賃貸住宅自殺に多額賠償請求 「遺族追い込まないで」等(毎日新聞、読売新聞)
[2010年10月31日(Sun)]
2010(平成22)年10月31日(日)
毎日新聞 東京朝刊
トップ>ニュースセレクト>話題
ニッポン密着:
賃貸住宅自殺に多額賠償請求
「遺族追い込まないで」
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101031ddm041040187000c.htmlhttp://mainichi.jp/select/wadai/news/20101031ddm041040187000c.html
賃貸アパートやマンションで自殺した人の遺族が、
部屋の改装料や家賃補償、さらにはおはらい料まで
求められるケースが相次いでいる。
遺族の自助グループ「全国自死遺族連絡会」
(仙台市、田中幸子代表)は、大切な人を失った痛みに
追い打ちをかける「2次被害」だとして、
岡崎トミ子・内閣府特命担当相に近く、遺族を守るための
「二次被害者保護法」(仮称)の制定に向けた協力を
要請する。
2遺族の実例を取材した。 【百武信幸】
○
仙台市の男性(60)が東京で暮らす
長女(当時22歳)の死を知ったのは、
08年3月13日、長女の誕生日翌々日だった。
11日に電話をかけたが出ず、12日に大学の友達から
「連絡がつかない」
と連絡があったため、異変を感じて新幹線で翌日駆け付けた。
アパートの管理人立ち会いのもと鍵を壊して部屋に入ると、
わずかな明かりの中に横たわる娘の姿が見えた。
死後10日以上たっており、抗うつ薬などの
過量服薬による自殺とみられた。
2年前からうつ病になり、仙台市内で納得する
病院が見つからず、友人の多い東京での暮らしを
本人が望んだ。
部屋の荷物は遺品回収業者に回収を依頼し、
業者に火葬を頼んだ。
早く仙台に連れて帰り、葬儀をあげなければ
という一心だった。
○
数日後、相次いで費用を請求された。
仙台から駆け付けたため、まとまった金の持ち合わせは
なく、遺品回収代の30万円は後日の振り込みを
許してもらったが、火葬費用など約40万円は
その場での支払いを求められ、銀行のカードキャッシングで
用立てた。
さらにアパートの家主は
▽「おはらい料」 3万5,000円
▽天井や壁のクロス張り替え、床などの修繕費 約80万円
▽クーラーなど備品の買い替え費 12万円
を要求した。
振り込むと、5月には、約8万円の家賃を
次の入居者には半額近くに下げることに伴う
差額補償5年分として210万円の請求書を送ってきた。
拒否して裁判になれば、つらい記憶を何度も
思い出させられると考え、仕方なく振り込んだ。
「あの時は娘のことで頭がいっぱいだった。
今思えばここまで払う必要があったのか」。
2年が過ぎた今も仏壇の遺影をまっすぐ見られずにいる。
男性は国に思うことがある。
「心のケアまでは期待していない。
せめて遺族を追い込まないようにしてもらえないか」
□
遺族と家主側が法廷で争っているケースもある。
今年3月、近畿地方に住む女性(45)の弟(当時40歳)は、
自宅マンションの風呂場で自殺した。
弟は7年前、畑違いの職場に配置転換され、大手企業を退職。
再就職に向け同居の相談をしていたところだった。
「最悪や」。
弟の変わり果てた姿を見つけた日、
家主の親族でもある管理人が漏らした言葉に女性は傷ついた。
女性は弟の連帯保証人で、管理人は約1カ月後、
女性の夫を呼び出し、風呂場以外にも
キッチンやトイレの改修費、
弟の部屋(家賃6万5,000円)と隣室や他階の部屋も含む
7室分の家賃補償など約700万円を請求。
内訳を手渡しながら、
「家族なら(自殺を)防げたんとちゃうの」
と言い放った。
話し合いをしたが金額が折り合わず、
家主は900万円以上の支払いを求め提訴。
法廷では
「自殺を十分に予見でき、かつ回避可能であった」
などと、遺族に過失があると主張している。
女性の夫は問いかける。
「法廷で自殺を止められなかった責任まで
問われなければいけないのか」。
裁判では自殺が「追い込まれた末の死」だという現実を
裁判官に訴え、まずは司法の場から
自殺への偏見をなくしたいと考えている。
■業界団体「家賃の1〜2割 2年分」
全国自死遺族連絡会の田中幸子代表によると、
同会に自死遺族から寄せられた賃貸借のトラブルを巡る相談は
06年から4年間で200件を超える。
家賃補償などを巡る裁判で遺族を弁護する
金塚彩乃弁護士(第二東京弁護士会)は
「多くは泣き寝入りしているのではないか」
と話し、表面化しない事例も多いとみる。
トラブルの背景には、家賃補償の請求を巡る訴訟の
判例が少なく判決内容も一定していないことがある。
管理会社などの業界団体「日本賃貸住宅管理協会」は、
家主などから相談があった場合、
家賃の1〜2割の2年分程度の請求を目安として
説明しているというが、業界全体には浸透していない。
また、
「すぐに新しい入居者が決まる場合もある。
改修費用に加えて一律に一定期間分を
請求するのは問題だ」(田中代表)
との指摘もある。
全国自死遺族連絡会が制定を求めている
「二次被害者保護法」(仮称)は、
不当請求の禁止や遺族と故人の名誉保護などが内容。
法制化を支援する群馬司法書士会
自死対策事業実行委の斎藤幸光委員長は
「自殺者3万人が12年も続き、
遺族や家主個人に損害やリスクを負わせるのは限界がある。
自動車の自賠責保険のような社会的制度が必要だ」
と話す。
毎日新聞 東京朝刊 2010年10月31日(日)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
2010(平成22)年10月09日(土)
読売新聞
ホーム>地域>宮城
悲しみの遺族 訴訟追い打ち
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20101008-OYT8T01629.htm
「貸室で自殺」損害賠償請求
仙台市に本部を置き、自殺した遺族らで作る
「全国自死遺族連絡会」には、家主らから「過大請求」
を受けたなどとして、2006年からの約4年間で
212件もの相談が、遺族らから寄せられている。
関西地方に住む女性(45)は、
自殺で弟(当時41歳)を失い、悲しみを癒やす間もなく、
現場となった賃貸マンションの所有者から訴えられ、
1,000万円近い損害賠償請求の訴状が届いた。
憤りや自責の念に今も苦しむ女性夫婦が、
胸の内を吐露した。 (今川友美)
◇葬儀直後に請求書
現場のマンションは大学に近い住宅街にあり、
約40室ある部屋はすべてワンルームタイプ。
その1室で弟の遺体が発見されたのは今年3月。
警察は、風呂場で練炭を燃やして自殺し、
発見は2週間後とみている。
あわただしく葬儀を終え、部屋で遺品を整理している
夫(45)に、管理人が切り出した。
「このままだと何年も人が入らない」。
風呂場だけでなく、部屋の全面改装が必要と言われ、管理人は
「入居キャンセルがすでに5件」
と告げた。
管理人は別の機会にも、
「自殺未遂もあったと聞いた。
家族なら防げたんとちゃうの?」。
夫は言い返せず、ぼうぜんと立ちつくした。
●
翌4月、700万円近い請求書が届いた。
女性が入居時の連帯保証人だったため、損害賠償を要求。
7月には女性夫婦の元に、退去するなどした
7部屋分の補償金などを含む計約927万円の賠償を求める
訴状が届いた。
女性が、弟の異変に気がついたのは昨年春。
1通の携帯メールが届き、
「お金を貸してほしいかなと思って。
無理やったら無理でいいんだけど」
と初めて借金を申し入れてきた。
驚いて「いくらいるの?」と返事をすると
「(2か月分で)25万ほど必要」と返信が来た。
弟は03年、勤務先で不向きな職場に配属されて悩み、退職。
生活資金が底をついたようだった。
夫婦でたびたび食事に招いたり、
「一緒に暮らそう」と持ちかけたりしたが、
弟の気持ちは荒れ出した。
昨年7月、八つ当たりめいたメールを最後に連絡が途絶えた。
8か月後、変わり果てた姿の弟を最初に発見した
女性は自分を責め、睡眠薬が手放せなくなった。
「両親は早くに亡くなった。
もっと私がしっかりしていれば」。
判決は来春の見込みで、裁判を考えると気が重い。
◇所有者側「大損害だ」
一方、マンションを管理する不動産会社の男性社長は
「交通の便も良い新築人気物件。
元も取ってないのに大損害だ」
と憤る。
空き部屋も入居希望者ですぐに埋まっていたが、自殺以来、
「縁起が悪い」
と避けられているという。
社長は
「霊が出るとか、日本人特有の感覚で、あきれますわ。
正直に告知義務を果たしてばかをみるくらいなら、
告知しないほうが良かった」
と話した。
不当な請求から遺族を保護する法案作りを進める、
群馬司法書士会自死対策事業実行委の斎藤幸光委員長は、
「双方にとって正当な損害賠償の枠組みを作るだけでなく、
賠償請求を持ちかける時期や方法など、
遺族への配慮も明文化したい」
と話している。
読売新聞 2010年10月09日(土)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
2010(平成22)年09月27日(月)
読売新聞
ホーム>社会
自殺遺族に家主「借り手ない」
と1億賠償請求も
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100927-OYT1T00076.htm
自殺者が12年連続で3万人を超すなか、
「室内で自殺され賃貸住宅の借り手がない」
などとして、遺族が家主や不動産会社から
過大な損害賠償を請求されるケースが後を絶たない。
不当な請求から遺族を保護しようと、
全国自死遺族連絡会(仙台市・田中幸子代表)
などは近く、内閣府や民主党に法案化を要請する。
●
連絡会によると、一般に自殺があった賃貸住宅は
「心理的瑕疵(かし)物件」と呼ばれ、
借り手がつかなくなったり、
家賃が大幅に安くなったりするため、
損害賠償の対象になる。
しかし、最近は遺族の混乱やショックにつけ込み、
家主らが改修費などを過大に請求するケースが少なくない
という。
例えば、2008年に神奈川県内のアパートで
1人暮らしの30歳代の会社員が自殺したケースでは、
遺族が家主から部屋全体の改装費用200万円と
5年分の家賃の補償金約500万円を請求された。
納得できずに弁護士に相談し、
200万円を支払うことで和解した。
宮城県内では、アパートで自殺した娘の火葬中に
不動産会社が押しかけ、おはらい料や家賃補償として
計約600万円を要求され、実際に支払った例もある。
アパート全体の建て替え費として
1億2,000万円を請求されたケースもあった。
読売新聞 2010年09月27日(月)14時39分
毎日新聞 東京朝刊
トップ>ニュースセレクト>話題
ニッポン密着:
賃貸住宅自殺に多額賠償請求
「遺族追い込まないで」
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101031ddm041040187000c.htmlhttp://mainichi.jp/select/wadai/news/20101031ddm041040187000c.html
賃貸アパートやマンションで自殺した人の遺族が、
部屋の改装料や家賃補償、さらにはおはらい料まで
求められるケースが相次いでいる。
遺族の自助グループ「全国自死遺族連絡会」
(仙台市、田中幸子代表)は、大切な人を失った痛みに
追い打ちをかける「2次被害」だとして、
岡崎トミ子・内閣府特命担当相に近く、遺族を守るための
「二次被害者保護法」(仮称)の制定に向けた協力を
要請する。
2遺族の実例を取材した。 【百武信幸】
○
仙台市の男性(60)が東京で暮らす
長女(当時22歳)の死を知ったのは、
08年3月13日、長女の誕生日翌々日だった。
11日に電話をかけたが出ず、12日に大学の友達から
「連絡がつかない」
と連絡があったため、異変を感じて新幹線で翌日駆け付けた。
アパートの管理人立ち会いのもと鍵を壊して部屋に入ると、
わずかな明かりの中に横たわる娘の姿が見えた。
死後10日以上たっており、抗うつ薬などの
過量服薬による自殺とみられた。
2年前からうつ病になり、仙台市内で納得する
病院が見つからず、友人の多い東京での暮らしを
本人が望んだ。
部屋の荷物は遺品回収業者に回収を依頼し、
業者に火葬を頼んだ。
早く仙台に連れて帰り、葬儀をあげなければ
という一心だった。
○
数日後、相次いで費用を請求された。
仙台から駆け付けたため、まとまった金の持ち合わせは
なく、遺品回収代の30万円は後日の振り込みを
許してもらったが、火葬費用など約40万円は
その場での支払いを求められ、銀行のカードキャッシングで
用立てた。
さらにアパートの家主は
▽「おはらい料」 3万5,000円
▽天井や壁のクロス張り替え、床などの修繕費 約80万円
▽クーラーなど備品の買い替え費 12万円
を要求した。
振り込むと、5月には、約8万円の家賃を
次の入居者には半額近くに下げることに伴う
差額補償5年分として210万円の請求書を送ってきた。
拒否して裁判になれば、つらい記憶を何度も
思い出させられると考え、仕方なく振り込んだ。
「あの時は娘のことで頭がいっぱいだった。
今思えばここまで払う必要があったのか」。
2年が過ぎた今も仏壇の遺影をまっすぐ見られずにいる。
男性は国に思うことがある。
「心のケアまでは期待していない。
せめて遺族を追い込まないようにしてもらえないか」
□
遺族と家主側が法廷で争っているケースもある。
今年3月、近畿地方に住む女性(45)の弟(当時40歳)は、
自宅マンションの風呂場で自殺した。
弟は7年前、畑違いの職場に配置転換され、大手企業を退職。
再就職に向け同居の相談をしていたところだった。
「最悪や」。
弟の変わり果てた姿を見つけた日、
家主の親族でもある管理人が漏らした言葉に女性は傷ついた。
女性は弟の連帯保証人で、管理人は約1カ月後、
女性の夫を呼び出し、風呂場以外にも
キッチンやトイレの改修費、
弟の部屋(家賃6万5,000円)と隣室や他階の部屋も含む
7室分の家賃補償など約700万円を請求。
内訳を手渡しながら、
「家族なら(自殺を)防げたんとちゃうの」
と言い放った。
話し合いをしたが金額が折り合わず、
家主は900万円以上の支払いを求め提訴。
法廷では
「自殺を十分に予見でき、かつ回避可能であった」
などと、遺族に過失があると主張している。
女性の夫は問いかける。
「法廷で自殺を止められなかった責任まで
問われなければいけないのか」。
裁判では自殺が「追い込まれた末の死」だという現実を
裁判官に訴え、まずは司法の場から
自殺への偏見をなくしたいと考えている。
■業界団体「家賃の1〜2割 2年分」
全国自死遺族連絡会の田中幸子代表によると、
同会に自死遺族から寄せられた賃貸借のトラブルを巡る相談は
06年から4年間で200件を超える。
家賃補償などを巡る裁判で遺族を弁護する
金塚彩乃弁護士(第二東京弁護士会)は
「多くは泣き寝入りしているのではないか」
と話し、表面化しない事例も多いとみる。
トラブルの背景には、家賃補償の請求を巡る訴訟の
判例が少なく判決内容も一定していないことがある。
管理会社などの業界団体「日本賃貸住宅管理協会」は、
家主などから相談があった場合、
家賃の1〜2割の2年分程度の請求を目安として
説明しているというが、業界全体には浸透していない。
また、
「すぐに新しい入居者が決まる場合もある。
改修費用に加えて一律に一定期間分を
請求するのは問題だ」(田中代表)
との指摘もある。
全国自死遺族連絡会が制定を求めている
「二次被害者保護法」(仮称)は、
不当請求の禁止や遺族と故人の名誉保護などが内容。
法制化を支援する群馬司法書士会
自死対策事業実行委の斎藤幸光委員長は
「自殺者3万人が12年も続き、
遺族や家主個人に損害やリスクを負わせるのは限界がある。
自動車の自賠責保険のような社会的制度が必要だ」
と話す。
毎日新聞 東京朝刊 2010年10月31日(日)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
2010(平成22)年10月09日(土)
読売新聞
ホーム>地域>宮城
悲しみの遺族 訴訟追い打ち
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20101008-OYT8T01629.htm
「貸室で自殺」損害賠償請求
仙台市に本部を置き、自殺した遺族らで作る
「全国自死遺族連絡会」には、家主らから「過大請求」
を受けたなどとして、2006年からの約4年間で
212件もの相談が、遺族らから寄せられている。
関西地方に住む女性(45)は、
自殺で弟(当時41歳)を失い、悲しみを癒やす間もなく、
現場となった賃貸マンションの所有者から訴えられ、
1,000万円近い損害賠償請求の訴状が届いた。
憤りや自責の念に今も苦しむ女性夫婦が、
胸の内を吐露した。 (今川友美)
◇葬儀直後に請求書
現場のマンションは大学に近い住宅街にあり、
約40室ある部屋はすべてワンルームタイプ。
その1室で弟の遺体が発見されたのは今年3月。
警察は、風呂場で練炭を燃やして自殺し、
発見は2週間後とみている。
あわただしく葬儀を終え、部屋で遺品を整理している
夫(45)に、管理人が切り出した。
「このままだと何年も人が入らない」。
風呂場だけでなく、部屋の全面改装が必要と言われ、管理人は
「入居キャンセルがすでに5件」
と告げた。
管理人は別の機会にも、
「自殺未遂もあったと聞いた。
家族なら防げたんとちゃうの?」。
夫は言い返せず、ぼうぜんと立ちつくした。
●
翌4月、700万円近い請求書が届いた。
女性が入居時の連帯保証人だったため、損害賠償を要求。
7月には女性夫婦の元に、退去するなどした
7部屋分の補償金などを含む計約927万円の賠償を求める
訴状が届いた。
女性が、弟の異変に気がついたのは昨年春。
1通の携帯メールが届き、
「お金を貸してほしいかなと思って。
無理やったら無理でいいんだけど」
と初めて借金を申し入れてきた。
驚いて「いくらいるの?」と返事をすると
「(2か月分で)25万ほど必要」と返信が来た。
弟は03年、勤務先で不向きな職場に配属されて悩み、退職。
生活資金が底をついたようだった。
夫婦でたびたび食事に招いたり、
「一緒に暮らそう」と持ちかけたりしたが、
弟の気持ちは荒れ出した。
昨年7月、八つ当たりめいたメールを最後に連絡が途絶えた。
8か月後、変わり果てた姿の弟を最初に発見した
女性は自分を責め、睡眠薬が手放せなくなった。
「両親は早くに亡くなった。
もっと私がしっかりしていれば」。
判決は来春の見込みで、裁判を考えると気が重い。
◇所有者側「大損害だ」
一方、マンションを管理する不動産会社の男性社長は
「交通の便も良い新築人気物件。
元も取ってないのに大損害だ」
と憤る。
空き部屋も入居希望者ですぐに埋まっていたが、自殺以来、
「縁起が悪い」
と避けられているという。
社長は
「霊が出るとか、日本人特有の感覚で、あきれますわ。
正直に告知義務を果たしてばかをみるくらいなら、
告知しないほうが良かった」
と話した。
不当な請求から遺族を保護する法案作りを進める、
群馬司法書士会自死対策事業実行委の斎藤幸光委員長は、
「双方にとって正当な損害賠償の枠組みを作るだけでなく、
賠償請求を持ちかける時期や方法など、
遺族への配慮も明文化したい」
と話している。
読売新聞 2010年10月09日(土)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
2010(平成22)年09月27日(月)
読売新聞
ホーム>社会
自殺遺族に家主「借り手ない」
と1億賠償請求も
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100927-OYT1T00076.htm
自殺者が12年連続で3万人を超すなか、
「室内で自殺され賃貸住宅の借り手がない」
などとして、遺族が家主や不動産会社から
過大な損害賠償を請求されるケースが後を絶たない。
不当な請求から遺族を保護しようと、
全国自死遺族連絡会(仙台市・田中幸子代表)
などは近く、内閣府や民主党に法案化を要請する。
●
連絡会によると、一般に自殺があった賃貸住宅は
「心理的瑕疵(かし)物件」と呼ばれ、
借り手がつかなくなったり、
家賃が大幅に安くなったりするため、
損害賠償の対象になる。
しかし、最近は遺族の混乱やショックにつけ込み、
家主らが改修費などを過大に請求するケースが少なくない
という。
例えば、2008年に神奈川県内のアパートで
1人暮らしの30歳代の会社員が自殺したケースでは、
遺族が家主から部屋全体の改装費用200万円と
5年分の家賃の補償金約500万円を請求された。
納得できずに弁護士に相談し、
200万円を支払うことで和解した。
宮城県内では、アパートで自殺した娘の火葬中に
不動産会社が押しかけ、おはらい料や家賃補償として
計約600万円を要求され、実際に支払った例もある。
アパート全体の建て替え費として
1億2,000万円を請求されたケースもあった。
読売新聞 2010年09月27日(月)14時39分