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UNCITRALでオンライン紛争解決(ODR)ルールの議論が本格化 [2011年06月21日(Tue)]
2010年、UNCITRAL(国際連合国際商取引法委員会)Online Dispute Resolution Working Group (ODR作業部会)が設置されました。第1回会合は2010年12月にウィーンで開催され、日本政府代表として、立教大学の早川吉尚教授が参加されています。2011年5月にニューヨークで開催された第2回会合について、日本仲裁人協会(JAA)の研究部会で早川先生から概要を伺うことができたので、感想を交えつつ、簡単にご紹介します(「JCAジャーナル」2011年7月号に詳しいご報告が掲載されるそうです)。

国境を越えるEコマースの発展に伴って、国をまたがった紛争、しかも消費者や小規模事業者が当事者の少額の紛争が増加してきました。弁護士を立て、どちらかの国に出かけて行って訴訟をするのは現実的でなく、準拠法の問題もややこしい。従来の枠組みでの紛争解決は無理。ということで、両当事者が居ながらにして簡単に(低コストで)紛争解決ができるODRに注目が高まっている、というのが作業部会設置の背景ですが、UNCITRALとしては10年前からの懸案でもあったということです。

ODRの実態は、既にある程度進んでいます。特に米国では、eBay上の個人間決済手段として発達したPaypalが、eBay以外の決済サービス利用者に対してもODRサービスを提供しています。ITバブルの頃は、怪しげな色物のようなODRサイトがネット上にたくさんありましたが、その後、淘汰が進み、きちんとビジネスとして生き残った成功事例の1つと言っても良いと思います。ここ数年は、AAA(アメリカ仲裁協会)のような従来型の仲裁/ADR機関もODRを導入し、国境を越える少額紛争や消費者紛争も彼らの範疇にしようとしているようです。

そんな中で、ODRを提供する組織が遵守すべき国際共通ルールを定める(=アメリカのルールを国際ルール化する?)というのがこの作業部会の目的だそうです。和解交渉(negotioation)+調停(mediation)+仲裁(arbitration)という三層構造で、全ての手続きがオンライン上で進められる(映像ではなくテキストベース)、といった基本構想に基づき、ドラフティング作業が始まりました。シンプルな原則のみの共通判断基準(実体法的なもの)を設け、仲裁判断をウェブ上で公開することにより、原則の解釈についてのデータベースが蓄積されていく、という構想(ICANNのUDRPと同じ)は面白いなーと思います。

インターネットでビジネスをする事業者は、UNCITRALルールを採用するODR機関と契約を結び、紛争が発生したらそのODRで解決できるということをウェブ上に謳う、つまりトラストマークのような使い方が想定されているようです。これも非常に興味深いですね。

スコープや定義に始まり、仲裁人と調停人の兼務の是非などなど、詰めるべき課題はもちろんたくさんあり、まだまだ議論は続くようです。問題は、これが日本のADRプロバイダーにとっても採用可能で、日本の事業者や消費者が利用可能なものとできるかどうかです。現在提示されているドラフトは、おそらく米国機関の既存のモデルがベースになっていると思われます。そこには、「取引当事者が異なる言語を使用する」という、越境取引では当然あり得る状態が全く想定されていないのだとか。アメリカ人は、世界に英語を話さない人間がいることが想像できない?というか、翻訳義務がルール化されてコストが高くなるのが困るので、敢えてその議論を避けている?というのが早川教授のご見解でした。次回以降、この翻訳問題が大きなテーマになるとのこと。早川先生、援軍が出せなくてすみませんが、次も是非頑張ってきてください。

これは私の個人的な感想ですが、アメリカとの感覚の違いはもう1つあります。彼らの基本認識は、越境Eコマースの紛争は、"Low Value High Volume"(少額で大量)であるということですが、我々(日本で越境トラブルを見てきた立場)の実感としては、Low Valueはその通りだけど、Volumeはまだまだ少ないです。自動化でコスト削減を考える前に、まずは事案を集め、1つ1つ丁寧に見て行って、何が問題か、どんな基本原則が必要かを検討する段階にあるのではないかと思っています。もちろんそれではビジネスには乗らないですが、どうせLow Volumeであるうちはビジネスにはならないと思うので。
Posted by 沢田 登志子 at 19:07 | 沢田登志子 | この記事のURL | トラックバック(0)
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