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edge2010集合研修報告レポート3日目 [2009年11月25日(Wed)]
3日目
いよいよ研修最終日。2日間プランについて考えに考え抜いたプレイヤーたち。この日に提出する第二次審査シートにより、セミファイナル進出者が決定する。
8:00 <朝食>
昨晩は全プレイヤーとも夜遅くまで作業をしていた様子。9時までに第二次審査
シートを出さないといけないという焦りの中で朝食をとるプレイヤーと、すでに
出し終え、ゆっくり朝食をとるプレイヤーとに二分されていた。

9:00 ミニレクチャー
提出期限の9時。全プレイヤーとも期限内に第二次審査シートの提出を終えた。
審査はこの研修終了後に行われる。

3日目の最初は古野によるミニレクチャー。プレイヤーたちは,
昨晩夜通し作業していたせいか、とても眠そうだ。古野はこれまでの2日間を見
て、多くのプレイヤーたちが自分のプランややるべきことを「分かったつもり」
即ち「知っているだけ」の状態になっていると感じ、「知っている」ことと「分
かる」ことの違いを、自分のビリヤードの体験談を語ることで示した。

古野はもともと音楽に精通しており、聴覚が人一倍鋭かった。色んな人がビリヤ
ードの玉を付く時の音を聴くことで、音によりその突き方の良し悪しを感じるこ
とができたという。あるプロの、ビリヤードの玉を付く音を聴き「やっぱりプロ
のプレイは音が違いますね」と言うと、古野の師匠から「あなたは分かってきた
みたいね」と言われたという。その後の練習ではビリヤードの技術が一気に上達
したそうだ。

この古野のレクチャーは、「わかる」と「知る」の違いを感じることができる話
だ。ある人がビリヤードをはじめるにあたって、まず玉の突き方を教えてもらっ
たとする。とその人は、基本的なプレイ方法を知ったので、ある程度のプレイが
可能になり「分かったつもり」「できたつもり」になる。そしてそれで充分と思
うだろう。しかし、これでは「分かる」というレベルには達していない。「分か
る」というのは「知った」上でやってみる、やってみた上で気付く、気付いたこ
とを意識的に繰り返す、体が無意識に上手く動くようになる。このプロセスを通
じてはじめて「分かる」に到達する。

これは、スポーツや音楽をやったことのある人には身に覚えがある体験だろう。
メンタリングではアドバイスをもらい、プランに必要なことやその基本を「知る」
ことはできても、決して「分かる」ことはできない。社会起業家にとっても「分か
る」ということが何より大切なのだと、古野は伝えたかったのだ。

<講義「明日から使えるマーケティング手法」>
古野のレクチャーの後、関原によるマーケティングの講義が行われた。周囲を巻き
込む秘密やその仕組みについて細かく説明した。熱心なプレイヤーは目を輝かせな
がら関原の講義を聴いていた。一方、まだまだ細かい部分に関心を持てないプレイ
ヤーは講義中眠気に襲われていた。



「思想の72年サイクル」「10年後、次の思想は自分たちで決めなければならない」
など多くのことがプレイヤーの心に残ったのではないだろうか。マーケティングと
は何か、戦略・戦術について、イノベータ理論、広告の構成など、プレイヤーの興
味をひきつける内容が満載だった。

この3日間を通して多くのプレイヤーは、利用者(受益者)や顧客に出会っていな
いこと、直接話を聞いていないことの指摘を受けていた。
そんなプレイヤーに向けて関原は、「アンケートの取り方」について講義した。
まずマーケティング戦略S・T・P(Segment, Target, Positioning)や戦術4P
(Product & Service, Price, Place, Promotion) について。そしてアンケートは
43サンプル取れば正確なものと言ってよい、ということを統計的根拠を提示し、
説明した。
この43という予想以上に小さな数値に、プレイヤーたちは驚きを隠せない。

プレイヤーに感想をきくと、「とても勉強になりました!研修が終わったら早速
今の講義内容を使ってアンケートを作りたいと思います!」と話してくれた
プレイヤーたちはこの講義の内容を、自分のプランを進めていく際に大いに活用
するはずだ。

10:30 <メンターに対して自由に質問>
ここで、プランに関係なく、プレイヤーたちが自由にメンターに質問する時間が
とられた。古野には音楽について、能島にはブレインヒューマニティについての
質問があった。あるプレイヤーがメンター全員に、起業して「今まで一番苦しか
ったこと」と「やりがい」についてと質問した。意外と多くのメンターが右肩上
がりで、あまりつらいことはないと話し、プレイヤーたちは驚いていた。



何人かのメンターは「自分の想いが伝わらないときの辛さ」について話した。プレ
イヤーたちもこれから仲間を集めたり、協力者を募ったりする際に、自分の想いを
伝えることがあるだろうが、どれだけ本気であっても、伝わらないこともある。
それはとても歯がゆくて、くやしいことだろう。特に団体の代表であるプレイヤー
たちには「伝える力」が重要になるだろう。

「やりがい」については多くのメンターが「日々の小さな楽しみ、幸せを感じる」
と答えた。どれだけ大変でも、日々の積み重ねを実践し、少しずつ前に進んでいる
のだろう。これは当然のことのように思えるが、困難なことだ。この日々の努力、
その成果を少しずつ噛みしめることができないと、社会起業家としては成功しない
のかもしれない。

10:45 <メンターからプレイヤーにコメント返し>
メンターたちが一人につき担当するプレイヤーを2、3人決めて、第二次審査の採否
とは別にして、今後行うべきことは何かをアドバイスした。第二次審査に通過しても、
残念ながら不通過だったとしても、プレイヤーには自分のプランを進めていってほし
いとの思いがあるからだ。一人3分と短い時間ではあったが、プレイヤーたちは、そ
れぞれの課題を再認識し、今後のプランの進め方を整理できたはずだ。



メンターからコメントをもらったプレイヤーたちに
「この3日間の研修はどうでしたか?」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「とても有意義でした!久しぶりに自分について深く考えました。そして、自分の
覚悟を再認識することができました。本当に来てよかったです。この3日間を無駄
にすることのないように、帰ったらとりあえず行動してみようと思います!」

「経済的に貧しい子どもたちを全員、自分一人で助けようとしていたけど、無理
だということ気付いた。自分はそんなに大きい人間じゃないのに一度に大勢の人た
ちを助けることができると勘違いしていました。いずれ事業を拡大するにしても、
今はまず自分のできる小さなことに集中します」

「ここに来る前は3日間って長いなぁって思っていたんですけど、来てみたらあっ
という間で、むしろ時間が足りませんでした!とっても濃い3日間で、考え方や視
点が大きく変わりました!」

それぞれの度合いや内容は違うかもしれないが、全てのプレイヤーが自分の中に
なんらかの変化を感じていた。それは、プレイヤーの表情を見ても分かるものだった。
初日の不安気な、頼りない面持ちのプレイヤーたちが、いつの間にか精悍な顔つきに
なっていたからだ。

11:00 <全員で振り返り・わかちあい>
この3日間を振り返り、新たなスタートを切るため、そしてお互いの経験や成長を
共有するための最後のワークが行われた。古野が研修に来ている全員に対して、
「この3日間で自分にとっての最大の発見!」と「これから私はこれをします!」
を書くように求めた。全員思いつくままに短い時間で書き上げた。講堂の中にメンタ
ーやスタッフも含めた参加者全員で輪になり、順番に発表していった。



メンター、プレイヤー、スタッフはそれぞれの視点で、それぞれの想いを打ち明けた。
多くのプレイヤーは最大の発見として「出逢い」「仲間」「ニーズ調査」の大切さに
ついて話し、大切なことに気付いたからこそ、今から行動したいと言った。プレイヤ
ーたちは目を輝かせながら自分のことについて話していた。広い講堂の中に、威勢の
よいハキハキとした声が響きわたっていた。

メンターの発見や目標は個人的なものが多かったが、子ども盆栽の代表で、今回メン
ターとして参加していた松浦が「やはり論理より目だと気付きました」と話した。
プレイヤーを見ているうちに、いくら論理的に上手く喋っている人でも、その人の目

見れば本心かどうか、成功するかどうかわかるということを実感したという。「目は
口ほどに物を言う」とはこのことなのだろう。



最後に、理事の芝原が発見として「良い迷惑」と「悪い迷惑」について話し、「相手
の気持ちや立場を想像することが大切です!」と言った。そしてこれからやることで
は「まずは、この施設を特別に使用の許可をくださった兵庫県の職員さんにお礼を言
いたいと思います!」と話した。

「相手のことを考える」「相手の立場を想像する」当たり前のようで、実は全くでき
てないことだと、多くのプレイヤーが気付いたはずだ。

相手のことを考え、向き合い、寄り添うことはとても難しい。自分に向き合うことも、
自分の身近にいる人たちにでさえも難しい。人は感謝すべきところで感謝できなかっ
たり、知らぬ間に人を傷つけてしまったりするが、これを常に意識し、小さなことを
今からでもコツコツと積み上げていかなければならない。

そして社会起業家は、その姿勢をサービスの利用者に実践していかなければならない。
利用者の気持ちをくみ取る、向き合う、そして寄り添う。その上でやっとニーズが見
えてくる。

これからプレイヤーたちは、アンケートだけではなく、このようなニーズ調査に追わ
れることになるだろうが、決してあきらめずに、自分と人と、向き合ってほしいと思
う。

12:30 <解散>
最後に事務局から事務連絡。第二次審査の発表は11月5日。通過したプレイヤーがセ
ミファイルに進出する。セミファイナルは12月19日。セミファイナルまでの期間は、
プレイヤーにメンターは付かず、何か聞きたいことがあれば各自事務局に連絡するよ
うに、とのことだった。

そして、河内による解散の挨拶。「最初はどうなることかと思ったけど、終わるころ
にはみんなの顔つきが変わっていくのが分かりました。本当にいい研修になったと
思います。お疲れ様でした!拍手!」そして会場が盛大な拍手に包まれ、研修は終了
した。

プレイヤーたちは3日間、苦しみ悩んだが、この瞬間はやりきった表情を見せていた。
これからもいくつも困難を乗り越えていかなければならないが、この研修がその原動力
になるのではないだろうか。

解散後もプレイヤー同士で交流し、名刺や連絡先を交換していた。edgeの目的の一つ
でもあるコミュニティ作りはうまく実現されたようだ。この出逢いを大切に、お互い
協力していくことが何より望ましいことだ。

会場を出ていくプレイヤーたちの「お疲れ様でした!ありがとうございました!」と
いう気持ちのよい挨拶から、プラン実現のために翌日から動き回る姿が想像できた。
起業に対する熱い想いが、覚悟が、この3日間で幾分大きくなったに違いない。そんな
プレイヤーたちを追い続け、より多くの人に彼らを支援してもらえるよう、これからも
彼ら彼女らの様子を伝えていきたいと思う。

次回は第二次審査に通過したプレイヤーたちの集合メンタリングの様子や12月のセミ
ファイナルの様子を伝えていく。今後もぜひプレイヤーたちの活躍ぶりに期待して
ほしい。

レポート:大森恵太(edgeインターン)
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