双極性障害に初の治療指針… 安定薬「リチウム」推奨(読売新聞)
[2011年04月28日(Thu)]
2011(平成23)年04月28日(木)
読売新聞
トップ>>医療大全>医療ルネサンス
シリーズ
[医療解説]
双極性障害に初の治療指針… 安定薬「リチウム」推奨
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=40130
そう状態とうつ状態を繰り返す双極性障害(そううつ病)
の治療指針(ガイドライン)を日本うつ病学会がまとめた。
抗うつ薬の使用を「推奨されない」と明記するなど、
薬物療法を見直す内容になっている。 (佐藤光展)
◆抗うつ薬の投与は見直し
この障害の患者数は100人に1〜4人とされ、
30歳前後の発症が多い。
そう状態は、
「気分が良すぎたり、興奮したり、怒りっぽくなったりして、
他人からいつものあなたと違うと思われる状態」
で、さらに
「自分が偉くなったように感じる」
「いつもよりおしゃべり」
など、複数の症状が1週間以上続くと病的とされる。
やる気に満ちて、新しいことを次々と始めるが、
すぐに気が変わり、はかどらない。
あまり眠らずに行動し、さらに悪化すると、
多額の買い物をしたり、暴力的になったり、
「超能力がある」などの誇大妄想を抱いたりすることもある。
このような状態は、治療しないと2、3か月続き、
社会的信用を失う恐れもある。
一方、うつ状態は、
「ほとんど1日中憂うつで沈んだ気持ち」
「ほとんどのことに興味を失う」
「自分は価値がないと感じ、自分を責める」
などの症状が2週間以上続く状態。
悪化すると自殺を招くこともある。
双極性障害の中には、そう状態が目立たないタイプがあり、
うつ状態だけを見て、うつ病と誤診される患者も多い。
○
治療は薬物療法が中心で、そうとうつの波をコントロールする。
海外でこの10年、使う薬が大きく変わったことを受け、
同学会は今年3月、初の治療指針を公開した。
海外の薬の比較研究などから、
推奨される薬や推奨されない薬を記した。
うつ状態の患者にかつて勧められた治療は、
気分安定薬のリチウムと、抑うつ状態を改善する抗うつ薬の
組み合わせや、抗うつ薬だけを投薬する方法だった。
国内では、今もこのような投薬をする医師が目立つ。
治療指針ではこれを推奨されないと指摘。
抗うつ薬を使うと、急にそう状態になって症状が悪化したり、
気分安定薬だけの治療と効果が変わらなかったりするためで、
リチウムなど気分安定薬の使用を、最も推奨できる治療とした。
一方、重いそう状態には、統合失調症の幻覚や妄想を抑える
抗精神病薬のうち、古いタイプの薬が使われることがあるが、
手の震えや過度の鎮静などの副作用が出やすく、治療指針では、
「オランザピン」(一般名)など副作用の少ない
新しいタイプの抗精神病薬(非定型抗精神病薬)の使用を推奨。
軽度の場合はリチウム、
重度の場合はリチウムと非定型抗精神病薬の併用とした。
○
治療指針は同学会ホームページに掲載。
指針作りに携わった東京女子医大東医療センター
准教授の山田和男さんは
「双極性障害の治療法は、現在、適切と考えられる方法が、
数年後には否定される可能性もある。
インターネットを随時更新し、
常に最新、適切な治療法を紹介したい。」
としている。
読売新聞 2011年04月28日(木)
読売新聞
トップ>>医療大全>医療ルネサンス
シリーズ
[医療解説]
双極性障害に初の治療指針… 安定薬「リチウム」推奨
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=40130
そう状態とうつ状態を繰り返す双極性障害(そううつ病)
の治療指針(ガイドライン)を日本うつ病学会がまとめた。
抗うつ薬の使用を「推奨されない」と明記するなど、
薬物療法を見直す内容になっている。 (佐藤光展)
◆抗うつ薬の投与は見直し
この障害の患者数は100人に1〜4人とされ、
30歳前後の発症が多い。
そう状態は、
「気分が良すぎたり、興奮したり、怒りっぽくなったりして、
他人からいつものあなたと違うと思われる状態」
で、さらに
「自分が偉くなったように感じる」
「いつもよりおしゃべり」
など、複数の症状が1週間以上続くと病的とされる。
やる気に満ちて、新しいことを次々と始めるが、
すぐに気が変わり、はかどらない。
あまり眠らずに行動し、さらに悪化すると、
多額の買い物をしたり、暴力的になったり、
「超能力がある」などの誇大妄想を抱いたりすることもある。
このような状態は、治療しないと2、3か月続き、
社会的信用を失う恐れもある。
一方、うつ状態は、
「ほとんど1日中憂うつで沈んだ気持ち」
「ほとんどのことに興味を失う」
「自分は価値がないと感じ、自分を責める」
などの症状が2週間以上続く状態。
悪化すると自殺を招くこともある。
双極性障害の中には、そう状態が目立たないタイプがあり、
うつ状態だけを見て、うつ病と誤診される患者も多い。
○
治療は薬物療法が中心で、そうとうつの波をコントロールする。
海外でこの10年、使う薬が大きく変わったことを受け、
同学会は今年3月、初の治療指針を公開した。
海外の薬の比較研究などから、
推奨される薬や推奨されない薬を記した。
うつ状態の患者にかつて勧められた治療は、
気分安定薬のリチウムと、抑うつ状態を改善する抗うつ薬の
組み合わせや、抗うつ薬だけを投薬する方法だった。
国内では、今もこのような投薬をする医師が目立つ。
治療指針ではこれを推奨されないと指摘。
抗うつ薬を使うと、急にそう状態になって症状が悪化したり、
気分安定薬だけの治療と効果が変わらなかったりするためで、
リチウムなど気分安定薬の使用を、最も推奨できる治療とした。
一方、重いそう状態には、統合失調症の幻覚や妄想を抑える
抗精神病薬のうち、古いタイプの薬が使われることがあるが、
手の震えや過度の鎮静などの副作用が出やすく、治療指針では、
「オランザピン」(一般名)など副作用の少ない
新しいタイプの抗精神病薬(非定型抗精神病薬)の使用を推奨。
軽度の場合はリチウム、
重度の場合はリチウムと非定型抗精神病薬の併用とした。
○
治療指針は同学会ホームページに掲載。
指針作りに携わった東京女子医大東医療センター
准教授の山田和男さんは
「双極性障害の治療法は、現在、適切と考えられる方法が、
数年後には否定される可能性もある。
インターネットを随時更新し、
常に最新、適切な治療法を紹介したい。」
としている。
読売新聞 2011年04月28日(木)