ひと:小林和彦さん 闘病記を出版した統合失調症患者
[2012年01月23日(Mon)]
2012(平成24)年01月23日(月)
毎日新聞
トップ>ニュースセレクト>社説・解説・コラム>ひと
ひと:小林和彦さん 闘病記を出版した統合失調症患者
http://mainichi.jp/select/opinion/hito/news/20120123k0000m070122000c.html
「政府が自分を監視し、命を狙っている。」
荒唐無稽(むけい)な幻覚だが、
本人には真剣に命の危険を感じる恐怖だった。
24歳のときに発症した統合失調症の闘病記
『ボクには世界がこう見えていた』
を新潮文庫から出版した。
四半世紀に及ぶ経過を患者本人がつづる
貴重な記録でもある。
○
発症当時はアニメ制作会社員だった。
アイドルグループ「おニャン子クラブ」のアニメ企画を
思いつき、それが世界を変えられると妄想し始めた。
とっぴな発想や被害妄想にめまぐるしく襲われる様子が、
淡々とつづられている。
1988年ごろから書きためていた日記を基に、
2006年に病名をもじった『東郷室長賞』を
自費出版した。
周囲は患者の行動を理解できず怖いと感じるかもしれないが、
「本人はつらくて、しんどい思いをしていることを
知ってほしい。」
との思いからだ。
○
読んだ友人でアニメ監督の望月智充さん(53)が
「出版する価値があるか検討してほしい。」
と新潮社に郵送。
描写に説得力があり多くの人が読む価値ありと評価された。
専門家にも「精神医学的にも貴重な記録」と認められた。
現在は新潟県柏崎市のグループホームで、
同じような病を持つ10人と助け合い、
慰め合いながら暮らす。
精神障害に苦しむ人には、治療を受け、薬を服用すれば
病気は改善することを伝えたいという。
そしてもう1つ訴えたい。
「病気を苦にした自殺だけはとどまってほしい。」
【小林多美子】
○
【略歴】小林和彦(こばやし・かずひこ)さん
横浜市出身。早稲田大卒。1986年から入退院を繰り返す。
グループホーム近くの海辺での散歩や釣りが今の楽しみ。
49歳。
毎日新聞 2012年01月23日(月)00時24分
毎日新聞
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ひと:小林和彦さん 闘病記を出版した統合失調症患者
http://mainichi.jp/select/opinion/hito/news/20120123k0000m070122000c.html
「政府が自分を監視し、命を狙っている。」
荒唐無稽(むけい)な幻覚だが、
本人には真剣に命の危険を感じる恐怖だった。
24歳のときに発症した統合失調症の闘病記
『ボクには世界がこう見えていた』
を新潮文庫から出版した。
四半世紀に及ぶ経過を患者本人がつづる
貴重な記録でもある。
○
発症当時はアニメ制作会社員だった。
アイドルグループ「おニャン子クラブ」のアニメ企画を
思いつき、それが世界を変えられると妄想し始めた。
とっぴな発想や被害妄想にめまぐるしく襲われる様子が、
淡々とつづられている。
1988年ごろから書きためていた日記を基に、
2006年に病名をもじった『東郷室長賞』を
自費出版した。
周囲は患者の行動を理解できず怖いと感じるかもしれないが、
「本人はつらくて、しんどい思いをしていることを
知ってほしい。」
との思いからだ。
○
読んだ友人でアニメ監督の望月智充さん(53)が
「出版する価値があるか検討してほしい。」
と新潮社に郵送。
描写に説得力があり多くの人が読む価値ありと評価された。
専門家にも「精神医学的にも貴重な記録」と認められた。
現在は新潟県柏崎市のグループホームで、
同じような病を持つ10人と助け合い、
慰め合いながら暮らす。
精神障害に苦しむ人には、治療を受け、薬を服用すれば
病気は改善することを伝えたいという。
そしてもう1つ訴えたい。
「病気を苦にした自殺だけはとどまってほしい。」
【小林多美子】
○
【略歴】小林和彦(こばやし・かずひこ)さん
横浜市出身。早稲田大卒。1986年から入退院を繰り返す。
グループホーム近くの海辺での散歩や釣りが今の楽しみ。
49歳。
毎日新聞 2012年01月23日(月)00時24分