
2020年冬に蔓延した新型コロナウィルスは、5月に緊急事態宣言が解除された後も感染が収まりを見せず、私たちの日常であった通勤・通学や友人・家族・ご近所との交流を寸断しました。飲食業や旅行業など業界全体にも大きな影響をもたらす一方で、同じ業界にあっても影響の大きい、小さいの差があって、例えば建築業界では公共事業がストップしている一方で、リフォームなどを手がけている仕事は増えています。
新型コロナウィルスが、私たちの社会を強制的に変化させようとしています。
エコアパートは、もともとコミュニティの形成や、都市部における緑化推進、地震や台風などの災害対策を念頭に設計されてきましたので、今回の件は想定外の出来事でした。在宅勤務など自宅での時間がふえることで『家での時間をどう過ごすか』という課題に、社会全体が直面することになりました。そして、菜園は非常に相性の良いアイテムとなりました。
花園荘の住人の皆さんは、菜園の手入れをしたり、軒下でバーベキューをしたりと、このストレスフルな社会状況にあって楽しみながら時間を過ごしています。
また、お互いの菜園を見学するなど、密な状況を避けながら、ご近所同士の交流も積極的に行っていますが、この『交流』も気分転換には大いに役立っているようです。
一方で停滞したものや課題も見えてきました。

大勢が集まって楽しむピザ窯は、長い間煙突にバケツをかぶせたままです。バーベキューは各世帯で行うミニマムサイズが主流となり、しばらくお休みです。
また、自宅で仕事をする住人さんも増えたことから、夏を目前としてエアコンの増設などは必要になりそうです。
今回の出来事では、エコアパートは偶然その強みを発揮することが出来ました。しかし、例えばデング熱が流行って蚊の駆除が必要とか、台風による豪雨で河川が氾濫するとか、別の出来事では弱みにさらされるかもしれません。
また、働き方改革をどんなに叫んでも変わらなかった日本の商慣行が強制的に変えられましたが、これが定着するのであれば、住環境に対する価値観も変わってくるでしょう。
短期的な変化と長期的な変化の波が私たちの社会を変えていくなかで、エコアパートはどのように変化に対応し、また対応しかねるのか、楽しみでもあり、不安でもあります。