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edge2010集合研修報告レポート2日目 [2009年11月25日(Wed)]
2日目
2009年11月1日、快晴。
2日目はこの研修のメイン。一日中メンタリングを受け、プランをブラッシュアップ
する日だ。プレイヤーたちは2日目を通して、どのように変わっていくのだろうか。


8:00 <朝食>
朝の日差しが眩しい食堂。プレイヤーたちは清々しい顔をしている。初日に考え疲れ
た分、よく眠れたようだ。朝からメンタリングやプランについて話しているプレイヤ
ーたちからは、「今日もやってやるぞ」という気合が伝わってくる。

9:00 <ミニレクチャー>
2日目、最初は古野によるレクチャー。プランにおける「動機」・「社会性」・「資
金」について話した。プレイヤーたちは朝一番にも関わらず、集中した面持ちでレク
チャーを聴いていた。

まずは、プランの『動機』について。メンターたちはよく「どうしてこの問題を解決
したいの?」「どうしてあなたが解決しなければならないの?」と質問する。社会起
業家は社会的問題を解決しようとし、それをビジネスとするのだが、まずこの質問に
まっすぐに答えられないプレイヤーが多い。プレイヤー自身が過去に社会的な問題に
出会ってきた場合は、その体験談を話すことがまず第一歩になる。そうではないプレ
イヤーは「ニュースでそう聴いたので」「教科書に書いてあったので」と答えたり、
そう正直に答えにくい場合は、作り話を語ったりしてしまう。古野はこのことに気付
き、「例え、動機に社会性がなくても自分に嘘だけはつかないで欲しい。後で気付く
こともあるのだから」と話し、自分の本心を大切にするように訴えかけた。

そうして自分の本心と向き合い、本音で動機ややりたいことを考えた場合、その中に
『社会性』を見つけられない場合もある。その場合、どうすればいいのか。「社会性
のなしのビジネスでもOK!無理やり自分をedgeに合わせようとしないで!」と、古
野は言う。edgeのコンペは社会起業家を育成するコンペであるから、プランに社会性
がない場合は、第二次審査で落ちてしまうが、コンペ以外の場でプランを進めていけ
ばよい。これからの人生、コンペが全てではないからだ。そいうったプレイヤーは、
集合研修を通じて自分の本心に気付いただけで大きな収穫となるということだ。

最後にプランの『資金』面について。この時点では多くのプレイヤーがプランの資金
繰りについてイメージできていなかった。古野は「なぜお金のことがかけないのか。
それはお客さんのことが見えていないから、見ていないからだ。」と説明した。また
「1日目の関原さんの講義を自分のことに置き換えてみていないからだ。勉強気分で
は何も得られない」と厳しい口調で話した。いまだにNPOはボランティアとほぼイコ
ールであり、お金とは無縁の世界と思われがちだ。また、プレイヤーたちは、受益者
の顔を見ると「サービスは無償で行います」とつい言ってしまう。

しかし、それでは高度なサービスを提供できるはずもなく、事業の持続・拡大は不可
能だ。まずは、自分がお金をもらう対象をしっかり見つめなければならない。古野の
レクチャーでプレイヤーたちはようやく現実に気付いたかもしれない。

「人生金だよ!」と、続いて話し始める能島。彼はプレイヤーたちに社会起業の資金
繰りについて解説した。社会起業家は、会費・寄付・事業収入・助成金・委託金など
を資金として考える必要があるが、寄付や会費だけでは事業を立ち上げることはでき
ても、持続・拡大することはできない。しっかり事業収入を取っていく必要がある。



「NPOは一般企業よりお金が稼ぎにくいだけであって、お金が稼げない事業だから
NPOになるのは違うよね」と、能島は語る。プレイヤーが資金面のイメージをしや
すくなるように、あるNPOの会計情報などの具体例を提示し、説明した。

また、『サービスの利用者と顧客が同じパターン』と、『サービスの利用者と顧客が
異なるパターン』があるなど説明した。ここで『利用者』とはサービスを受ける者
(受益者)のことで、『顧客』は事業のための料金を払う者を指す。
前者は、一般的なビジネスでみられる光景だが、後者はみられない。社会起業家なら
ではの光景である。例えば、「外国人の子どもの進路相談」という事業の場合は、外
国人の子ども向けには無償サービスで行い、その資金を外国人の子どもを受け入れる
学校から得るとすると、利用者は外国人の子どもであり、顧客は学校ということにな
る。

NPOが企業からCSRの一環で支援を受けたり、多くの会員を得ることが困難なのは、
このような利用者と顧客が異なるときの、顧客を満足させるシステム作りが難しいか
らだという。社会起業家は、利用者を満足させることはもちろん、顧客を満足させる
ことも考えていかなければならない。

最後に「それではみなさん!儲かることをお祈りしています!」と言ってレクチャー
は終了。プレイヤーたちは能島のレクチャーで多くを得たはずだ。

10:00 <メンタリング>
2日目は、ミニレクチャー以外は徹底して個別メンタリング。メンターたちが屋台方式
でブースを持ち、一回15分のメンタリング行う。プレイヤーたちはプランを見てもら
いたいメンターを予約し、回っていくという方式だ。プレイヤーはメンタリングごとに
プランについて解決すべき課題を課され、メンタリングを受けた後にその課題を
解決する。解決し終わって再びプランが行き詰ったら次のメンタリングを受けるという
方式だ。
全プレイヤーとも午前中に一回はメンタリングを受け、プランを実施する際の細かい
現実的な問題や、プランに対しての本気度に気付き、それぞれの課題が明確になって
きたようだ。



12:00 <昼食>
午前中のメンタリングが終了し、昼食の時間が来た。食堂に行くように呼びかけても
プランのことが気になり作業を続けるプレイヤーもいた。食堂ではプランのことを話
しつつ昼食をとるプレイヤーがほとんどだったが、一部のチームは黙り込んだままで
行き詰った様子を見せていた。早く食べ終わったプレイヤーは会場に戻り、作業を再
開していた。

「自分のやりたいことが大きすぎて、事業の対象者を選択することができないんです」
と話すプレイヤー。社会起業家は「社会をよくしたい」という思いがあるため、どう
してもサービス対象の範囲が広くなってしまう。しかし、一人の人間ができることは
限られている。自分でできる範囲や自分のできることをしっかり捉えることが大切に
なってくる。しかし、この作業がどのプレイヤーにも難しいようだ。

13:00 <ミニレクチャー>
昼食後、午前中の快晴とはうってかわって雨が降り始めた。古野が「午前中のメンタ
リングはどうでしたか?メンターによってメンタリングの内容が違うので、右向けっ
て言われたり左向けって言われたりしているような気がしているかもしれないけど、
そうではないんです。混乱させたいわけではないんです。」と話した。

メンターはそれぞれの特性を持ちメンタリングで重視するポイントも違うが、最終的
にはプレイヤーの事業が成功するための助言をしている。色んな角度からプランにつ
いて質問やアドバイスを与えられることで、プランがより確実になっていく。古野は
それを「光の角度によってできる影が違う」と例えた。

また、午前中のメンタリングの様子やプレイヤーたちの反応を見て、「メンターの言
うことを表面でしか受け止めていない人は伸びない」とも言った。プレイヤーたちは
メンターの言うことに対して、表面的には「そうですね」「確かに」と頷くものの、
なかなか素直にプランに反映することができない。メンターからの助言や指摘をしっ
かりと捉え、自分の中に取り入れていかなければ、メンタリングは時間の無駄になっ
てしまう。「受け止める力」が大切だ。また、「自分に素直になること、自分の本音
を確認すること」を再び訴えた。古野の言葉はプレイヤーたちに響いたのだろうか…。

13:30 <メンタリング>


古野のレクチャーを受けた後、プレイヤーたちに大きな変化が現れ始めた。この研修
に持ってきたプランを一から考え直しはじめるプレイヤーがでてきたのだ。「今から
考えて第二次審査に間に合うかなぁ。」と不安そうなプレイヤーや、自分の本音に気
付き、計画していたプランは本気ではなかったと感じ始めるプレイヤーも出てきた。

何度もメンタリングを受けて、自分が今まで何もやってきていないことに気付き、
「これから何をするか」を本気で考えていかなければならないと自覚するプレイヤー。
第二次審査に通過するためには、すべて仮説を立てて考え、シートを埋めるしかない
と気付くプレイヤーもいた。

あるチームが長い時間沈黙で過ごしていた。話をきくと、「このプランでは、私が
本当にやりたいことは達成できない気がしてきました」と言う。本当に解決したい
社会的問題、すなわち目的が見つかり、その目的を達成するための手段として、今
までのプランでは対象人数も少なく、効果的ではないという。やりたいことと、や
ろうとしていることの不一致を感じたようだ。

社会起業家を目指す人が抱く目的は大きい。目的にまず気付いてから手段を細分化
しなければならない。手段が先に来て、後から目的にをつくる人は、このような事
態が起きてしまう。このような矛盾が起こらないように、メンターたちは最初に、
「細かいことは置いといて、あなたは一体何をしたいの?」「何をどのように変え
たいの?」と問うのだ。



5時間に及ぶ長いメンタリングの時間が刻一刻と過ぎ、夕食の時間がきた。メンター
たちはこの5時間のメンタリングの様子を見て、当初予定していた夕食後のメンタリ
ングをなくした。「もうメンタリングを受けて、どうしようこうしようという段階
ではない。第二次審査シートに、今自分が思い描いているプランを記入するときだ」
と古野。シートの提出は3日目の朝9時まで。もう時間はわずか。プレイヤーたちに
焦りが見え始める。

18:30 <夕食>
夕食時の盛り上がりの内容はプランについてだった。ラストスパートに入る前にプレ
イヤーたちは自分のプランについて熱く語っていた。今回、プレイヤーたちは「ごち
そうさまでした!」「時間が惜しいので、早めに上がってプランを練ります!」と言
い、勢いよく食堂を出ていった。

20:00 <個別作業>
いつの間にか雨がやみ、静かな夜が訪れた。プレイヤーたちは第二次審査シートと向
かい合い黙々と作業に取り掛かる。プレイヤーたちは何かふっきれたのか、やりたい
ことを一つに絞り、それに突き進んでいた。会場が静かな熱気で満ちていた。



あるプレイヤーが「edgeっていうこの場ってすごいな!って思います。壁にぶちあた
っているときにメンターや他のプレイヤーたちが自分のところに来てくれて、喋って
くれて、問題が解決されたりする…奇跡の連続です!」と熱く語ってくれた。

23:00 <就寝時間>
長い長いメンタリングの1日が終わろうとしていた。この時点では、ほとんどの人が
第二次審査シートは未完成の状態。プレイヤーたちは「夜通しやるぞ!」という勢い
で部屋に帰っていった。

3日目の朝、全プレイヤーが第二次審査シートを提出することはできるのだろうか。

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