【自殺考 被災地から(5完)】5月に増える自殺 「働く喜び」が支える心の安定(MSN産経)
[2012年04月30日(Mon)]
2012(平成24)年04月30日(月・祝)
MSN産経ニュース west
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【自殺考 被災地から(5完)】
5月に増える自殺 「働く喜び」が支える心の安定
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120430/wlf12043007000002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120430/wlf12043007000002-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120430/wlf12043007000002-n3.htm
大津波は漁業にも大きな打撃を与えた。
北海道から千葉県まで、漁船や加工施設など
漁業関連の損失は約1兆2,000億円にものぼるという。
復興に向けて漁を再開した関係者もいれば、
いまも職を失ったままの人も少なくない。
魚市場が再開し、イカやサバなどが水揚げされる。
漁師たちはこの光景が早く日常になることを願っている。
=岩手県釜石市
○
■津波への恐怖か 生活への不安か
住み慣れた海辺の集落を離れ、岩手県釜石市内の山間の
仮設住宅で1人暮らしをする女性(60)は、
震災前まで岩手県大槌町の冷蔵施設で働いていた。
沿岸部の工場はほとんどが流されたため、
同じような仕事はない。
60歳という年齢と、自動車の免許を持っていないことが
ハンディとなり、新しい仕事を見つけられずにいる。
「震災直後は津波を思い出して眠れず、
薬をもらったりしていたけれど、
先月失業手当が切れてからは、
仕事が見つかるか心配で眠れない。」
心配し訪ねてくれる友人の姿を見ると、
涙がこぼれるという。
被災した人たちが「心配で夜も眠れない。」というとき、
それが災害の恐怖によるPTSD
(心的外傷後ストレス障害)なのか、
生活再建のめどが立たないために希望が見いだせないのか、
という点は見極めが必要だ。
前者に必要なのは心のケアだが、
後者に必要なのは就労支援だ。
○
釜石市の心のケアを担当する健康福祉課の保健師、
洞口祐子さん(53)も
「精神的なケアだけでは限界がある。
就労支援が心のケアにつながることを感じます。」
と話す。
内閣府と警察庁が発表した昨年の全国自殺者数は、
5月に急増。
震災を受け、4、5月に企業倒産が増加したことなどから、
「震災をきっかけに経済リスクが広がり、
自殺に影響した可能性がある。」
と指摘した。経済不安は自殺と密接に関わっている。
■もともと仕事のない地域…
釜石市の国道283号沿いに、「ハローワーク釜石」がある。
釜石市と隣接する大槌町などの求職者が
仕事を探しにやってくる。
30台ちょっとの来館者用駐車場には
午前中からひっきりなしに車が出入りし、
ほとんどのスペースが埋まっている。
ハローワーク入り口付近の掲示板に貼られた求人情報に
熱心に目をやっていた、釜石市内に住む女性(42)は、
働いていた水産加工会社が津波で流されて職を失った。
国の求職者支援制度を利用し介護の資格を取得したが、
なかなか求人がないという。
「もともと仕事がないところに震災だもの。
いっときよりは増えたけど、難しいね。」
とため息をついた。
岩手労働局によると、岩手県沿岸部の雇用保険受給資格の
決定者数は、1万2,546人(1月22日現在)で、
前年の3倍近くに膨れあがっている。
昨年10月から、雇用保険の給付期間を最大210日
延期する措置が取られたが、条件に満たなかった被災者から、
給付期限がきている。
■海の仕事で食べていきたい
岩手労働局では昨年4月から、車を流され移動が制限される
被災者らのため、臨時に採用した就職支援ナビゲーター
30人を避難所や仮設住宅に派遣する
出張相談会を実施している。
雇用保険の給付に関する質問を受けるほか、
端末を利用してリアルタイムで求人情報を提供している。
当初からナビゲーターとして活動している
田中 寿さんによると、釜石市の求人は
ほぼ震災前の水準まで回復しているという。
しかし、その多くが雇用期間限定の非正規雇用。
もちろん被災者には、突然奪われた仕事への愛着がある。
田中さんは
「被災者の多くは1つのところに長年勤めてきた。
職選びにも葛藤を抱えています。」
と分析する。
漁業関係者が住民の3分の2を占める釜石市箱崎町では、
残った船などを使って共同で漁を再開した。
しかし漁獲は震災前の3割ほど。60代の漁師は
「今年、海で食べられないと
貯金を切り崩して生活することになる、
そうなればもう漁業に戻れなくなる。」
と危機感をつのらせる。
心の安定のためには、生活の安定が必要だ。
なすべき支援は、まだまだ多い。
(佐々木 詩) =第1部おわり
MSN産経ニュースwest
2012年04月30日(月・祝)07時00分
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【自殺考 被災地から(5完)】
5月に増える自殺 「働く喜び」が支える心の安定
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120430/wlf12043007000002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120430/wlf12043007000002-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120430/wlf12043007000002-n3.htm
大津波は漁業にも大きな打撃を与えた。
北海道から千葉県まで、漁船や加工施設など
漁業関連の損失は約1兆2,000億円にものぼるという。
復興に向けて漁を再開した関係者もいれば、
いまも職を失ったままの人も少なくない。
魚市場が再開し、イカやサバなどが水揚げされる。
漁師たちはこの光景が早く日常になることを願っている。
=岩手県釜石市
○
■津波への恐怖か 生活への不安か
住み慣れた海辺の集落を離れ、岩手県釜石市内の山間の
仮設住宅で1人暮らしをする女性(60)は、
震災前まで岩手県大槌町の冷蔵施設で働いていた。
沿岸部の工場はほとんどが流されたため、
同じような仕事はない。
60歳という年齢と、自動車の免許を持っていないことが
ハンディとなり、新しい仕事を見つけられずにいる。
「震災直後は津波を思い出して眠れず、
薬をもらったりしていたけれど、
先月失業手当が切れてからは、
仕事が見つかるか心配で眠れない。」
心配し訪ねてくれる友人の姿を見ると、
涙がこぼれるという。
被災した人たちが「心配で夜も眠れない。」というとき、
それが災害の恐怖によるPTSD
(心的外傷後ストレス障害)なのか、
生活再建のめどが立たないために希望が見いだせないのか、
という点は見極めが必要だ。
前者に必要なのは心のケアだが、
後者に必要なのは就労支援だ。
○
釜石市の心のケアを担当する健康福祉課の保健師、
洞口祐子さん(53)も
「精神的なケアだけでは限界がある。
就労支援が心のケアにつながることを感じます。」
と話す。
内閣府と警察庁が発表した昨年の全国自殺者数は、
5月に急増。
震災を受け、4、5月に企業倒産が増加したことなどから、
「震災をきっかけに経済リスクが広がり、
自殺に影響した可能性がある。」
と指摘した。経済不安は自殺と密接に関わっている。
■もともと仕事のない地域…
釜石市の国道283号沿いに、「ハローワーク釜石」がある。
釜石市と隣接する大槌町などの求職者が
仕事を探しにやってくる。
30台ちょっとの来館者用駐車場には
午前中からひっきりなしに車が出入りし、
ほとんどのスペースが埋まっている。
ハローワーク入り口付近の掲示板に貼られた求人情報に
熱心に目をやっていた、釜石市内に住む女性(42)は、
働いていた水産加工会社が津波で流されて職を失った。
国の求職者支援制度を利用し介護の資格を取得したが、
なかなか求人がないという。
「もともと仕事がないところに震災だもの。
いっときよりは増えたけど、難しいね。」
とため息をついた。
岩手労働局によると、岩手県沿岸部の雇用保険受給資格の
決定者数は、1万2,546人(1月22日現在)で、
前年の3倍近くに膨れあがっている。
昨年10月から、雇用保険の給付期間を最大210日
延期する措置が取られたが、条件に満たなかった被災者から、
給付期限がきている。
■海の仕事で食べていきたい
岩手労働局では昨年4月から、車を流され移動が制限される
被災者らのため、臨時に採用した就職支援ナビゲーター
30人を避難所や仮設住宅に派遣する
出張相談会を実施している。
雇用保険の給付に関する質問を受けるほか、
端末を利用してリアルタイムで求人情報を提供している。
当初からナビゲーターとして活動している
田中 寿さんによると、釜石市の求人は
ほぼ震災前の水準まで回復しているという。
しかし、その多くが雇用期間限定の非正規雇用。
もちろん被災者には、突然奪われた仕事への愛着がある。
田中さんは
「被災者の多くは1つのところに長年勤めてきた。
職選びにも葛藤を抱えています。」
と分析する。
漁業関係者が住民の3分の2を占める釜石市箱崎町では、
残った船などを使って共同で漁を再開した。
しかし漁獲は震災前の3割ほど。60代の漁師は
「今年、海で食べられないと
貯金を切り崩して生活することになる、
そうなればもう漁業に戻れなくなる。」
と危機感をつのらせる。
心の安定のためには、生活の安定が必要だ。
なすべき支援は、まだまだ多い。
(佐々木 詩) =第1部おわり
MSN産経ニュースwest
2012年04月30日(月・祝)07時00分



