「弱者尊重」が原点=友愛理念を説明−鳩山首相・所信表明演説 等(時事通信、東京新聞、MSN産経ニュース)
[2009年10月26日(Mon)]
2009(平成21)年10月26日(月)
時事ドットコム(時事通信社)
ホーム>政治・行政
「弱者尊重」が原点=友愛理念を説明−鳩山首相・所信表明演説
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009102600393
鳩山由紀夫首相は26日の所信表明演説で、
自らの政治理念「友愛政治」を説明した。
分かりにくいとの指摘を踏まえ、あえて故事は引用せず、
衆院選の遊説の際に出会った老婦人のエピソードに触れながら、
「弱者の視点の尊重を、友愛政治の原点として宣言する」
と表明した。
首相は8月に衆院選の応援演説で青森県を訪問した。
このとき、職に就けずに息子が自殺した老婦人から
「毎年3万人以上の命が絶たれているのに
政治には実感が乏しい」
と訴えられた話を紹介。
その上で首相は
「おばあさんのその手の感触。その目の中の悲しみ。
私には忘れることができないし、断じて忘れてはならない」
とし、
「選挙結果は『最も大切なこと』をおろそかにし続けた
政治と行政への痛烈な批判。その声に謙虚に耳を傾ける」
と決意を新たにした。
また、首相が訪問したチョーク工場が、障害者を積極的に採用
し、企業としても成功していることに言及。
物理学者アインシュタイン博士の言葉
「人は他人のために存在する」
を引用し、
「誰にでも『居場所と出番』がある、支え合う社会」
の実現を目指す考えを示した。
時事通信社 2009年10月26日(月)15時04分
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
2009(平成21)年10月26日(月)
東京新聞 夕刊
トップ>政治紙面から一覧
【政治】
『戦後行政を大掃除』 首相、午後に所信表明
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009102602000206.html
鳩山由紀夫首相は26日午後の衆参両院本会議で、
就任後初めての所信表明演説を行う。
衆院選での政権交代を受け、「国政の変革に取り組む」決意を
表明し、官僚依存から政治主導への転換を宣言する。
「戦後行政の大掃除」として税金の無駄遣いを洗い出し、
予算編成の在り方を見直す考えを示す。
経済合理性の追求ではなく、国民の暮らしの豊かさに力点を置く
「人間のための経済」も提唱する。
外交では「緊密かつ対等な日米関係」を目指す考えを強調し、
東アジア共同体構想の推進を表明する。
首相は鳩山内閣の政策決定システムについて
「官僚依存の仕組みを排し、政治主導・国民主導の新しい政治へ
180度転換させようとしている」
と指摘する。
その上で、「戦後行政の大掃除」として、行政刷新会議で
政府の全事業を見直す方針を説明。
国家戦略室で
「複数年度を視野に入れたトップダウン型の予算編成」
を進め、硬直化した財政構造を改める姿勢を強調する。
経済政策では
「市場にすべてを任せ、強い者だけが生き残ればよいという
発想はもはや成り立たない」
と小泉路線との決別を宣言。
「人間のための経済」を実現するため、
「地域のことは地域に住む住民が決める
『地域主権』改革を断行する」
と訴える。
外交では、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を含む
在日米軍再編問題について
「過去の経緯も検証した上で、沖縄の負担、苦しみに
思いをいたし、真剣に取り組む」
と述べるにとどめ、衆院選マニフェストにあった
「見直し」の表現はなくなった。
自身の政治資金の虚偽記載問題では
「政治への不信を持たれ、国民にご迷惑をかけたことを
誠に申し訳なく思っている」
と陳謝し、捜査に全面的に協力する考えを表明する。
マニフェストの主要政策では、子ども手当の創設や
高校の実質無償化の施策の推進を明言。
医療・介護制度の改善や郵政事業の抜本的な見直しのほか、
後期高齢者医療制度と障害者自立支援法の廃止に向けた
新制度の検討を約束する。
◇
第173臨時国会が26日、召集された。
会期は11月30日までの36日間。
衆参両院での各党代表質問は28日から30日までの3日間。
<解説>
自身の体験で『友愛』説明
鳩山由紀夫首相は26日の所信表明演説で
「友愛政治」の理念を語ることに重点を置いた。
マニフェストに並べた政策の優先順位や実現の道筋、
財源確保策といった具体論には踏み込まず、
本格的な議論は年明けの通常国会に先送りした。
首相は「友愛政治」の説明に、自身の経験談を2つはさむ。
最初は衆院選の青森県遊説。
職に就けなかった息子を自殺で亡くした高齢の女性は、
首相の手をつかんで離さなかった。
「その手の感触、その眼(め)の中の哀(かな)しみを
忘れることができないし、断じて忘れてはならない」。
首相はこの体験を踏まえ、弱者目線の「命を守る政治」を訴える。
もう1つは、20日に視察した川崎市の工場。
従業員の7割を占める知的障害者が粉の飛ばない高品質チョーク
を製造する様子に触れ、
「1人1人が『居場所と出番』を見いだすことのできる
『支え合って生きていく日本』を実現するために、
その先頭に立つ」
と決意を示す。
演説は、ほぼ全編が「鳩山色」に染まる。
各省から集めた政策項目を並べ、結びに故事を引く
従来の演説からは様変わりした。
情緒に流れている印象もあるが、短い演説が好まれた近年では、
1996年の橋本龍太郎首相に次いで多い、
1万3,000文字近くを費やした意気込みは伝わる。
ただ、「友愛政治」はつかみどころのないままだ。
言葉ではなく政策の実現で「友愛」を表現し、
国民に生活の中で実感させることができるかどうか。
問われるのは、その実行力にほかならない。
(政治部・竹内洋一)
東京新聞 夕刊 2009年10月26日(月)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
2009(平成21)年10月27日(火)
MSN産経ニュース
ニューストップ>政治>政策
【主張】所信表明演説 見えない政策の優先順位
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091027/plc0910270301006-n1.htm
鳩山由紀夫首相の初の所信表明演説は
「いのちを守る」や「社会の絆(きずな)を再生」
などのキャッチフレーズを多用した異色の内容だ。
遊説中に聞いた、息子を自殺で失ったおばあさんの訴えなどを
長めに取り入れ、具体的事例で訴える手法をとった。
役所言葉を排し、国民への分かりやすさを強調したかった
のだろう。
首相としては最初の国会演説を脱官僚依存にふさわしい
内容となるよう、工夫を凝らしたといえる。
「戦後行政の大掃除」や人と人が支えあう「新しい公共」
の概念なども盛り込まれ、その方向性は妥当だろう。
しかし、内政・外交とも政策を具体的にどう実現していくかが
明確に示されておらず、説得力に欠ける。
これでは首相が指摘した
「本当に変革なんてできるのか」
という国民の不安は消えない。
国会論戦を通じ、政権を託した国民に明確な政策判断を示す
責務がある。
外交面では「緊密かつ対等な日米同盟」を改めて掲げ、
同盟が世界の平和と安全に果たす役割を
「日本の側からも積極的に提言」すると述べた。
だが、日本がより大きな責任を担うことを前提に
米側に提言する用意があるのだろうか。
海外に派遣する自衛隊がより能力を発揮するには、憲法改正や
集団的自衛権の行使容認に踏み込むことが求められる。
そうした言及がないのは現実性に乏しい。
米軍普天間飛行場の移設問題は現状を説明したにすぎない。
世界の「架け橋」として国際社会から信頼される国を目指すと
唱えているが、基軸となる日米同盟の揺らぎを回避するのが
先決だ。
内政課題もマニフェストの取り組み状況をなぞった程度といえる。
郵政民営化の見直しという政権交代に伴う重大な政策転換に
ついて、もっと説明すべきだ。
鳩山政権に求められているのは、羽田の24時間国際拠点空港化
などの国家的プロジェクトをいかに現実化するかだ。
政策の優先順位をどう付けていくか。首相が問われているのは
その指導力だ。
政治資金をめぐる虚偽記載問題を自ら取り上げて陳謝し、
「捜査に全面的に協力する」
と語った。
だが、新たな説明責任を果たす考えを示さなかったのは残念だ。
政治資金規正法違反にどう向き合うか、
政治への信頼回復を決定づけることを忘れてはなるまい。
MSN産経ニュース 2009年10月27日(火) 03時00分
時事ドットコム(時事通信社)
ホーム>政治・行政
「弱者尊重」が原点=友愛理念を説明−鳩山首相・所信表明演説
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009102600393
鳩山由紀夫首相は26日の所信表明演説で、
自らの政治理念「友愛政治」を説明した。
分かりにくいとの指摘を踏まえ、あえて故事は引用せず、
衆院選の遊説の際に出会った老婦人のエピソードに触れながら、
「弱者の視点の尊重を、友愛政治の原点として宣言する」
と表明した。
首相は8月に衆院選の応援演説で青森県を訪問した。
このとき、職に就けずに息子が自殺した老婦人から
「毎年3万人以上の命が絶たれているのに
政治には実感が乏しい」
と訴えられた話を紹介。
その上で首相は
「おばあさんのその手の感触。その目の中の悲しみ。
私には忘れることができないし、断じて忘れてはならない」
とし、
「選挙結果は『最も大切なこと』をおろそかにし続けた
政治と行政への痛烈な批判。その声に謙虚に耳を傾ける」
と決意を新たにした。
また、首相が訪問したチョーク工場が、障害者を積極的に採用
し、企業としても成功していることに言及。
物理学者アインシュタイン博士の言葉
「人は他人のために存在する」
を引用し、
「誰にでも『居場所と出番』がある、支え合う社会」
の実現を目指す考えを示した。
時事通信社 2009年10月26日(月)15時04分
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
2009(平成21)年10月26日(月)
東京新聞 夕刊
トップ>政治紙面から一覧
【政治】
『戦後行政を大掃除』 首相、午後に所信表明
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009102602000206.html
鳩山由紀夫首相は26日午後の衆参両院本会議で、
就任後初めての所信表明演説を行う。
衆院選での政権交代を受け、「国政の変革に取り組む」決意を
表明し、官僚依存から政治主導への転換を宣言する。
「戦後行政の大掃除」として税金の無駄遣いを洗い出し、
予算編成の在り方を見直す考えを示す。
経済合理性の追求ではなく、国民の暮らしの豊かさに力点を置く
「人間のための経済」も提唱する。
外交では「緊密かつ対等な日米関係」を目指す考えを強調し、
東アジア共同体構想の推進を表明する。
首相は鳩山内閣の政策決定システムについて
「官僚依存の仕組みを排し、政治主導・国民主導の新しい政治へ
180度転換させようとしている」
と指摘する。
その上で、「戦後行政の大掃除」として、行政刷新会議で
政府の全事業を見直す方針を説明。
国家戦略室で
「複数年度を視野に入れたトップダウン型の予算編成」
を進め、硬直化した財政構造を改める姿勢を強調する。
経済政策では
「市場にすべてを任せ、強い者だけが生き残ればよいという
発想はもはや成り立たない」
と小泉路線との決別を宣言。
「人間のための経済」を実現するため、
「地域のことは地域に住む住民が決める
『地域主権』改革を断行する」
と訴える。
外交では、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を含む
在日米軍再編問題について
「過去の経緯も検証した上で、沖縄の負担、苦しみに
思いをいたし、真剣に取り組む」
と述べるにとどめ、衆院選マニフェストにあった
「見直し」の表現はなくなった。
自身の政治資金の虚偽記載問題では
「政治への不信を持たれ、国民にご迷惑をかけたことを
誠に申し訳なく思っている」
と陳謝し、捜査に全面的に協力する考えを表明する。
マニフェストの主要政策では、子ども手当の創設や
高校の実質無償化の施策の推進を明言。
医療・介護制度の改善や郵政事業の抜本的な見直しのほか、
後期高齢者医療制度と障害者自立支援法の廃止に向けた
新制度の検討を約束する。
◇
第173臨時国会が26日、召集された。
会期は11月30日までの36日間。
衆参両院での各党代表質問は28日から30日までの3日間。
<解説>
自身の体験で『友愛』説明
鳩山由紀夫首相は26日の所信表明演説で
「友愛政治」の理念を語ることに重点を置いた。
マニフェストに並べた政策の優先順位や実現の道筋、
財源確保策といった具体論には踏み込まず、
本格的な議論は年明けの通常国会に先送りした。
首相は「友愛政治」の説明に、自身の経験談を2つはさむ。
最初は衆院選の青森県遊説。
職に就けなかった息子を自殺で亡くした高齢の女性は、
首相の手をつかんで離さなかった。
「その手の感触、その眼(め)の中の哀(かな)しみを
忘れることができないし、断じて忘れてはならない」。
首相はこの体験を踏まえ、弱者目線の「命を守る政治」を訴える。
もう1つは、20日に視察した川崎市の工場。
従業員の7割を占める知的障害者が粉の飛ばない高品質チョーク
を製造する様子に触れ、
「1人1人が『居場所と出番』を見いだすことのできる
『支え合って生きていく日本』を実現するために、
その先頭に立つ」
と決意を示す。
演説は、ほぼ全編が「鳩山色」に染まる。
各省から集めた政策項目を並べ、結びに故事を引く
従来の演説からは様変わりした。
情緒に流れている印象もあるが、短い演説が好まれた近年では、
1996年の橋本龍太郎首相に次いで多い、
1万3,000文字近くを費やした意気込みは伝わる。
ただ、「友愛政治」はつかみどころのないままだ。
言葉ではなく政策の実現で「友愛」を表現し、
国民に生活の中で実感させることができるかどうか。
問われるのは、その実行力にほかならない。
(政治部・竹内洋一)
東京新聞 夕刊 2009年10月26日(月)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
2009(平成21)年10月27日(火)
MSN産経ニュース
ニューストップ>政治>政策
【主張】所信表明演説 見えない政策の優先順位
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091027/plc0910270301006-n1.htm
鳩山由紀夫首相の初の所信表明演説は
「いのちを守る」や「社会の絆(きずな)を再生」
などのキャッチフレーズを多用した異色の内容だ。
遊説中に聞いた、息子を自殺で失ったおばあさんの訴えなどを
長めに取り入れ、具体的事例で訴える手法をとった。
役所言葉を排し、国民への分かりやすさを強調したかった
のだろう。
首相としては最初の国会演説を脱官僚依存にふさわしい
内容となるよう、工夫を凝らしたといえる。
「戦後行政の大掃除」や人と人が支えあう「新しい公共」
の概念なども盛り込まれ、その方向性は妥当だろう。
しかし、内政・外交とも政策を具体的にどう実現していくかが
明確に示されておらず、説得力に欠ける。
これでは首相が指摘した
「本当に変革なんてできるのか」
という国民の不安は消えない。
国会論戦を通じ、政権を託した国民に明確な政策判断を示す
責務がある。
外交面では「緊密かつ対等な日米同盟」を改めて掲げ、
同盟が世界の平和と安全に果たす役割を
「日本の側からも積極的に提言」すると述べた。
だが、日本がより大きな責任を担うことを前提に
米側に提言する用意があるのだろうか。
海外に派遣する自衛隊がより能力を発揮するには、憲法改正や
集団的自衛権の行使容認に踏み込むことが求められる。
そうした言及がないのは現実性に乏しい。
米軍普天間飛行場の移設問題は現状を説明したにすぎない。
世界の「架け橋」として国際社会から信頼される国を目指すと
唱えているが、基軸となる日米同盟の揺らぎを回避するのが
先決だ。
内政課題もマニフェストの取り組み状況をなぞった程度といえる。
郵政民営化の見直しという政権交代に伴う重大な政策転換に
ついて、もっと説明すべきだ。
鳩山政権に求められているのは、羽田の24時間国際拠点空港化
などの国家的プロジェクトをいかに現実化するかだ。
政策の優先順位をどう付けていくか。首相が問われているのは
その指導力だ。
政治資金をめぐる虚偽記載問題を自ら取り上げて陳謝し、
「捜査に全面的に協力する」
と語った。
だが、新たな説明責任を果たす考えを示さなかったのは残念だ。
政治資金規正法違反にどう向き合うか、
政治への信頼回復を決定づけることを忘れてはなるまい。
MSN産経ニュース 2009年10月27日(火) 03時00分