年年歳歳:教訓生かしているのか=牧 秀一/兵庫(毎日新聞)
[2011年07月28日(Thu)]
2011(平成23)年07月28日(木)
毎日新聞 地方版
トップ>地域>兵庫県内のニュース
年年歳歳:教訓生かしているのか=牧 秀一/兵庫
http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20110728ddlk28070391000c.html
「廊下にうじ虫が出てきたんや……。」
今年6月、1人暮らしの高齢者48人が生活する、
小さな復興公営住宅で5人目の孤独死があった。
仮設住宅から復興住宅へ転居して
12年間に27人が亡くなり、
当初から生活する人はたった21人となった。
震災で何もかも失い、避難所、仮設住宅、復興住宅と
2度3度の転居でコミュニティーの分断を余儀なくされ、
それでも生きつづけて来た人々が6万人以上いる。
だが、孤独死・自殺は今も後を絶たない。
街並みは大震災の傷跡を消し去ったが、
被災した人々、とりわけ1人暮らしの
高齢者・病弱者・障害者は日々、深刻化する
「孤独」「不安」に苦しんでいる。
これが17年目を迎えた阪神大震災の現状である。
●
東日本大震災から4カ月が経過した。
私たちは月1度、被災地を訪問し、
人と出会い信頼関係を築く活動をしている。
7月は福島県南相馬市に行った。
震災や津波で壊滅した地域以外の街並みが、
人のにおいがしないゴーストタウンのようになっていた。
ここは、原発による被害が色濃く風評被害も想像を絶した。
海岸から2キロほど離れた小さな小学校。
1階部分は津波に遭い、校庭のそばまで多数の漁船が、
打ち上げられていた。
誰もいない小学校は廃校になったのだろう。
黒板には、先生が卒業生に向けたメッセージが残されていた。
「今日から中学生。卒業式がまだなので
『おめでとう』は言えないけど、
みなさんのかがやかしい未来を信じています!
今、未来の扉を開けるとき、悲しみや苦しみが
いつの日か喜びにかわるだろう。
先生は信じています!」
●
東日本の被災者間に日々、広がる生活間格差。
この間、国や被災地行政はすべてを失った人が
安心して生活出来るため、阪神の教訓を生かそうと
しているのだろうか。
6月下旬、福島県の93歳の足の不自由な高齢者が
「あしでまといになるから、お墓にひなんします。
ごめんなさい。」
と遺言を残し自殺した。
震災で生き延びた命が「希望」すら持てず、
苦渋の日々を過ごし、阪神以上の悲劇を生むのではないかと
危惧している。
(まき・しゅういち NPO「よろず相談室」理事長、
神戸市立楠高校教員、神戸学院大客員教授)
毎日新聞 地方版 2011年07月28日(木)
毎日新聞 地方版
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年年歳歳:教訓生かしているのか=牧 秀一/兵庫
http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20110728ddlk28070391000c.html
「廊下にうじ虫が出てきたんや……。」
今年6月、1人暮らしの高齢者48人が生活する、
小さな復興公営住宅で5人目の孤独死があった。
仮設住宅から復興住宅へ転居して
12年間に27人が亡くなり、
当初から生活する人はたった21人となった。
震災で何もかも失い、避難所、仮設住宅、復興住宅と
2度3度の転居でコミュニティーの分断を余儀なくされ、
それでも生きつづけて来た人々が6万人以上いる。
だが、孤独死・自殺は今も後を絶たない。
街並みは大震災の傷跡を消し去ったが、
被災した人々、とりわけ1人暮らしの
高齢者・病弱者・障害者は日々、深刻化する
「孤独」「不安」に苦しんでいる。
これが17年目を迎えた阪神大震災の現状である。
●
東日本大震災から4カ月が経過した。
私たちは月1度、被災地を訪問し、
人と出会い信頼関係を築く活動をしている。
7月は福島県南相馬市に行った。
震災や津波で壊滅した地域以外の街並みが、
人のにおいがしないゴーストタウンのようになっていた。
ここは、原発による被害が色濃く風評被害も想像を絶した。
海岸から2キロほど離れた小さな小学校。
1階部分は津波に遭い、校庭のそばまで多数の漁船が、
打ち上げられていた。
誰もいない小学校は廃校になったのだろう。
黒板には、先生が卒業生に向けたメッセージが残されていた。
「今日から中学生。卒業式がまだなので
『おめでとう』は言えないけど、
みなさんのかがやかしい未来を信じています!
今、未来の扉を開けるとき、悲しみや苦しみが
いつの日か喜びにかわるだろう。
先生は信じています!」
●
東日本の被災者間に日々、広がる生活間格差。
この間、国や被災地行政はすべてを失った人が
安心して生活出来るため、阪神の教訓を生かそうと
しているのだろうか。
6月下旬、福島県の93歳の足の不自由な高齢者が
「あしでまといになるから、お墓にひなんします。
ごめんなさい。」
と遺言を残し自殺した。
震災で生き延びた命が「希望」すら持てず、
苦渋の日々を過ごし、阪神以上の悲劇を生むのではないかと
危惧している。
(まき・しゅういち NPO「よろず相談室」理事長、
神戸市立楠高校教員、神戸学院大客員教授)
毎日新聞 地方版 2011年07月28日(木)



