10日の会見で、管総理は2030年までに総電力に占める原子力発電の割合を50%以上とする政府のエネルギー基本計画を白紙に戻して議論すると発表しました。
再生可能な自然エネルギーと、エネルギーを使わない省エネ社会を構築するとの考えですが、エネルギー政策の根本的な見直しは、将来の方向性を大きく変えてしまう、ものすごい発言です。
こういった発言が実現されると仮定するといったいどんな社会がうまれるでしょうか?
全体のことは大きすぎますが、アパート関連での状況変化を考えてみます。
エネルギー問題が個人レベルの経済問題と絡んでくると事はおおごとです。
例えば、太陽光発電などの電力が高く買われるようになるかわりに、通常の電気料金が高くなったりすると住まい手にとって「電気を食う住まい」は、遠慮されるようになります。
アパート物件を借りる人は、これまでは全く気にしなかった物件の省エネ性能、断熱性能や二重サッシかどうか、などを気にするようになるかもしれません。
借り手のニーズが、これまではオートロックがついているか、追いだき機能があるか、などが物件の付加価値となっていたものが、断熱性のはどうか(ランニングコストは?)に変わるとなると、提供者は住まい手のニーズに対応せざるを得なくなり、対応できない物件は競争優位を獲得できなくなります。
しかし一方で建物のようなハードは、なかなかそういった機能を追加しにくいものです。エコリフォームはチャンスかもしれません。
また、これまで太陽光発電をとりつけるアパートは、オール電化とワンセットでしたが、今後は蓄電機能を充実させ、電気代が不要な物件としてPRするようになるかもしれません。
そよ風の設置も増えるかもしれませんね。
これから引っ越しなどで物件をお探しの方は、ぜひ部屋の省エネ対策について聞いてみてください。照明などは対策しているかもしれませんが、断熱などにはほとんど対応していないと思います。
ニーズのないところに対応はしづらい、がビジネスの定石ですが、一方で建物は一度建てたら20〜30年は変更しにくいですので、こういったルール変更に伴うニーズの変化については敏感になっておく必要があるでしょう。