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edge2010集合研修報告レポート1日目その1 [2009年11月25日(Wed)]
<edge2010集合研修>

10月31日より3日間、edge2010集合研修が兵庫県自治研修所にて開かれた。
この研修には、edge2010にエントリーし、第一次審査を通過した30組のチ
ームが参加した。

研修の最終日に提出する第二次審査シートにより、セミファイナル(第三次審査)
に進出するチームが決定する。今回は、この研修の詳細をお伝えする。

3日間のスケジュールはこちら
1日目
2009年10月31日、晴天。海辺にある研修所の会場には、強い日差しが延びていた。
12時30分、edge2010集合研修の受付が開始され、緊張した面持ちのプレイヤーた
ちが続々と会場へと入ってきた。

13:00 <実行委員長の挨拶>
プログラムが始まった。まず実行委員長の河内がedgeのコンペとは何なのか、そして
この3日間は何のためにあるのかを説明した。河内は、かつてedgeのコンペにプレイ
ヤーとして参加し、今では介護福祉系NPO法人「み・らいず」の代表として、この
業界を引っ張っている社会起業家の一人だ。



彼は、「我々edgeは、ただブラッシュアップコンペを行うだけではなく、社会起業家を
目指す若者たちのコミュニティ作りを目的としています。」と、話した。つまり、edge
は競争の場だけではなく、交流の場であるということだ。この研修には、社会起業家を
目指す同世代たちがたくさん集まっている。参加者は、この研修で、メンターからだけ
ではなく、他のプレイヤーたちからも、大きな影響や刺激を受けることになる。

「エントリーシートを見た時点では、多くのプランが社会起業としてのビジネス性を
考慮する視点に欠けていて、現場の目線が取り入れられていません。」「この3日間、
我々メンターを有効に使って、プランに磨きをかけてください!よろしくお願いしま
す!」と挨拶を終えた。

<メンター紹介>
委員長挨拶の後、理事の古野が、「メンターって何か分かる?」とプレイヤーたちに
問いかけ、説明した。

ここで一度、メンターとは何か軽く説明しておく。メンターとは辞書に「指導者、
助言者」とあるとおり、プレイヤーたちのプランをブラッシュアップするための助言
(メンタリング)を行う人を指す。

edgeのメンターたちは、それぞれ違う分野で、様々な経験をしている人が集まっている。
そのため、考え方・視点が異なり、メンタリングの進め方も実に多様だ。具体的な事業
計画立案を得意とするメンターや、プランの動機やその心理状況に重きを置くメンター
などがいる。

今回のメンターは過去プレイヤーも含め計12名。古野の合図で、メンター全員がプレ
イヤーたちの前に並び、一言ずつ自己紹介をした。一言ずつではあったが、プレイヤ
ーたちはある程度それぞれのメンターの雰囲気を掴めたようだ。

引き続き、古野が、3日間の基本的なスケジュールについて話した。「とにかく向き
合うこと!」と言う古野の言葉に、少し不安気なプレイヤーたち。このセリフの意味
は、後に明らかになるだろう。

13:45 <事業プランニングシート・ポスターセッション>
続いて理事の能島が「こんにちは!」と勢いよく挨拶した。しかし、プレイヤーたち
はまだ緊張しているのか、声が出ていない。
この時間は、まず、プランの6W3H(why, for whom, Haw far, what, how, when,
where, who, how much)を問うA3サイズの「事業プランニングシート」をプレイヤ
ーが記入する時間である。能島はこのシートを記入するための説明をした。

For whomやWhat の項目を書く際の考え方として、「あるラーメン屋は『自分の作る
ラーメンは美味しい』と思って店を出すのですが、これが本当にまずいんです。まずい
ラーメンは誰にも必要とされません。」とラーメン屋の例などを用い、最終的には
「自分のやりたいことと人々が求めているものは一致しているか」をプレイヤーに問い
かけた。この例を使って話している際に、何度か笑いが起こり、プレイヤーたちの緊張
がほぐれていくように見えた。

「それではスタート!」という能島の声でシートの記入作業が開始された。今回、この
研修に一人で参加したチームも多かった。彼らはメンバーと相談することはなく、作業
開始と同時にシートを書き始めていた。一方、複数人で来ているチームは相談から始め
なければならないため、取り掛かりに時間がかかっていた。思うままに書き続けるプレ
イヤーもいれば、事前に準備してきたプランの資料と睨めっこをしているプレイヤーも
いた。「書いてみるとやっぱり分からないことが多い。」と言って空白を多く残したま
まのプレイヤーも多かった。結局、手を止めずに書き続けたプレイヤーはおらず、全員
どこか自分のプランに穴を見つけたようだ。



30分が経過し、ここで作業終了。
次のワーク、『ポスターセッション』に入る。これはプレイヤーたちが2つに分かれ、
一方は他のプレイヤーのシートを見て質問をし、アドバイスやコメントをポストイット
に書いて貼って回り、もう一方はそうして貼られたコメントやアドバイスに応答すると
いう内容だ。もちろん、メンター陣は全員コメント側に徹する。

このワークは単なるアドバイス交換のためではなく、プレイヤー間の交流の意味も込
めている。プレイヤーたちはお互いに多少の緊張をしているのか、「はじめまして」
と挨拶から始めている。メンターたちだけではなく、プレイヤーたちも積極的に「費
用や対象は?」という具体的な質問や「このプランを実現してどうなるの?」など
根本的な問題を投げかけていた。最初は楽しそうに交流していたプレイヤーたちも、
多くの質問を投げかけられ、答えられずに困った表情を見せていた。

30分が経過し、役の交代。会場は一見すると交流会のような雰囲気だが、会話の内容
をよく聞くととても真剣なものだった。この独特の空気はedgeの一つの特色でもある。



このワークの終了後、15分ほどの休憩。プランのことが気になり、休憩にも関わらず
ワークで投げかけられた質問やアドバイスを一つずつチェックし、考え込むプレイヤー
もいた。
あるプレイヤーは「みなさんの質問のおかげで、自分でまだまだ浅いんだなぁって気
付きました。今はアドバイスをノートにまとめて、何を考えなければならないのか整理
しています」と話してくれた。こういったひたむきな姿勢を見ると、思わず応援したく
なってくる。

15:50<講義「いい事業計画をつくろう!」>
休憩が終了し、関原による講義が行われた。細かい説明よりもまずは具体例を見るべき
とし、コロッケやトマトなど食品事業の成功例を提示した。プレイヤーに「新規事業が
成功する可能性は?」と質問する関原。ちなみに新規事業の成功率は50%と驚きの結果。
その後も彼は「事業計画の必要要件」「CRM・CSRについて」などの専門的な内容で
プレイヤーを魅了し、講義を進めた。
講義の終盤では、「特に社会事業を実施するうえでの注意点」を「最高級食材を集めた
まずい丼症候群」などの例を用い、「組織を部分(個々人)の集合体と捉えるのではなく、
それ(組織)自体を一つのものとして捉えなければならない。寄せ集めの集団ではだめだ」
とユーモアたっぷりに説明したため、何度かプレイヤーたちから笑い声が聞こえた。
つまり、組織をつくっていく際に、リーダーは能力の高い人ばかりを集めるのではなく、
お互いの能力やメンタルを補完しあえる仲間を見つけることが必要になるということだ。
そうでなければ、『最高級食材を集めた不味い丼』のような組織ができあがってしまう。
まだ仲間のいないプレイヤーもいるが、是非このことを意識して仲間を見つけてほしい。

約一時間の長いようで短い、とても内容の濃い講義だった。この講義でプレイヤーは多く
のことを学んだはずだ。

16:45 <第二次審査シート説明>
休むことなく能島による第二次審査シートの説明が行われた。プレイヤーたちはこの
シートを3日目(最終日)の朝までに提出しなければならない。
第二次審査の審査基準は「適切性」・「社会変革性」・「実現可能性」・「成長性の」
4つ。この時点では多くのプレイヤーが手をつけられない状態だった。

能島は、サービスの対象者について説明する際に「ラーメン屋はどこまでの人を商売の
対象とすべきなのでしょうか? 全人類対象でしょうか? いやいやそれはちょっとお
かしいですよね(笑)」と、再びラーメン屋を例におもしろおかしく話を進めた。
また、「適切性」について、ファーストフード店と空腹と肥満の関係を社会事業とニー
ズの問題に置き換えて分かりやすく説明した。「ファーストフード店は、確かに我々の
空腹という問題を短期的には解決してくれるが、長期的に見れば肥満問題を生み出して
いる」「デブになることは私たちが本当に求めているものではない」と。人々が本当に
求めているのは社会的な問題の解決であるという真剣な内容を説明しているのに、おも
わず笑ってしまうようなたとえ話だった。プレイヤーはこの時点で少し疲れた表情を見
せ始めていた。

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