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オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する課題は生煮えのまま [2019年03月29日(Fri)]
消費者委員会オンラインプラットフォーム専門調査会の報告書がまとまりつつあります。
(*以下は、3/26に開催された第14回専門調査会で提示された案と、その際の議論に基づいて書いています。おそらく現在最終調整中で、最終版は近く公開されると思います。)

昨年7月に少しだけ報告して以来、途中経過を報告できていませんでしたが、ほぼ全ての会合を傍聴した印象をまとめると、

オンラインプラットフォーム上の取引について、消費者に対する責任をプラットフォーム事業者に寄せる方向に導こうとしたが、実態の分析も理論構成も不十分で、中途半端に終わった。

と私には見えました。いちばん問題だったのは、せっかくアンケートを取ってユーザーの声を集め、消費者トラブル事例事業者の自主的取り組みについてヒアリングをしたのに、それらがどのように関連するのか、十分に分析できていなかったことだと思います。

アンケートでは、モール、オークション/フリマ、シェアリングエコノミーを利用した人のうち、トラブル経験がないと回答した人が7割、あると回答した人が3割という結果が出ていました。

この「3割」が何を意味するかを分析しない限り、課題は明確にならないはずです。専門調査会でのアプローチは、トラブルがなぜ起こったかについての分析は行わず、表面的にトラブルを分類し、それぞれの類型への対応として、プラットフォーム事業者の自主的な取り組みを当てはめるというものでした。

第6回会合では、これについて委員から、「表の左(トラブル事例)と右(事業者の取組み)は1対1対応するものではない」「挙げられた事例が、取組みを行っていないプラットフォームで起こったものか、取組みを行っているプラットフォームで取組み不十分なために起こったものかがわからない」「事例の裏に潜む構造的、制度的な問題に着目して議論すべき」といった意見が出されていました(第6回議事録)。しかしその後の会合で、各事例について、トラブルの原因や背景つまり問題の所在が深掘りして検討されることはありませんでした。消費者側からトラブルを見ている委員とプラットフォーム側からトラブルを見ている委員、そして様々な知見を有する有識者委員が一堂に会する場で、いろいろな角度から課題を議論できるせっかくの機会だったのに、本当にもったいなかったと思います。

第6回では「プラットフォーム上の取引は、プラットフォーム外の取引と比較して、より安全安心と言えるか」という議論もされ、肯定的な意見が多かったように思います。「トラブル経験なしが7割」というアンケート結果は、この観点とかなり関係するのではないかと思いますが、残念ながらアンケートはそこに着目した設問ではなかったので、明確には言えません。報告書案には「第5 プラットフォームを介在する取引の重要性や特徴」という章が設けられていますが、この点には触れられず、3省合同の「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」などからの引用で、プラットフォーム事業者が責任を負うべきとする理由が列挙されているように見えます。ここをもう一工夫して、「この課題については、こういう機能を持つプラットフォームに、こういう対応を期待したい」といった書き方にできれば良かったかも知れません。

さて、この専門調査会、毎回3時間と贅沢な時間設定でしたが、トータル時間の半分以上は、海外法制などの紹介に費やされていたように思います。EUや中国の新しい動きは興味深く、勉強になったのは確かです。報告書案では「第4 海外の動向」として1章割かれていますが、その中から、どの部分を日本の制度に取り入れたら今の課題が解決するのか、という検討はありませんでした(課題が明らかになっていないので当然かも知れません)。

ただ、第14回では、中国の法制を参考に、C2C取引のトラブルで「取引相手と直接話し合いたいが連絡が取れないといった場合、プラットフォームがどこまで情報開示すべきか」という話になりました。消費者保護とプライバシー保護のトレードオフ、匿名での紛争解決の可能性など、様々な視点で検討を要する事項の一つと思います。優越的地位の濫用問題など、消費者保護とのトレードオフを議論すべき事項は他にもありそうです。個々の問題について、このように具体的な議論をしたら有意義だったのに、と改めて感じた次第です。
Posted by 沢田 登志子 at 16:43 | 沢田登志子 | この記事のURL | トラックバック(0)