エコアパPT平田です。
京都議定書の約束年を来年に控え、政府は2010年の排出量削減が目標値達成が厳しい情勢であることを発表しました。
経済界が定めた削減の自主行動計画により産業部門の排出量は減るものの、業務部門・家庭部門・運輸部門の増加がそれを上回っているようです。
京都議定書は温暖化を食い止める最初の1歩であり、2050年に向けて、温暖化ガスの排出量を半減から7割減させる必要があるといわれているのに、その1歩で躓こうとしているのは残念です。
私たちは今、「ポイント・オブ・ノーリターン(引き返せない地点)」という、重要局面の年に生きているといわれています。
東京大学教授の山本良一氏は、
2025プロジェクトのコラムで、ポイントオブノーリターンを次のように説明しています。
■以下、青字部分引用■
地球の気候システムの巨大な熱的慣性のためにある時点(ポイント・オブ・ノーリターン)を過ぎると、たとえそれ以降温暖化効果ガスの放出を全面停止したとしても、それ以下に抑制したい気候ターゲットを突破して気温上昇は進んでしまう。このために"地球温暖化"問題へは可能な限り早期の対策が求められるのである。それでは地球温暖化のポイント・オブ・ノーリターンは何時頃であろうか。二酸化炭素(CO2)のような温暖化効果ガスの放出に対して、大気は10年程度、海洋は100年以上の時間をかけて応答することを考えると、大ざっぱに言って気候ターゲットを突破する年の10年程前頃がポイント・オブ・ノーリターンの年であると考えられる。そうすると高度経済成長下の気候シミュレーションの結果によれば(「気候変動+2℃」(ダイヤモンド社、2006年)参照)、1.5℃突破のポイント・オブ・ノーリターンは2006年頃であり、2℃突破のポイント・オブ・ノーリターンは2026年頃となる。すなわち、日本の研究者によって行われた世界最高水準の気候シミュレーションの結果によれば、今年がひょっとすると生物種の大量絶滅の引き返すことのできない年かも知れないし、あと10年程すると今度は人類の環境破局の引き返すことができない年かもしれないのである。■以上引用終わり■
たくさんの荷物を積んだトラックが急ブレーキを踏んでもすぐに止まらないように、今すぐ温暖化ガスの排出をゼロにしても、温暖化は止まりません。
目の前の危機が見えないことが、温暖化の問題のむずかしさでもあります。目に見えてからでは遅いのですが・・・。
しかし、逆の見方をすれば、私たちの今の取り組みが未来にポジティブな影響を与えることができるのです。
では私たちに何ができるのか?
なにも、「今すぐ行動を!!」などと堅苦しいことをいうつもりはありません。
ポジティブな影響は、楽しくクリエイティブな発想から生まれるものだと思うのです。
まずは、20年後の自分を想像してみてはどうでしょう?
どんな家に住み、どんなものを食べ、どんな仕事をし、どんな人と、どんな会話をしていたいか。
その時の空の色は?空気の匂いは?
そして20年後の自分に向けて、今の自分がなにかポジティブなメッセージ(贈り物)を送ることはできないかと考えてはどうでしょう?
そんな風に考えるだけで、世界は変わるのかもしれません。
エコアパPTにかかわるたくさんの人が、少しでもそんな風になってくれたら、人をつたってメッセージは広がるかもしれません。
「さあ、そろそろ持続可能なポイントへ舵を切り替えましょうかね」