2012年3月11日 [2012年03月12日(Mon)]
2011年3月11日。 静岡県御殿場。数名の仲間で卒業旅行に来ていた。 遅めの昼食のため「ドライブイン白雪」に入る。いいカンジの店見つけた。 ポツンと一人の白雪姫が座っている。時間のせいかお客はいない。 着座してメニューを見る。白雪姫と談笑。 14時46分。 「あれ、停電。ブレーカー落ちましたね」 腰の曲がった白雪姫は棒を持ち出して、ブレーカーを突こうとする。「手が届かないからねぇ」 「ちょっと棒貸して」白雪姫に寄る。 あ、ゆれてる。こりゃ大きいな。 「あ母さん、出ましょう」 室内は危ない。 白雪姫もとい83歳で店をやっているお婆ちゃんの手を引き、外へ出た。 富士山がどんと眼前に広がる。 すると、アスファルトの道路がうねり始めた。まっすぐ立ってられない。白雪姫を囲み円になり抱き合った。 仲間は半パニック状態。 「窓から離れよう」 私の脳裏に阪神・淡路大震災が蘇る。「あぁ、ついにまた大地震とやらが来たか」 逆に冷静な自分がいた。東京もんより、幼いころから「地震」との距離が近い環境で育ったせいか。 何か楽しいことでも始まるようだった。 震源は? 宮城? また東北か。気の毒やなぁ… 2012年3月11日14時46分。 サイレンが止む。眼を開けた。 宮城県気仙沼市唐桑町鮪立(しびたち)地区。 周りの漁師さんたちは、鼻をすする。眼を拭く。「1年経ったなぁ」 私は夢から醒めたようだった。 1周年の黙とうでは泣くと思ってた。実際黙とうしている間は、祈りを捧げた後、ちょうど1年前を思い出していた。 すると、1年前は唐桑のかの字も知らなかった自分がいた。 冷めた。涙なんて出ない。私はたんぽぽの綿毛。また風が吹けば飛んでいく身。 あれ、なんで唐桑にいるんだったっけ? 何かよく分かんねぇ。 --- 鮪立。 その日。 そして海が燃える。 そして時が経ち… 1年を迎えた。キャンドルが包む鮪立。 Facebookで地元の人がコメントをくれた。 「あの日あったのは、全てを焼き尽くす業火。今夜あったのは、静かで暖かな鎮魂と癒やしの灯火。 心の中にも、故郷を愛する灯りを点して。 関係者の方々、お疲れさまでした。 ありがとうございます。」 その夜は、じいじ、カジさん、ベッチと4人でこっそり杯を交わした。 この3人、地元の人だが震災前は特に接点のなかった3人だ。 涙なんて出なかった。 「このメンツで呑んでるって不思議だよな」 「この日、こうやって吞めてよかった」 「これからが楽しみになってきたな」 じいじとカジさんとベッチがそう言ってくれたから。 あれ、なんで唐桑にいるんだったっけ? さぁ、なんかの縁でしょ。そんなもんさ。 |