宿泊施設向け研修会in知床羅臼
昨年7月8日に催した宿泊施設向けエコツーリズム研修会inウトロに続き、宿泊施設向け研修会「中小規模の宿泊施設ではじめる省エネ」を羅臼の民宿本間で行いました。土曜の午後という時間帯にも関わらず、熱心な宿泊施設運営者が集り実り多い研修会となりました。


まずは今話題の映画「不都合の真実」のプレビューを見ていただき、地球温暖化が世界規模で起きていること、その原因は先進国の私達が作っていること、そして知床も温暖化により流氷が着岸しないことになる等可能性についてお話しました。流氷が見えなくなると、冬期集客ができないことによる経済的打撃は避けられず、他人事ではないと理解頂きました。また、省エネすることは環境に優しい心がけを持つことから始まりますが、実際施設運営者にしてみれば、光熱費を浮かせることが経営上最も重要ですので、実際にどのような省エネ行動をするといくら「浮くのか」という具体例をお見せしました。また古い機器を高効率の省エネモデルに買い換える時に有用な省エネカタログの使い方を知って頂きました。
こちらの民宿ではすでに環境問題について出来ることから手がけておられ、環境問題に対する関心の高さが伺われました。特に前回の研修会以来、待機電力カット等による省エネ行動を着実に実践しておられ、光熱費が約1割減ったという嬉しいニュースも聞かれました。単純計算で年間削減額は8万円になります。これで更に省エネができるように投資して頂ければ更なる削減効果が期待できます。
今回は実際の光熱費だけではなく、二酸化炭素の排出量等を以下の項目を入力して算出し、宿屋の経営がどのように環境負荷をかけているのかを数値で分かるように工夫しました。データは請求書の数値(使用量、基本料金)や最も適切であると思われる数値(ゴミ袋)を過去12か月分集めて頂きました。このような貴重なデータを公開されることに同意して頂いた本間様には感謝しております。
1)電力(kwh)
2)上水道(立米)
3)LPガス(立米)
4)ガソリン(リットル)
5)軽油(リットル)
6)ゴミ(45リットル袋)

まず光熱費別で見てみると、年間通して最も多いのが給湯・照明・調理用の電力、そして冬季を中心に暖房用の灯油と続きます。金額の約46%を占める電力と約35%の灯油は省エネの効果が出やすいと考えられます。

次に月別で光熱費を比較すると、電気代はお客さんの多い7月から10月が約3割増えますが、その他の月は安定しています。また、冬季1月から4月はお客さんの入り込み数にあまり左右されずに灯油代が著しく高くなっています。(グラフでは給油する必要がなかった3月は少なく表示されています)また除雪用のガソリン代が冬季のみ必要等、季節による光熱費の変化がとても興味深い結果となっています。

一見すると、料金図との差があまりないように思えますが、灯油のみでは7%UPしています。二酸化炭素に換算する係数が大きいことに起因しており、灯油での暖房に依存するのは環境に優しいとは言えないことが伺えます。また北海道では化石燃料による発電の依存度は全国平均より高く、また家庭用エネルギー消費原単位では5割増し以上となっています。将来の資源制約を考えると、脆弱なエネルギー構造となっており、道内でのこれからの省エネ効果に期待したいところです。
年間を通してこちらの民宿が排出する二酸化炭素は約45トン、最も少ない6月で1.6トン、最多の2月は約4倍の6トンとなっています。寒帯林での二酸化炭素吸収量は1ヘクタールで22トンですから、炭素中立になるのに約2ヘクタール分の森林が必要です。樹高2メートルまでの落葉広葉樹高木・まつ類だと3,462本の植林が必要という結果になりました。(出典:樹木における二酸化炭素吸収量の算出法)
同様の結果がノーリツさんのウェブサイトでも算出できます。
施設内(客室、浴場、トイレ、厨房、居間等)では、省エネ効果が上がりそうな機器を中心に参加者の皆さんと見てまわりました。実際に省エネ効果が既に出ているので関心は高かったように思います。経済面での検討が必要ですが、更に環境に優く光熱費が安くなるために以下のご提案をさせて頂きました。
・太陽光・太陽熱などの再生可能エネルギーによる暖房、給湯への切り替え
・夜間電気料金への切り替え(エコキュート等)
・新しく高効率の冷凍冷蔵庫、業務用冷凍庫への買い替え
知床は世界遺産効果による観光客の急増により、環境負荷の増大から当分の間逃れることはできません。目をつぶることはできても、それを解決することにはならないでしょう。エコツーリズムを推進するのであれば、官民一体となり、環境に配慮した地域ぐるみの活動が欠かせません。エコツアーだけではなく、宿泊産業、交通機関が一丸となりはじめてエコツーリズムと言えるのです。観光業だけではなく、それを支える一次産業、また地域住民に幅広い還元がなければなかなか簡単には進みませんが、出来るところから着手する姿勢が大切だと思います。
知床羅臼旅館組合の加盟施設の皆様をはじめ、これから更に環境意識の高い宿泊施設が増えていくことを願っています。この度は研修会の場を提供して頂きありがとうございました。ウェブサイトにも環境に対する取り組みの表示をされることを願っています。(ま
)
リンク:民宿本間

中は人情と暖房であたたかい民宿本間

研修会はアットホームな雰囲気で開始
まずは今話題の映画「不都合の真実」のプレビューを見ていただき、地球温暖化が世界規模で起きていること、その原因は先進国の私達が作っていること、そして知床も温暖化により流氷が着岸しないことになる等可能性についてお話しました。流氷が見えなくなると、冬期集客ができないことによる経済的打撃は避けられず、他人事ではないと理解頂きました。また、省エネすることは環境に優しい心がけを持つことから始まりますが、実際施設運営者にしてみれば、光熱費を浮かせることが経営上最も重要ですので、実際にどのような省エネ行動をするといくら「浮くのか」という具体例をお見せしました。また古い機器を高効率の省エネモデルに買い換える時に有用な省エネカタログの使い方を知って頂きました。
こちらの民宿ではすでに環境問題について出来ることから手がけておられ、環境問題に対する関心の高さが伺われました。特に前回の研修会以来、待機電力カット等による省エネ行動を着実に実践しておられ、光熱費が約1割減ったという嬉しいニュースも聞かれました。単純計算で年間削減額は8万円になります。これで更に省エネができるように投資して頂ければ更なる削減効果が期待できます。
今回は実際の光熱費だけではなく、二酸化炭素の排出量等を以下の項目を入力して算出し、宿屋の経営がどのように環境負荷をかけているのかを数値で分かるように工夫しました。データは請求書の数値(使用量、基本料金)や最も適切であると思われる数値(ゴミ袋)を過去12か月分集めて頂きました。このような貴重なデータを公開されることに同意して頂いた本間様には感謝しております。
1)電力(kwh)
2)上水道(立米)
3)LPガス(立米)
4)ガソリン(リットル)
5)軽油(リットル)
6)ゴミ(45リットル袋)

光熱費別金額
まず光熱費別で見てみると、年間通して最も多いのが給湯・照明・調理用の電力、そして冬季を中心に暖房用の灯油と続きます。金額の約46%を占める電力と約35%の灯油は省エネの効果が出やすいと考えられます。

月別年間光熱費
次に月別で光熱費を比較すると、電気代はお客さんの多い7月から10月が約3割増えますが、その他の月は安定しています。また、冬季1月から4月はお客さんの入り込み数にあまり左右されずに灯油代が著しく高くなっています。(グラフでは給油する必要がなかった3月は少なく表示されています)また除雪用のガソリン代が冬季のみ必要等、季節による光熱費の変化がとても興味深い結果となっています。

光熱費別二酸化炭素排出量
一見すると、料金図との差があまりないように思えますが、灯油のみでは7%UPしています。二酸化炭素に換算する係数が大きいことに起因しており、灯油での暖房に依存するのは環境に優しいとは言えないことが伺えます。また北海道では化石燃料による発電の依存度は全国平均より高く、また家庭用エネルギー消費原単位では5割増し以上となっています。将来の資源制約を考えると、脆弱なエネルギー構造となっており、道内でのこれからの省エネ効果に期待したいところです。
年間を通してこちらの民宿が排出する二酸化炭素は約45トン、最も少ない6月で1.6トン、最多の2月は約4倍の6トンとなっています。寒帯林での二酸化炭素吸収量は1ヘクタールで22トンですから、炭素中立になるのに約2ヘクタール分の森林が必要です。樹高2メートルまでの落葉広葉樹高木・まつ類だと3,462本の植林が必要という結果になりました。(出典:樹木における二酸化炭素吸収量の算出法)
同様の結果がノーリツさんのウェブサイトでも算出できます。
施設内(客室、浴場、トイレ、厨房、居間等)では、省エネ効果が上がりそうな機器を中心に参加者の皆さんと見てまわりました。実際に省エネ効果が既に出ているので関心は高かったように思います。経済面での検討が必要ですが、更に環境に優く光熱費が安くなるために以下のご提案をさせて頂きました。
・太陽光・太陽熱などの再生可能エネルギーによる暖房、給湯への切り替え
・夜間電気料金への切り替え(エコキュート等)
・新しく高効率の冷凍冷蔵庫、業務用冷凍庫への買い替え
知床は世界遺産効果による観光客の急増により、環境負荷の増大から当分の間逃れることはできません。目をつぶることはできても、それを解決することにはならないでしょう。エコツーリズムを推進するのであれば、官民一体となり、環境に配慮した地域ぐるみの活動が欠かせません。エコツアーだけではなく、宿泊産業、交通機関が一丸となりはじめてエコツーリズムと言えるのです。観光業だけではなく、それを支える一次産業、また地域住民に幅広い還元がなければなかなか簡単には進みませんが、出来るところから着手する姿勢が大切だと思います。
知床羅臼旅館組合の加盟施設の皆様をはじめ、これから更に環境意識の高い宿泊施設が増えていくことを願っています。この度は研修会の場を提供して頂きありがとうございました。ウェブサイトにも環境に対する取り組みの表示をされることを願っています。(ま

リンク:民宿本間
【エコロッジ出前講座の最新記事】
早速、私でも出来るシャワ−の蛇口を取り替えたり、冷蔵庫の温度を高を弱に切り替えたり、トイレの水周りにペットボドルを入れてみたり、便座温度を下げたり、色々見回せば有りますね、一番の協力者の夫に先日の高山先生の研修内容を説明し理解してもらうのに勤めております。
そんなある日、NHKの生活ホットモ−ニングで省エネCO2のクイズを致しました〜〜たまたま二人で見ておりクイズに答えておりましたら私は全問正解し、夫は半分ぐらいの正解しかえれませんでした。
それから全ては自分自身で見て回るような念の入れように変わりました。
省エネは自分の意識改革がとても大事だと言うことが良く判りました。
私の身近な人に、この度の研修の内容を話してあげてなるべくCO2の排出量を削減することを広めて参りたいと思っております。
本当に色々な事を教えて頂き心より感謝致しております。
少しでも早く地球上のCO2削減に積極的に意識を持って活動しませんと小さな国が消えてしまい取り返しが付かなくなり、流氷も羅臼に接岸しなくなります、今冬は知床半島を回りはしたものの、今だに接岸するほどには至っておりません。
ロシアで先日流氷が溶け出し流氷の上に450人もの人が取り残され風に押されて沖に流されヘリコプタ−が救出する騒ぎがありました。
極東のロシアで考えられないことでしょうが、温暖化の影響は身近な所で沢山あり、此の先どんな事が有るか末恐ろしい気が致します。
私も地域で色々な方に機会あるごとに伝えて行きたいと思いますが、どうぞ今後とも宜しくご指導の程お願い致します。