オンラインプラットフォームにおける取引の在り方とは??
[2018年07月04日(Wed)]
5月から消費者委員会に「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会」が設置され、ECネットワークからも原田が参加しています。
これまで3回の会合が開催されました。議事録はまだ載っていませんが、配布資料は公開されています。
初回(5/15)に事務局から検討項目案が提示されましたが、非マッチング型(SNS的なもの)にも対象を広げるべきとの意見が出たり、複数の委員がプライバシーの問題に関心を示すなど、ややカオスな感じで終わりました。
第2回(6/15)では、消費者相談の状況について3専門委員からの発表の他、違法情報媒介責任や広告とプライバシーの問題など非マッチング型を含むプラットフォームの法的問題全般について森亮二先生がプレゼンされました。検討対象を拡大するかについて十分な議論をする時間はなく、結論は出ませんでした。
第3回は、プラットフォーム事業者3社(楽天、メルカリ、ヤフー)の取組みの発表と、EUで検討中のルールについて現状の紹介でした。解説された京都大学大学院カライスコス准教授の日本語が完璧であることに圧倒されました。
EUの動きで注目されたのは、「オンライン仲介サービスに関する規則提案」(REGULATION OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL on promoting fairness and transparency for business users of online intermediation services)です。
EU域内のビジネスユーザー(ベンダー)が域内の消費者にモノやサービスを提供するのに利用する仲介サービス(検索エンジンを含む)の義務について定めるもので、EU域外のプラットフォーム事業者に対しても適用される、という提案です。
規則として最終決定されるのはまだ先のようですが、実現すれば、域外の事業者に対してGDPRと同様のインパクトがあるとの説明でした。
ただしこの規則案は、通信ネットワークやコンテンツを所管する部署が提案しており、つまり消費者保護を目的とするものではなく、単一市場としてのEUの競争力を高めることが目的のようです。規制内容も、B2Bを念頭に「仲介サービス事業者はビジネスユーザーに向けて○○の透明性を確保せよ(規約に記載せよ)」といったものが多い感じです。
他方、消費者保護指令の見直しの動き(New Deal for Consumers)も別途始まっています。消費者保護指令はオンライン以外の取引も対象とする広範な内容ですが、今回の見直しでは、プラットフォームにも焦点を当てていると思われます。
これまでのところ、会議に参加している消費者委員会委員と専門委員、それぞれが思い描く「オンラインプラットフォームに関して検討すべき課題」にバラつきがあり、どんな方向に進むのかまだ見えません。もしかしたら今後の検討は、これらEUのルールを日本にも、という提案の形で出てくるのかも知れません。それはそれで興味深いですが、EUのルールをそのまま持ってきたとしても、第2回で紹介された消費者トラブルから示唆されることや、事務局が計画中の消費者アンケートから導き出される(であろう)課題に対し、そのままハマるソリューションにはならないような気がします。
EUのルールの中身なども勉強しつつ、引き続き注視して参ります。
これまで3回の会合が開催されました。議事録はまだ載っていませんが、配布資料は公開されています。
初回(5/15)に事務局から検討項目案が提示されましたが、非マッチング型(SNS的なもの)にも対象を広げるべきとの意見が出たり、複数の委員がプライバシーの問題に関心を示すなど、ややカオスな感じで終わりました。
第2回(6/15)では、消費者相談の状況について3専門委員からの発表の他、違法情報媒介責任や広告とプライバシーの問題など非マッチング型を含むプラットフォームの法的問題全般について森亮二先生がプレゼンされました。検討対象を拡大するかについて十分な議論をする時間はなく、結論は出ませんでした。
第3回は、プラットフォーム事業者3社(楽天、メルカリ、ヤフー)の取組みの発表と、EUで検討中のルールについて現状の紹介でした。解説された京都大学大学院カライスコス准教授の日本語が完璧であることに圧倒されました。
EUの動きで注目されたのは、「オンライン仲介サービスに関する規則提案」(REGULATION OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL on promoting fairness and transparency for business users of online intermediation services)です。
EU域内のビジネスユーザー(ベンダー)が域内の消費者にモノやサービスを提供するのに利用する仲介サービス(検索エンジンを含む)の義務について定めるもので、EU域外のプラットフォーム事業者に対しても適用される、という提案です。
規則として最終決定されるのはまだ先のようですが、実現すれば、域外の事業者に対してGDPRと同様のインパクトがあるとの説明でした。
ただしこの規則案は、通信ネットワークやコンテンツを所管する部署が提案しており、つまり消費者保護を目的とするものではなく、単一市場としてのEUの競争力を高めることが目的のようです。規制内容も、B2Bを念頭に「仲介サービス事業者はビジネスユーザーに向けて○○の透明性を確保せよ(規約に記載せよ)」といったものが多い感じです。
他方、消費者保護指令の見直しの動き(New Deal for Consumers)も別途始まっています。消費者保護指令はオンライン以外の取引も対象とする広範な内容ですが、今回の見直しでは、プラットフォームにも焦点を当てていると思われます。
これまでのところ、会議に参加している消費者委員会委員と専門委員、それぞれが思い描く「オンラインプラットフォームに関して検討すべき課題」にバラつきがあり、どんな方向に進むのかまだ見えません。もしかしたら今後の検討は、これらEUのルールを日本にも、という提案の形で出てくるのかも知れません。それはそれで興味深いですが、EUのルールをそのまま持ってきたとしても、第2回で紹介された消費者トラブルから示唆されることや、事務局が計画中の消費者アンケートから導き出される(であろう)課題に対し、そのままハマるソリューションにはならないような気がします。
EUのルールの中身なども勉強しつつ、引き続き注視して参ります。