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早い呼吸と過呼吸、これは言葉の違いだけ? [2020年06月26日(Fri)]
呼吸がおかしい傷病者に出会う事はありますでしょうか?
子どもを相手にする職場の方は、比較的出会うことが多いかもしれません。

この記事では、おかしい呼吸の中でも、早い呼吸をしている人対する認識と言葉について考えてみたいと思います。


最初に、例題を挙げますので少し考えて頂ければと思います。

皆様の職場で傷病者に接触しました。
詳細を確認する前に、第1報をチームに伝えることにしたとします。
チームへの第1通報として傷病者の状態を、どういう言葉で伝えますでしょうか。


【10代女性の例】※ページ最後に症例の解説があります。
室内温度24度。現場到着時、意識レベルJCS1桁(息苦しそうで受け答え困難)で長座の姿勢を取っていた。
言い争いがあったのか、知人がやや興奮して近くにいた。
早い呼吸で喘鳴(呼吸音)等なし。時々呼吸に不規則さ(呼気が長い)があり、顔色がやや蒼白く見える。

用手的にわかる範囲で、HR(脈拍数)120/分程度、RR(呼吸数)60回/分程度であった。


2005-03-24 09.00.00-749.jpg





さて、どういう言葉で傷病者の状態を伝えましたでしょうか。


意識レベル(受け答えができない)を先に思い浮かんだ方が多いかもしれません。
早い呼吸に注目をした方も多いでしょう。
脈拍数が早い事を先に伝えようとした方もいるはずです。

※通報の原則は、「危険度が高い内容を優先してシンプルに伝える」事です。
 生命的危機の兆候を考えて、優先順位を考えるプロセスが重要です。


さて、この記事の本題は上記の中の内、早い呼吸を伝える言葉についてです。

皆様はどう考えましたでしょうか。
人により「呼吸が早い」「頻呼吸」「過呼吸」「呼吸数を数値で伝える」又はひっくるめて「呼吸苦」など様々だと思います。

経験上その中で、「過呼吸」での通報が、結構多くあります。これは通報者が医療者・非医療者関係なくあります。

ここで問題となるのは、その人がどのような定義で「過呼吸」という言葉を使っているかです。

ヒヤリングをしてみみると、概ね以下のどれかでした。

・「過呼吸」=「過換気(過呼吸)症候群」の言葉で認識。
  過換気症候群疑いを持った時に「過呼吸」という言葉を使います。

・深い又は早い呼吸の状態を「過呼吸」と認識。

・浅い深い関係なく早い呼吸を全て「過呼吸」と表現。

・これは、非医療者に多いのですが早い呼吸=「過呼吸」=「過換気症候群」と判断。
 過換気症候群以外の疑いが強い症例に対し「大丈夫です。ただの過呼吸です。」という通報が入ることさえあります。


この認識の違い、非常に危険だと思いませんか?

早い呼吸の状態を「過呼吸」と伝えたつもりが、受け止め側が過換気症候群と捉えペーパーバックを準備するなんてことが起こる可能性があるという事です。
受け止める側が救命などに関わる熟練の医療者であれば、緊急の可能性も視野に入れて準備するでしょう。しかし場合によっては、伝えたい事が伝わらない可能性もあります。

また、早い呼吸になる症例は過換気症候群以外にも多々存在します。
特に、呼吸困難又はショックが原因で早い呼吸になっていた場合は生命的危機状況にある可能性があります。
この場合、仮に過換気症候群が併発していたとしても、呼吸又は循環への対応を優先するべきです。

そのため早い呼吸を「過呼吸」だけで伝えるのは避けた方がいいかもしれません。


では、どうすればいいかです。
チームであれば、チームの共通の言葉を明確にしておくことでしょう。
救命に関わる医療者等のチームであれば、統一した認識の言葉を使っているかと思います。

しかし、急遽の寄せ集めチームであったり、院外では非医療者のチームとなることもあるでしょう。
その場合、どうすればいいでしょうか。
言葉は、人によってとらえ方が違う可能性があるため、できるだけシンプルでそのままの状況を伝えると伝わりやすくなります。
個人的にはあえて医療用語を減らし、誰でも分かりやすい言葉を使うように心がけています。安静にしているのに呼吸が早いなら「呼吸が早いです」で十分伝わるのではないでしょうか。

傷病者の情報伝達がうまくいかないと、重大なミスにつながる恐れがあります。
普段何気なく使っている言葉でも、一度見直してみると意外な面が見えるかもしれません。




・・・・・・・・・例題解説・・・・・・・・・・・
喘息症例です。
※考え方;呼気延長→下気道閉塞の疑い→喘息の疑い
意識レベルがやや落ち、顔色やや蒼白い事を考えると、緊急性ありと判断できる症例です。脈拍数等は、経過観察が必要です。

ただし、この例題の文章だけでは喘息と判断するのはできませんので、喘息にたどり着かなくても大丈夫です。
必要なことは、過換気症候群や喘息など傷病名だけに注目するのではなく、先に生命的危機の兆候の有無とその程度を考える思考です。
それができるのが、傷病者評価の力です。

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