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違法サイトと戦うための法整備を期待します [2018年05月01日(Tue)]
結局、政府としては、3つの海賊版サイトについて、ISPに対しブロッキングを「要請」するのはやめ、4/13に、「要件を満たせば違法性が阻却される」とだけ言って「あとは民間で自主的によろしく」と判断を委ねる感じの「緊急対策」を決定しました。

その後、有識者が改めて反対の声を上げる緊急シンポジウムが開催され、問題の海賊版サイトがGoogleの検索結果から削除されたかと思えば、NTTグループ3社が「ブロッキングします宣言」をして、うち1社が訴訟を提起され・・・と、話題が尽きない状態が続いています。

「緊急対策」によれば、次の段階として「知的財産戦略本部の下で、関係事業者、有識者を交えた協議体を設置し、早急に必要とされる体制整備を行う」のだそうです。

ここでいう「体制整備」やNTTグループが希望する「法制度整備」の内容はわかりませんが、「こういう場合はブロッキング(=通信の秘密を侵害)しても良い」という基準を立法化する方向だとしたら反対です(立法もなく実施するのはもっとマズいですが)。

ブロッキングはあくまで最後の最後の手段であり、権利を侵害された人がまずやるべきことは、違法サイト自体をシャットダウンさせ、権利侵害の主体を突き止めて直接戦うことであるはずです。自分の権利を守るための喧嘩に、関係ない他人(ISPや一般人)を巻き込んではいけません。喧嘩相手が海の向こうだという理由で、戦うための手続きが行き詰まるのであれば、そこにこそ立法措置が求められるのではないでしょうか。

それは「知財本部の下で」つまり知財侵害との関係だけで議論すべきではないと思います。名誉毀損、プライバシー侵害、詐欺、わいせつ、麻薬・・・様々な違法サイトと国境を超えて戦うための手続法の整備は、各分野に共通の課題です。それぞれの分野での蓄積と英知を結集して、解決の方向を探るべきです。

その中で「通信の秘密」についてもアンタッチャブルとせず、児童ポルノの時の検討をベースに、国民目線を交えて改めて議論をすれば良いと思います。ブロッキング以外の手段(とその限界)について共通認識ができれば、「緊急避難」の要件に該当するかどうかもわかりやすくなり、知財侵害以外の場面での適用可能性も見えてくるかも・・・というのは甘いですかね。
Posted by 沢田 登志子 at 15:37 | 沢田登志子 | この記事のURL | トラックバック(0)
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