不動産購入時の重要事項説明をネットで
[2014年05月08日(Thu)]
4月24日、国土交通省で「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」が始まりました。
重要事項説明というのは、おうちを購入したり借りたりする際、契約の前に不動産屋さんから長々と説明を受けてハンコを押すアレです。宅地建物取引業法35条で「宅地建物取引主任者が説明すること」と義務づけられています。主任者証を提示したりするので、これまでは当然のように「対面で行う」という解釈・運用でしたが、インターネット経由でも良いことにしよう、というのが今回の検討です。
もう1点、契約成立後の書面交付に電磁的方法を認めるという検討もすることになっていますが、とりあえず重要事項説明(ジューセツと言うらしい)のことを中心にご紹介します。
対面とネット・・・うーんどこかで聞いたような話です。なんだかちょっと残念な終わり方をした昨年の一般用医薬品ネット販売の件と少し似ています。仕掛人は、楽天の三木谷社長率いる新経済連盟さん。
昨年6月に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」
に基づき、IT総合戦略本部新戦略推進専門調査会の下に規制制度改革分科会が設置され、12月に「IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン」がまとめられました。この中に「対面原則の見直し」という項目があり、e-ラーニングなどとともに不動産取引の重要事項説明が挙げられたので、国土交通省が(もしかしたら渋々?)動き出すことになったという経緯のようです。
見直すという方向は既に決まっているし、今回は高額とはいえ取引の話だけで「身体の安全」を気にする必要がないので、医薬品のようには揉めないと理解(期待)していましたが、初回(4/24)の会議では不動産業界の方々から結構な反対意見が出て、あらあら。という感じでした。
参考:日経新聞(4/25)記事
私はもちろん、わざわざ現地に出かけなくてもネットで重要事項の説明を受けられるようにした方が良いという意見です。現地を全く見ないで住宅を購入する勇気のある消費者はあまりいないと思いますが、転勤などで遠隔地にいながら情報を集め、物件を絞り込まなければならない場合もあるでしょう。広告に書かれたオイシイ話だけではなく、都市計画上の取り扱いや容積率など、希望する住み方にとって将来制約となるかも知れない要素があるなら、できるだけ早い段階で知っておきたいのが人情です。
平成18年に国土交通省で行われた「不動産取引における消費者への情報提供のあり方に関する調査検討委員会」報告書では、アンケート結果等から、契約直前の説明が専門的でよく理解できなくてもそのまま契約せざるを得ないという消費者の不満が取り上げられ、重要事項説明書は事前に(例えば契約の3日前位に)交付されることが適当である、と何とも当たり前の結論が出ています。5年経った現在もそれが十分に実現されず、未だに契約当日に初めて書類を渡されて説明を受けるというケースが多いことはオドロキです。
この報告書には「重要事項説明の際にはインターネットや電子メールの活用も必要」との記載もあり、今回の検討は、IT戦略本部から降ってきたものではありますが、本来はこの平成18年の報告書の延長線上で議論されるべきですね。IT化は目的ではなく手段なので、対面原則の見直しによって、「重要事項は最後(契約時)に一回しか説明しない」という悪しき慣習が崩れていくことを期待します。言った・言わないのトラブルもあるところ、どんな説明をしたか記録が残るという点も重要と思います。
国土交通省では、5月中に実証実験(Skypeなどで重要事項説明をしてみる)を行うそうです。次回6/3の検討会では、その結果を聞くことになっています。年内に最終取りまとめが予定されています。
重要事項説明というのは、おうちを購入したり借りたりする際、契約の前に不動産屋さんから長々と説明を受けてハンコを押すアレです。宅地建物取引業法35条で「宅地建物取引主任者が説明すること」と義務づけられています。主任者証を提示したりするので、これまでは当然のように「対面で行う」という解釈・運用でしたが、インターネット経由でも良いことにしよう、というのが今回の検討です。
もう1点、契約成立後の書面交付に電磁的方法を認めるという検討もすることになっていますが、とりあえず重要事項説明(ジューセツと言うらしい)のことを中心にご紹介します。
対面とネット・・・うーんどこかで聞いたような話です。なんだかちょっと残念な終わり方をした昨年の一般用医薬品ネット販売の件と少し似ています。仕掛人は、楽天の三木谷社長率いる新経済連盟さん。
昨年6月に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」
に基づき、IT総合戦略本部新戦略推進専門調査会の下に規制制度改革分科会が設置され、12月に「IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン」がまとめられました。この中に「対面原則の見直し」という項目があり、e-ラーニングなどとともに不動産取引の重要事項説明が挙げられたので、国土交通省が(もしかしたら渋々?)動き出すことになったという経緯のようです。
見直すという方向は既に決まっているし、今回は高額とはいえ取引の話だけで「身体の安全」を気にする必要がないので、医薬品のようには揉めないと理解(期待)していましたが、初回(4/24)の会議では不動産業界の方々から結構な反対意見が出て、あらあら。という感じでした。
参考:日経新聞(4/25)記事
私はもちろん、わざわざ現地に出かけなくてもネットで重要事項の説明を受けられるようにした方が良いという意見です。現地を全く見ないで住宅を購入する勇気のある消費者はあまりいないと思いますが、転勤などで遠隔地にいながら情報を集め、物件を絞り込まなければならない場合もあるでしょう。広告に書かれたオイシイ話だけではなく、都市計画上の取り扱いや容積率など、希望する住み方にとって将来制約となるかも知れない要素があるなら、できるだけ早い段階で知っておきたいのが人情です。
平成18年に国土交通省で行われた「不動産取引における消費者への情報提供のあり方に関する調査検討委員会」報告書では、アンケート結果等から、契約直前の説明が専門的でよく理解できなくてもそのまま契約せざるを得ないという消費者の不満が取り上げられ、重要事項説明書は事前に(例えば契約の3日前位に)交付されることが適当である、と何とも当たり前の結論が出ています。5年経った現在もそれが十分に実現されず、未だに契約当日に初めて書類を渡されて説明を受けるというケースが多いことはオドロキです。
この報告書には「重要事項説明の際にはインターネットや電子メールの活用も必要」との記載もあり、今回の検討は、IT戦略本部から降ってきたものではありますが、本来はこの平成18年の報告書の延長線上で議論されるべきですね。IT化は目的ではなく手段なので、対面原則の見直しによって、「重要事項は最後(契約時)に一回しか説明しない」という悪しき慣習が崩れていくことを期待します。言った・言わないのトラブルもあるところ、どんな説明をしたか記録が残るという点も重要と思います。
国土交通省では、5月中に実証実験(Skypeなどで重要事項説明をしてみる)を行うそうです。次回6/3の検討会では、その結果を聞くことになっています。年内に最終取りまとめが予定されています。