幸せ気分 誕生記 [2009年04月03日(Fri)]
山元加津子さんのドキュメンタリー映画「1/4の奇跡〜ほんとうのことだから〜」は、山元加津子さんと、MSだった笹田雪絵ちゃんの約束を伝えています。
「幸せ気分」出版のお手伝いをした時それこそ、お金もない、経験もない中で、とにかく雪絵ちゃんの目が見える間に本にしたくて自費出版しました。 雪絵ちゃんは、本屋さんに並ばなくて読んでもらえるかしら、と心配されていましたが、必ず広まると思っていましたので、少なくとも1万冊になるまで続けるからと約束しました。 今、7刷(7000冊目)を印刷中です。 本屋さんにも、どこにも並んでいなくて、山元加津子さんの講演会と、口コミでここまできました。雪絵ちゃんは、2003年に天に帰られましたけれど、映画ができてから本のお問合せが増え、この1年ちょっとで7刷に入れました。 本を創るお手伝いをしようと、雪絵ちゃんに会いに小松へ向かった日が、ついこの前のような気がします。 本を創った時書いた誕生記です。1998年もバブル崩壊して大不況でした。今はあの頃を上回るすごい状況です。だからこそ、心に目を向け、つながること、生き方を模索することの大切さを思う人増え、1/4の奇跡も 多くの人の心に届いているのだと思います。 「幸せ気分 誕生記」 この本は多くの人の想いと協力で生まれました。“ないないづくし”の中少しづつ力を寄せ合うことで誕生した、現代のおとぎ話のような気がしています。 雪絵ちゃんこと笹田雪絵さんの文章と出会ったのは今年の春のこと、養護学校教諭山元加津子さんの“たんぽぽの仲間たち”というホームページを通じてでした。「雪絵ちゃんの文章を本にして下さる方を探しています」という一文を見て、掲載されていた文章を一読して釘付けになりました。 14歳のときMS(多発性硬化症)という難病にかかり27歳の現在迄入退院を繰り替えしている女性とは、とても信じられませんでした。思わず「心当たりの人にたずねてみます」とメールを出したことから本創りが始まりました。 4月初旬、山元先生と雪絵ちゃんに会いに小松へ向かいました。 全てを好きでいたいという強い意志と、考え深さ等からきているのかもしれませんが、やわらかな明るさに感動という一言で片づけられない衝撃を受けました。病気を武器にせず逃げないでまっすぐ見つめておいでの様子に励まされ、山元先生が「雪絵ちゃんは私の勇気です。」と言われる訳が分ったような気がしました。 雪絵ちゃんの本を創ることは、このところの不景気と閉塞感の中で行き暮れているような気分の多くの人への勇気にもなるのではと思えました。 新しい書き下ろしの文章も届きそろそろというある日、雪絵ちゃんから「今は大丈夫ですが、8月末にちょっと目が見えなくなって」との電話が入りました。行き違いなどから当初予定していた形では出版できず、本作りなどした事もないのが、資金集めから考えることになり途方に暮れましたが、なんとか早く本にしたいと印刷会社の友人に相談したところ、入力してあれば数十万円安くできるとのことに、山元先生が入力は得意だからと引き受けて下さり百編程の文章のあらかたをアッという間に入力されました。 他に加賀、岐阜、名古屋の友人たちにも数編づつ入力を引受けてもらい驚くほど早く入力原稿が揃いました。資金は3分の1に近いような額の本を予約して下さった方や、カンパして下さった方に励まされ、何とかなるに違いないとの想いで動き始めました。 編集の相談にのってくれた友人、少しでも安く、早く、ステキな本にしようと親身になって引き受けて下さった企画や、デザイナーの方のお陰で一ヶ月半ほどで雪絵ちゃんの本が生まれました。 みんなの想いと力で生まれた本です。雪絵ちゃんの文章にもありますが、協力 る心が奇跡を生むのだと思いました。 1998年発行人 鶴田紀子 |