【断 中村文則】死刑の温度差(MSN産経ニュース)
[2009年02月01日(Sun)]
2009(平成21)年02月01日(日)
MSN産経ニュース
ニューストップ>文化>学術
コラム
【断 中村文則】死刑の温度差
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/090201/acd0902010304001-n1.htm
死刑について書きたいと思う。
その賛否をこの分量で書くのは不可能なので、議論が足りない
と思われる箇所、その要点の一部を書くことにする。
詳しくは今度出る小説に書いた。早急な賛否の前に、
まずは死刑について知り、考える必要があると思っている。
遺族が極刑を求めるのは当然だと僕は思う。
遺族感情は、司法において最大限に尊重されなければならない。
だが同時に、遺族感情によりその判決が左右されると、
殺されても遺族がいない、つまり1人で生きてきた人間が
殺された時と、量刑が変わってしまう問題が出てくる。
「被害者は1人で生きてきたから、殺されたけど
犯人の死刑はぎりぎり回避された」
ではまずいと思うのだ。
児童虐待の殺人で、親が死刑になったケースがあるだろうか。
遺族が加害者だからか。同じ命ではないか、と
問いたくなるのである。
なぜあの犯人が死刑でこの犯人が死刑でないのか、という判決が
この頃(ごろ)目立つ。悲痛な精神の中、さらに悔しい思いを
しなければならない遺族は多い。妙な差が出ている。
世論やマスコミの盛り上がりで量刑が変わるなら、
そもそも罪とは、罰とは、司法とは何か。
刑を執行する、刑務官の立場も忘れてはならない。
日本の死刑は絞首刑で、その時死刑囚が暴れれば、刑務官達は
押さえつけなければならない。緊急に国民の命を守るため拳銃
(けんじゅう)を使う警察官とは、その行為は根本から違う。
ちなみに、死刑を廃止し犯罪が増加した国のデータはない。
やはり全然書ききれないが、広い議論を望みたい。 (作家)
2009.02.01 03:03
MSN産経ニュース
ニューストップ>文化>学術
コラム
【断 中村文則】死刑の温度差
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/090201/acd0902010304001-n1.htm
死刑について書きたいと思う。
その賛否をこの分量で書くのは不可能なので、議論が足りない
と思われる箇所、その要点の一部を書くことにする。
詳しくは今度出る小説に書いた。早急な賛否の前に、
まずは死刑について知り、考える必要があると思っている。
遺族が極刑を求めるのは当然だと僕は思う。
遺族感情は、司法において最大限に尊重されなければならない。
だが同時に、遺族感情によりその判決が左右されると、
殺されても遺族がいない、つまり1人で生きてきた人間が
殺された時と、量刑が変わってしまう問題が出てくる。
「被害者は1人で生きてきたから、殺されたけど
犯人の死刑はぎりぎり回避された」
ではまずいと思うのだ。
児童虐待の殺人で、親が死刑になったケースがあるだろうか。
遺族が加害者だからか。同じ命ではないか、と
問いたくなるのである。
なぜあの犯人が死刑でこの犯人が死刑でないのか、という判決が
この頃(ごろ)目立つ。悲痛な精神の中、さらに悔しい思いを
しなければならない遺族は多い。妙な差が出ている。
世論やマスコミの盛り上がりで量刑が変わるなら、
そもそも罪とは、罰とは、司法とは何か。
刑を執行する、刑務官の立場も忘れてはならない。
日本の死刑は絞首刑で、その時死刑囚が暴れれば、刑務官達は
押さえつけなければならない。緊急に国民の命を守るため拳銃
(けんじゅう)を使う警察官とは、その行為は根本から違う。
ちなみに、死刑を廃止し犯罪が増加した国のデータはない。
やはり全然書ききれないが、広い議論を望みたい。 (作家)
2009.02.01 03:03