ポジティブ・イリュージョン(夢見るチカラ)
[2008年06月20日(Fri)]
2008(平成20)年06月20日(金)
毎日新聞
トップ>ニュースセレクト>社説・解説・コラム>余録
余録:心理学に「ポジティブ・イリュージョン」という言葉がある…
http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/news/20080620ddm001070064000c.html
心理学に「ポジティブ・イリュージョン」という言葉がある。
直訳すれば「肯定的、積極的な錯覚」という意味だが、
手品の話ではない。人の自分についてのイメージのことである。
実像より自分を良く評価する人間心理の傾向をこう呼んでいるのだ。
○
米国のある心理学者によると、人が元気よく生きられるのは
この楽観的な自己欺瞞(ぎまん)のおかげだそうだ。
どうも人が前のめりに生きてゆくには、事実通りの認識より
バラ色の幻想が役立つらしい。なるほど何人かの元気な
知人の顔も思い浮かぶ。
○
ところで日本人は米国人などに比べ、ポジティブ・イリュージョン
に乏しく、自分に厳しいイメージを抱きがちだといわれる。
以前聞いたそんな話を思い出したのは、昨年の全国の自殺者が
10年連続で3万人を超えたとの発表があったからだ。
○
とくに世代別の内訳では60歳以上と30代で過去最多だった。
原因はうつ病をはじめ健康上の悩みが多いが、高齢者で生活苦、
30代では仕事疲れが少なくない。むろん心の病でも
生活や職場の不安やストレスがかかわっている場合があろう。
○
過去のデータとの比較になるが、10万人当たりの自殺者数を示す
自殺率25・9はロシアやハンガリーなど東欧や旧ソ連諸国に次ぐ
水準で、先進産業諸国で最も高いグループに入る。
ちなみに02年の米国は11・0で日本の半分以下である。
○
自ら命を絶つ人にはそれぞれ余人に分からぬ事情もあろう。
だが高止まりする自殺率を見れば、この間の社会の変化が
人々から楽観的な夢や幻を見る力を奪ってはいないかが気になる。
苦境に立つ人を前向きに生かす心のはずみを生み出せない社会は、
誰にとっても不幸だ。
毎日新聞 2008年6月20日 東京朝刊
**********************
以上、引用終わり
「楽観的な夢や幻を見るチカラ」を保障する世の中であって
欲しい。
もちろん、自分自身も、そうした社会を構成する一部でありたい。
毎日新聞
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余録:心理学に「ポジティブ・イリュージョン」という言葉がある…
http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/news/20080620ddm001070064000c.html
心理学に「ポジティブ・イリュージョン」という言葉がある。
直訳すれば「肯定的、積極的な錯覚」という意味だが、
手品の話ではない。人の自分についてのイメージのことである。
実像より自分を良く評価する人間心理の傾向をこう呼んでいるのだ。
○
米国のある心理学者によると、人が元気よく生きられるのは
この楽観的な自己欺瞞(ぎまん)のおかげだそうだ。
どうも人が前のめりに生きてゆくには、事実通りの認識より
バラ色の幻想が役立つらしい。なるほど何人かの元気な
知人の顔も思い浮かぶ。
○
ところで日本人は米国人などに比べ、ポジティブ・イリュージョン
に乏しく、自分に厳しいイメージを抱きがちだといわれる。
以前聞いたそんな話を思い出したのは、昨年の全国の自殺者が
10年連続で3万人を超えたとの発表があったからだ。
○
とくに世代別の内訳では60歳以上と30代で過去最多だった。
原因はうつ病をはじめ健康上の悩みが多いが、高齢者で生活苦、
30代では仕事疲れが少なくない。むろん心の病でも
生活や職場の不安やストレスがかかわっている場合があろう。
○
過去のデータとの比較になるが、10万人当たりの自殺者数を示す
自殺率25・9はロシアやハンガリーなど東欧や旧ソ連諸国に次ぐ
水準で、先進産業諸国で最も高いグループに入る。
ちなみに02年の米国は11・0で日本の半分以下である。
○
自ら命を絶つ人にはそれぞれ余人に分からぬ事情もあろう。
だが高止まりする自殺率を見れば、この間の社会の変化が
人々から楽観的な夢や幻を見る力を奪ってはいないかが気になる。
苦境に立つ人を前向きに生かす心のはずみを生み出せない社会は、
誰にとっても不幸だ。
毎日新聞 2008年6月20日 東京朝刊
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以上、引用終わり
「楽観的な夢や幻を見るチカラ」を保障する世の中であって
欲しい。
もちろん、自分自身も、そうした社会を構成する一部でありたい。