2011(平成23)年08月22日(月)
中国新聞
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頼れる家族の役割担う
http://www.chugoku-np.co.jp/kikaku/child/news/110822.html
■子ども自立支援ホーム、9月開所
「子どもにとって里親は将来にわたって頼れる存在になる。」
と語る広島県東部地区里親連合会会長・金高良樹さん
広島県東部地区里親連合会の金高良樹会長(59)
=福山市内海町=は9月下旬、児童養護施設を巣立った
子どものための自立支援ホームを個人で開く。
里親を長年務めてきた経験からホーム開所に踏み出した。
里親制度の現状と課題、
自立支援ホームを始める目的を聞いた。
■−里親は、乳児院や児童養護施設などで暮らす子どもを
委託で預かり育てる。児童福祉法に基づく制度だ。
2010年度末現在、広島県内では134世帯が登録している。
うち広島県東部は50世帯。
乳児院・児童養護施設・ファミリーホームでは、
子ども計712人(10年度末現在)が暮らしている。
うち広島県東部は191人。
一方、里親の元で暮らす子どもは
広島県東部の22人を含め64人(同)。
里親を生かしきれていないのが実情だ。
■−里親を始めたきっかけは。
2000年ごろ、盆と年末年始に子どもを預かる
広島県のボランティア事業に参加した。
預かった女の子は「おいで。」と声を掛けても逃げた。
不思議だったが後で気付いた。
「おいで。」という言葉が、
児童相談所の職員に呼ばれて実の親から離れる時の
記憶を呼び起こしていた。心が痛んだ。
乳幼児期にこそ愛情を伝えたいと思った。
■―続ける理由は。
03年に里親に登録し、
05〜09年に男児3人をそれぞれ半年〜4年半育てた。
子どもが納得するまで話を聞くと、子どもは伸びる。
子どもからたくさんのことを教えられる。
広島県東部地区里親連合会の会長に4月に就任した。
今後は里親の交流を増やして、育児の質を高め合いたい。
会の活動を支える寄付が大幅に減っているので、
協力者も増やしたい。
■−自宅隣に開く自立支援ホーム
「憩いの家」はどう運営しますか。
児童養護施設などを巣立っても、頼れる家族がいない子どもは、
病気や失業などの困難を1人で乗り越えないといけない。
ある施設職員は
「自殺した子どももいる。受け皿が必要。」
と涙ながらに話してくれた。
一文無しで来てもらって大丈夫。園芸の仕事もある。
■−1998年に高校1年の四男慎(まこと)君
=当時(16)=が同級生から暴行を受けた後、
自殺する経験をされました。
身を切られるように苦しかった。
「思いやりのある社会にしなければ。」
と感じた。
前を向いて、子どもの役に立つことをしていきたい。
(久保友美恵)
○
金高良樹(きんたか・よしき)さん
福山市出身。福山電波工業高(現近大付属福山高)卒業後、
2年間団体職員を務め、祖父が福山市内海町で経営する
園芸会社に就職、後を継いだ。
現在、約4,600平方メートルのジャーマンアイリス園で、
約750種6万株栽培し、全国に販売している。
中国新聞 2011年08月22日(月)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
2011(平成23)年08月19日(金)
中国新聞
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人のやさしさ、伝える場に
http://www.chugoku-np.co.jp/kikaku/child/news/110819b.html
■児童養護施設出身者向け自立支援ホーム、福山に9月
福山市内海町の園芸家金高良樹さん(59)が
9月下旬、児童養護施設を巣立った若者を受け入れる
自立支援ホーム「憩いの家」を福山市内海町内に開く。
1998年に四男が高校の同級生たちから暴行を受けた後、
自殺した経験から、
「人を思いやり、支え合う社会になってほしい。」
と願って里親活動を続け、ホーム開設にも踏み切った。
「憩いの家」の2階で開設の準備をする金高さん
○
ホームは、自宅隣の木造2階建て民家を寄付してもらった。
6人にそれぞれ個室を無償で貸す。
希望があれば、野菜やジャーマンアイリスの栽培に雇う。
公的補助は受けず、家族で運営する。
98年、沼南高1年の四男慎(まこと)君=当時(16)=
が、同級生たちから金銭要求や暴行を受けた後に自殺した。
当時は、福山市の複数の中学高校で暴力団と関係が深い
暴走族による金銭要求もあった。
金高さんは
「苦しむ子どもを救わなくてはならない。」
と国と広島県に再発防止策などを訴えた。
「人のやさしさを伝えたかった。」
金高さんは2000年ごろから約3年間、
乳児院などの子ども約10人を短期間預かった。
03年には広島県知事が認可する里親に登録。
05〜09年に男児3人を育てた。
背景には、慎君の事件をきっかけに、
「社会は思いやりを失ってきている。」
との懸念が強くあった。
18歳で児童養護施設を巣立った若者が、
頼る先もなく苦労する姿に触れ、ホーム開設を決意した。
○
金高さんは
「行き場を失った子どもを支えたい。
衣食住を整えて安心できる場にしたい。」
と話している。
寝具や生活用品の寄付を募っている。
金高さん=電話 090(8994)2670。
(久保友美恵)
○
児童養護施設の入所は原則18歳未満。
自立が困難な20歳未満の若者を支援する公的制度には
「自立援助ホーム」がある。
自治体が事業委託し、NPO法人などが運営する。
厚生労働省によると、
全国で73カ所(2010年10月1日現在)ある。
広島県内ではことし1月、広島市西区に第1号が開所した。
公的補助を受けない民間施設は珍しい。
中国新聞 2011年08月19日(金)