月13日の「がんばっつぉー唐桑・夏祭り」が近づいてきた。
松圃虎舞保存会の会長に、出演依頼を提出する。

さよと一緒に練習に行き続ける。

---

私の小太鼓には先生がいた。私の前でいつも叩いている小学生。リズムをとるのが上手い。
彼を見ながら、練習した。が、なかなかシャイボーイであまり話したことはなかった。幼稚園児の弟も小太鼓を叩いている。顔はそっくり。

彼が今回、津波で母親を亡くしたことを知ったのは、だいぶ後のことだった。

あの日、「幼稚園に息子を迎えに行く」と言って唐桑に戻ってきた彼の母親は、周りが止めるのを聞かずに、唐桑の入口、只越で消息を絶った。

---

8月の上旬、練習に人があまりいなかったため、空いていた大太鼓を叩き始める。
最初は、全くコミュニケーションがなかったお父さんたちとも、徐々に話せるようになった。
行ったり行かなかったりではダメだ。練習は皆勤じゃないと。それが功を奏した。
休憩時間には、あれやこれやとお父さんたちに囲まれ個人レッスンを受ける。
「覚えがいいねぇ、若いねぇ」
「お兄さん」から「加藤くん」になった。

特に熱心に教えてくれた梶原さんが満面の笑みで語る。
「何が嬉しいって、興味をもってくれたことだ。そこが一番嬉しい」
「当日は、虎が梯子を登る様子を見ててくれ。命綱なんてないよ。あれは逆に邪魔なんだ」
虎舞について、あれこれと話を聞かせてくれる。

大昔、漁に出た船がいつまで経っても帰ってこなかった。
皆で無事帰還を祈願していたとき、不意に虎に似た猫が姿を現す。その後、船が帰ってきた。そんな伝説が虎舞の始まり。

気仙沼では太鼓が盛んで、毎年気仙沼漁港である港まつりでは、各地区が太鼓を持ち寄り、海岸に太鼓1000台並べて一斉に叩くと言う。信じがたいので、一度見てみたい。残念ながら今年はない。

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「がんばっつぉー唐桑・夏祭り」がいよいよ近づく。
虎舞の梯子を積む4トントラックの手配、当日の配置などなどを練習後に一緒に打ち合わせする。

いつの間にか大太鼓としての出演が決まっていた。
「おめでとう!次は大太鼓だ」と梶原さん。
「大太鼓に早々と昇格ねぇ」とお母さんたちにイジられる。
大太鼓は大変だ。覚える量が多い。体力も使う。汗がだらだら出る。

練習後の個人レッスンは9時まで続く。
「自信をもって叩け!俺の音を聞けと言わんばかりに叩け。
ひと打ちひと打ちに魂を込めるんだ」
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