モンスターズストーリー(8)
[2009年03月18日(Wed)]
どうも、相談担当です。
(7)の続き。
ここまで聞くのに、1時間近くかかったでしょうか、彼女の希望が今やっと分かりました。でも、今まで話を聞きながら、既にわたしがお手伝いできる範囲をとうに超えていることは、頭の中で充分認識していました。
「電話番号はネットなどで公開しているなら別ですが、そうでなければ探偵ではないですから、公開していない電話番号をこちらでは調べようがないのですよ、それよりも、単に謝罪するよう相手に要請することは、残念ですがこちらからは出来ません、そもそも今までのお話は、取引や契約のお話ではないですよね」
「わたしの味方になってくれるところじゃないんですか」
「味方というよりも、こちらでは第三者として相手に謝罪を求める根拠がなにも無いということと、裁判や既に裁判で決着が付いている事案に関しては、もうわたしのほうではどうしようも出来ないです、申し訳ないですが・・」
というと、彼女はわたしの前でワンワン泣き出しました。
「わたしはもう年寄りでこんなに弱いのに・・」
気の毒とも思いましたが、でも実は、このときは正直、彼女の話を全て信じているわけでもありませんでした。
ただ、目の前で小さな身体の高齢の女性が身体を震わせて泣いている姿を見ると、何か彼女にできること、納得してもらえることはないか、一生懸命考えました。
そして、悩んだ末に彼女にこう話しかけました。
「それでは、電話番号は申し訳ありませんがご自身でお調べになってください、そして電話番号が分かったら、もう一度ご連絡ください」
「・・」
「そして、わたしは裁判で争いになった内容については触れられませんし、それを覆すことも出来ません、ただ、その手紙の内容には一切触れないまま、“手紙を出したのに返事がないので返事が欲しい”ということだけ伝えることでよければ、相手に連絡してそれをお願いすることぐらいならお手伝いできます、ただ、それで返事がもらえる保証もないですし、それを強制することも出来ませんよ」
「・・はい」
「くれぐれも念を押しますが、手紙の内容について触れることや裁判の結果を超えて何かするよう向こうに求めることは本当に出来ませんよ、謝罪をするよう求めることについても、です、単に返事をください、というだけですよ、これが限界です、宜しいですね」
この対応は、あとから考えたら大失敗でした。
でも、そのときは彼女から、それでも良いとのことで納得してもらえたため、とりあえずお帰りになってもらいました。そして、今後、彼女はもう来ないだろうと思っていました。
そして1ヵ月後・・、忘れかけていたころに、彼女がわたしのところに来ました。
「電話番号が分かりました」
「ああ、そうですか、では、手紙の返事をくださいと伝えるだけですが、わたしから連絡を入れておきましょうか」
「でも、それだけだと、向こうに無視されたらおしまいですよね」
「そうですね、返事をくれるよう強制は出来ませんので、お願いするだけです」
「なら、親会社の電話番号も調べてきましたので、親会社のほうに電話して対応させるよう圧力をかけてください」
・・何、圧力って?
次回に続く。
(7)の続き。
ここまで聞くのに、1時間近くかかったでしょうか、彼女の希望が今やっと分かりました。でも、今まで話を聞きながら、既にわたしがお手伝いできる範囲をとうに超えていることは、頭の中で充分認識していました。
「電話番号はネットなどで公開しているなら別ですが、そうでなければ探偵ではないですから、公開していない電話番号をこちらでは調べようがないのですよ、それよりも、単に謝罪するよう相手に要請することは、残念ですがこちらからは出来ません、そもそも今までのお話は、取引や契約のお話ではないですよね」
「わたしの味方になってくれるところじゃないんですか」
「味方というよりも、こちらでは第三者として相手に謝罪を求める根拠がなにも無いということと、裁判や既に裁判で決着が付いている事案に関しては、もうわたしのほうではどうしようも出来ないです、申し訳ないですが・・」
というと、彼女はわたしの前でワンワン泣き出しました。
「わたしはもう年寄りでこんなに弱いのに・・」
気の毒とも思いましたが、でも実は、このときは正直、彼女の話を全て信じているわけでもありませんでした。
ただ、目の前で小さな身体の高齢の女性が身体を震わせて泣いている姿を見ると、何か彼女にできること、納得してもらえることはないか、一生懸命考えました。
そして、悩んだ末に彼女にこう話しかけました。
「それでは、電話番号は申し訳ありませんがご自身でお調べになってください、そして電話番号が分かったら、もう一度ご連絡ください」
「・・」
「そして、わたしは裁判で争いになった内容については触れられませんし、それを覆すことも出来ません、ただ、その手紙の内容には一切触れないまま、“手紙を出したのに返事がないので返事が欲しい”ということだけ伝えることでよければ、相手に連絡してそれをお願いすることぐらいならお手伝いできます、ただ、それで返事がもらえる保証もないですし、それを強制することも出来ませんよ」
「・・はい」
「くれぐれも念を押しますが、手紙の内容について触れることや裁判の結果を超えて何かするよう向こうに求めることは本当に出来ませんよ、謝罪をするよう求めることについても、です、単に返事をください、というだけですよ、これが限界です、宜しいですね」
この対応は、あとから考えたら大失敗でした。
でも、そのときは彼女から、それでも良いとのことで納得してもらえたため、とりあえずお帰りになってもらいました。そして、今後、彼女はもう来ないだろうと思っていました。
そして1ヵ月後・・、忘れかけていたころに、彼女がわたしのところに来ました。
「電話番号が分かりました」
「ああ、そうですか、では、手紙の返事をくださいと伝えるだけですが、わたしから連絡を入れておきましょうか」
「でも、それだけだと、向こうに無視されたらおしまいですよね」
「そうですね、返事をくれるよう強制は出来ませんので、お願いするだけです」
「なら、親会社の電話番号も調べてきましたので、親会社のほうに電話して対応させるよう圧力をかけてください」
・・何、圧力って?
次回に続く。
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