準則パブコメ始まりました
[2012年04月24日(Tue)]
昨年夏から検討していた「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂版がようやく日の目を見ました。4月18日に意見募集が始まり、5月17日まで受け付けています。今回新たに検討に参加されたある委員は、「あの準則が確定するまでには、膨大な合意形成のステップがあるんですね。。」と感心され(呆れられ?)ていましたが、正に。ドラフトができてからの方が大変だったりします。情報経済課のご担当者さん方、大変お疲れ様でした。
今回の改訂内容は、上記意見募集ページからのリンクでご覧ください。今年1月の当ブログでは、目玉修正論点の一つ「利用規約の契約への組入れと有効性」について少しだけご紹介しました。その時はまだどうなるか?という段階だった「共同購入クーポンの法的問題」も、新規論点の一つとして無事公表できて良かったです。
昨年お正月のスカスカおせち事件で一躍有名になってしまった共同購入クーポンですが、同事件においては、二重価格表示や誇大広告など景品表示法との関係が主に問題とされていました。相談現場では、「クーポンで提供されたサービスが広告と全く違う」という苦情に加え、「飲食店(/エステ/ホテル)のクーポンを購入したが、いつも満員で予約が取れず、期限切れになってしまった」というタイプの苦情が多く寄せられていました。クーポン発行サイトに返金を求めたが断られた、というものです。
そんなところから、いったいこの「共同購入クーポン」というのは、「誰が」「誰に」「何を」販売しているのか、消費者は、期待どおりのサービスが受けられなかった時に誰に文句を言うことができるのか、法的に整理できるといいね、という、主に相談現場からの問題意識があり、これが準則論点に取り上げた背景です。
前段の「クーポンって何?」というところが解明できれば、自ずと後段も整理がつくかと思われたのですが、結果的には前段だけでも非常に難しく、完全にすっきりとは整理できなかった感も残ります。苦悶しながらここまでに仕上げてくださったY先生、あれやこれやと知恵出しをしてくださった作業部会の先生方、ビジネスの観点できちんと見てくださった事業者委員の皆様には、(委託先事務局の立場で僭越ではありますが)お礼を申し上げたいと思います。
今回の原稿では、大きく分けて、共同購入クーポンを「債権譲渡」(クーポンサイトが加盟店に対して有する権利を利用者に販売する)と捉える考え方と、クーポンサイトが加盟店に対し「集金代行」「広告」といったサービスを提供していると捉える考え方、計3つの理念形をお示ししています。どれが正しいということではなく、事業者さんが採用するモデルによって、どの考え方が最も近いかという位の位置づけですね。どれにも当てはまらないモデルも当然あると思います。実際のお金の流れも法的評価に影響してきそうです。結局は、個別に詳細に見ていかないとわからないということではありますが、それでも、もやもやしていたところの整理が一歩進んだ意義は大きいと思います。
ややこしいのは、「共同購入」というところ。一定人数以上の申込みがあって初めてクーポンが成立するという点を、法的にどう表現したら良いか? ここは、「一定以上集まることを停止条件とし、それが満たされないと効力が発生しない契約」ということで整理していただきました。産業構造審議会で民法の先生方から多くのご意見を頂いたところです。
更に言うと、「一定人数以上の申込み」の前に「一定時間内に」という条件があり、これも共同購入クーポンを特徴づける重要な要素と思われます。「一定時間内に一定数」を確保するためにソーシャルメディアが駆使され、放っておいても、利用したい人がRTやシェアで瞬く間に広げてくれる。フラッシュマーケティングの神髄とも言えるこの点は、(法的にどうこうという話でもないので)今回の検討では触れていません。次回以降の改訂で、広告全般について改めて整理できれば良いなと思ったりしていますが、そんなことを言っている間に世の中はどんどん進んでしまい、クーポンに関しては、消費者クレームも殆どなくなってしまいました(良いことです。笑)。
ネットサービスのスピードにルールが追い付いていくのは至難の業です。プライバシー情報の扱いなど、急いでルール整備の必要があることと、マーケットで自然にルールができていく(のであまり触らなくて良い)こと。この峻別がきちんとできると良いですね。
今回の改訂内容は、上記意見募集ページからのリンクでご覧ください。今年1月の当ブログでは、目玉修正論点の一つ「利用規約の契約への組入れと有効性」について少しだけご紹介しました。その時はまだどうなるか?という段階だった「共同購入クーポンの法的問題」も、新規論点の一つとして無事公表できて良かったです。
昨年お正月のスカスカおせち事件で一躍有名になってしまった共同購入クーポンですが、同事件においては、二重価格表示や誇大広告など景品表示法との関係が主に問題とされていました。相談現場では、「クーポンで提供されたサービスが広告と全く違う」という苦情に加え、「飲食店(/エステ/ホテル)のクーポンを購入したが、いつも満員で予約が取れず、期限切れになってしまった」というタイプの苦情が多く寄せられていました。クーポン発行サイトに返金を求めたが断られた、というものです。
そんなところから、いったいこの「共同購入クーポン」というのは、「誰が」「誰に」「何を」販売しているのか、消費者は、期待どおりのサービスが受けられなかった時に誰に文句を言うことができるのか、法的に整理できるといいね、という、主に相談現場からの問題意識があり、これが準則論点に取り上げた背景です。
前段の「クーポンって何?」というところが解明できれば、自ずと後段も整理がつくかと思われたのですが、結果的には前段だけでも非常に難しく、完全にすっきりとは整理できなかった感も残ります。苦悶しながらここまでに仕上げてくださったY先生、あれやこれやと知恵出しをしてくださった作業部会の先生方、ビジネスの観点できちんと見てくださった事業者委員の皆様には、(委託先事務局の立場で僭越ではありますが)お礼を申し上げたいと思います。
今回の原稿では、大きく分けて、共同購入クーポンを「債権譲渡」(クーポンサイトが加盟店に対して有する権利を利用者に販売する)と捉える考え方と、クーポンサイトが加盟店に対し「集金代行」「広告」といったサービスを提供していると捉える考え方、計3つの理念形をお示ししています。どれが正しいということではなく、事業者さんが採用するモデルによって、どの考え方が最も近いかという位の位置づけですね。どれにも当てはまらないモデルも当然あると思います。実際のお金の流れも法的評価に影響してきそうです。結局は、個別に詳細に見ていかないとわからないということではありますが、それでも、もやもやしていたところの整理が一歩進んだ意義は大きいと思います。
ややこしいのは、「共同購入」というところ。一定人数以上の申込みがあって初めてクーポンが成立するという点を、法的にどう表現したら良いか? ここは、「一定以上集まることを停止条件とし、それが満たされないと効力が発生しない契約」ということで整理していただきました。産業構造審議会で民法の先生方から多くのご意見を頂いたところです。
更に言うと、「一定人数以上の申込み」の前に「一定時間内に」という条件があり、これも共同購入クーポンを特徴づける重要な要素と思われます。「一定時間内に一定数」を確保するためにソーシャルメディアが駆使され、放っておいても、利用したい人がRTやシェアで瞬く間に広げてくれる。フラッシュマーケティングの神髄とも言えるこの点は、(法的にどうこうという話でもないので)今回の検討では触れていません。次回以降の改訂で、広告全般について改めて整理できれば良いなと思ったりしていますが、そんなことを言っている間に世の中はどんどん進んでしまい、クーポンに関しては、消費者クレームも殆どなくなってしまいました(良いことです。笑)。
ネットサービスのスピードにルールが追い付いていくのは至難の業です。プライバシー情報の扱いなど、急いでルール整備の必要があることと、マーケットで自然にルールができていく(のであまり触らなくて良い)こと。この峻別がきちんとできると良いですね。