「被害者らの気持ちを分かってほしい」 秋田被害者支援センター理事長 佐藤 怜さん(79)(秋田市)(読売新聞)
[2008年11月17日(Mon)]
2008(平成20)年11月17日(月)
読売新聞
ホーム>地域>秋田
「被害者らの気持ちを分かってほしい」
秋田被害者支援センター理事長 佐藤 怜さん(79)(秋田市)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20081116-OYT8T00592.htm
2001年4月20日、自転車に乗っていた秋田大3年の
女子学生が県道交差点で、大型トラックにひかれ、死亡した。
大学の教え子だった。
事件事故の被害者や遺族を支援する「秋田被害者支援センター」
を設立した日でもあった。
「女子学生の遺族の悲しむ姿を見た時、
センター運営にかける思いを強くした」と話す。
センターに寄せられる電話相談は年間200件ほど。
これを主婦や警察OBら約40人の支援員が交代で応じる。
面談だけでなく、病院や裁判所への付き添いも行う。
答えに窮する時がある。
「加害者の刑が軽すぎる」
と訴えられた時だ。
「刑を重くしても、加害者が罪をきちんと償うとは限らない。
加害者自身の問題だ」
と伝えている。冷たく聞こえるかもしれないが、
加害者側のことは自分ではどうしようもない。
ただ、
「被害者らの気持ちを分かってほしい」
と思う。
*
センター設立の3年前、自殺に関する電話相談に応じる
NPO法人「秋田いのちの電話」の設立にもかかわった。
悩み、苦しんでいる人の力になりたいとの一心からで、
そのきっかけは、自身の高校生のころにさかのぼる。
当時は、昭和戦争のさなか。勤労学徒として
機関車に燃料の石炭を積んだり、軍需工場で兵器の製造に
携わったりする日々を送った。
将来を悲観した同級生が何人も自殺した。
中には親友もいたが、彼らに何も出来なかった自分に
歯がゆさを覚えたためだ。
センターは05年4月、県公安委員会から
「犯罪被害者等早期援助団体」に指定された。
それまでは相談が来るのを待つしかなかったが、
県警との情報交換が可能となったことで、
センターから被害者らに接触できるなど活動の幅が広がった。
同年7月には、全国に先駆けて性犯罪被害者に
医療費補助(上限10万円)も始めた。
県内の刑法犯の発生件数は今年1〜10月で5242件。
これら事件の被害者に対するセンターに課せられた責任は重い。
しかし、一番の願いは、センターの存在意義が無くなることだという。
「事件事故がなくなれば、支援する相手もいなくなるから」
センターの電話相談は平日の午前10時〜午後4時。
018・832・8010で受け付けている。
(井上宗典)
*
犯罪被害者週間(25日〜12月1日)に合わせ、
被害者支援を考える「県民のつどい」が26日、
秋田市文化会館で開かれる。入場無料。
事前申し込みが必要で、問い合わせは
県安全・安心まちづくり推進課
(018・860・1523)。
締め切りは21日。
(2008年11月17日 読売新聞)
読売新聞
ホーム>地域>秋田
「被害者らの気持ちを分かってほしい」
秋田被害者支援センター理事長 佐藤 怜さん(79)(秋田市)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20081116-OYT8T00592.htm
2001年4月20日、自転車に乗っていた秋田大3年の
女子学生が県道交差点で、大型トラックにひかれ、死亡した。
大学の教え子だった。
事件事故の被害者や遺族を支援する「秋田被害者支援センター」
を設立した日でもあった。
「女子学生の遺族の悲しむ姿を見た時、
センター運営にかける思いを強くした」と話す。
センターに寄せられる電話相談は年間200件ほど。
これを主婦や警察OBら約40人の支援員が交代で応じる。
面談だけでなく、病院や裁判所への付き添いも行う。
答えに窮する時がある。
「加害者の刑が軽すぎる」
と訴えられた時だ。
「刑を重くしても、加害者が罪をきちんと償うとは限らない。
加害者自身の問題だ」
と伝えている。冷たく聞こえるかもしれないが、
加害者側のことは自分ではどうしようもない。
ただ、
「被害者らの気持ちを分かってほしい」
と思う。
*
センター設立の3年前、自殺に関する電話相談に応じる
NPO法人「秋田いのちの電話」の設立にもかかわった。
悩み、苦しんでいる人の力になりたいとの一心からで、
そのきっかけは、自身の高校生のころにさかのぼる。
当時は、昭和戦争のさなか。勤労学徒として
機関車に燃料の石炭を積んだり、軍需工場で兵器の製造に
携わったりする日々を送った。
将来を悲観した同級生が何人も自殺した。
中には親友もいたが、彼らに何も出来なかった自分に
歯がゆさを覚えたためだ。
センターは05年4月、県公安委員会から
「犯罪被害者等早期援助団体」に指定された。
それまでは相談が来るのを待つしかなかったが、
県警との情報交換が可能となったことで、
センターから被害者らに接触できるなど活動の幅が広がった。
同年7月には、全国に先駆けて性犯罪被害者に
医療費補助(上限10万円)も始めた。
県内の刑法犯の発生件数は今年1〜10月で5242件。
これら事件の被害者に対するセンターに課せられた責任は重い。
しかし、一番の願いは、センターの存在意義が無くなることだという。
「事件事故がなくなれば、支援する相手もいなくなるから」
センターの電話相談は平日の午前10時〜午後4時。
018・832・8010で受け付けている。
(井上宗典)
*
犯罪被害者週間(25日〜12月1日)に合わせ、
被害者支援を考える「県民のつどい」が26日、
秋田市文化会館で開かれる。入場無料。
事前申し込みが必要で、問い合わせは
県安全・安心まちづくり推進課
(018・860・1523)。
締め切りは21日。
(2008年11月17日 読売新聞)