<セカンドらいふ>自殺リスク高める アルコール依存 断酒会など通じ啓発(東京新聞)
[2011年03月02日(Wed)]
2011(平成23)年03月02日(水)
東京新聞
トップ>暮らし・健康>暮らし一覧
【暮らし】
<セカンドらいふ>自殺リスク高める アルコール依存 断酒会など通じ啓発
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2011030202000099.html
働き盛りの中高年は生活上の悩みからなどで
気分が落ち込み、飲酒で紛らわすことは少なくない。
だが、アルコールの負の影響で、
自殺のリスクを高める場合がある。
3月は自殺対策強化月間、飲酒と自殺の関係も啓発の柱だ。
(飯田克志)
○
「死にたいとベランダに出るけれど、
飛び降りる勇気がなくて室内に戻り、
相談電話に電話すると、つながらず、
そのショックでお酒を飲む、それを繰り返していた。」
さいたま市桜区の女性(38)は多量飲酒しながら、
自殺にとらわれていた約5年前を振り返る。
23歳で頼っていた父を病気で亡くし、
うつ病を患い、自殺を試みるようになった。
その後、離婚し子どもとも別居。寂しさから酒に浸った。
「ほかに気持ちの癒やし方を知らなかった。」
病院に通っていたが、アルコール依存症に詳しい医師が
担当になるまで飲酒は問題視されず、
「依存症とは思いもしなかった。」
○
飲酒と自殺の関係について、国立精神・神経医療研究センター
(東京都小平市)の赤沢正人研究員(人間科学)は
「気分が沈んでいるときに酒を大量に飲むと、
絶望感や孤独感、抑うつ気分など心理的苦痛が増え、
よけい気分を沈ませる。」
と説明する。
さらに飲酒は思考の幅を狭め、自殺以外に解決がない
と考えがちになったり、自分への攻撃性が高まって、
自殺への行動化を促すという負の影響がある。
うつ病などが合併するとさらに自殺のリスクが高まる。
前出の女性の場合と重なる。
だが、自殺と飲酒の関係はあまり知られておらず、
アルコール依存症や乱用を「個人の意志」の問題として
捉えがちだ。
○
飲酒と自殺、うつ病との密接な関連を裏付ける研究がある。
赤沢さんらが2009年度に実施した、
自殺者の家族への調査では自殺者76人中、
人間関係の悩みや健康悪化などから
飲酒問題を抱えていた人は16人。
40代、50代が各6人で、
返済困難な借金を抱えているケースが多かった。
同依存症・乱用状態だった人は13人で、
うち9人がうつ病だった。
また、断酒を目指す人たちが参加する
全日本断酒連盟の会員対象に、
同年度に実施した調査(4,616人)では、
仲間の自殺を知っている人が38.1%、
自殺未遂については44.1%いた。
会員自身が自殺を計画したことや自殺を企図した人は
約2割いた。
調査に協力した同連盟の立木鉄太郎副理事長は
「自殺についてはタブー視してきた面があるが、
昨年から防止に向け本格的に取り組みを始めた。」
と話す。
各地域の断酒会での自殺関連のセミナー開催や、
自治体の啓発活動への協力などを進めている。
○
ただ、飲酒問題を抱えた人は自ら問題を認めない傾向が強い。
赤沢さんは家族が自治体の精神保健福祉センターや
保健所に相談し、専門医療機関への受診、断酒会などの
自助グループへの参加を勧め、
「飲み方を間違えれば、自殺につながる危険性があることを
もっと知ってほしい。」
と注意を促している。
全日本断酒連盟 =電 03(3863)1600= や、
アルコール依存症の自助グループ・NPO法人
「AA日本ゼネラルサービス」=電 03(3590)5377=
などで相談を受け付けている。
東京新聞 2011年03月02日(水)
東京新聞
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【暮らし】
<セカンドらいふ>自殺リスク高める アルコール依存 断酒会など通じ啓発
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2011030202000099.html
働き盛りの中高年は生活上の悩みからなどで
気分が落ち込み、飲酒で紛らわすことは少なくない。
だが、アルコールの負の影響で、
自殺のリスクを高める場合がある。
3月は自殺対策強化月間、飲酒と自殺の関係も啓発の柱だ。
(飯田克志)
○
「死にたいとベランダに出るけれど、
飛び降りる勇気がなくて室内に戻り、
相談電話に電話すると、つながらず、
そのショックでお酒を飲む、それを繰り返していた。」
さいたま市桜区の女性(38)は多量飲酒しながら、
自殺にとらわれていた約5年前を振り返る。
23歳で頼っていた父を病気で亡くし、
うつ病を患い、自殺を試みるようになった。
その後、離婚し子どもとも別居。寂しさから酒に浸った。
「ほかに気持ちの癒やし方を知らなかった。」
病院に通っていたが、アルコール依存症に詳しい医師が
担当になるまで飲酒は問題視されず、
「依存症とは思いもしなかった。」
○
飲酒と自殺の関係について、国立精神・神経医療研究センター
(東京都小平市)の赤沢正人研究員(人間科学)は
「気分が沈んでいるときに酒を大量に飲むと、
絶望感や孤独感、抑うつ気分など心理的苦痛が増え、
よけい気分を沈ませる。」
と説明する。
さらに飲酒は思考の幅を狭め、自殺以外に解決がない
と考えがちになったり、自分への攻撃性が高まって、
自殺への行動化を促すという負の影響がある。
うつ病などが合併するとさらに自殺のリスクが高まる。
前出の女性の場合と重なる。
だが、自殺と飲酒の関係はあまり知られておらず、
アルコール依存症や乱用を「個人の意志」の問題として
捉えがちだ。
○
飲酒と自殺、うつ病との密接な関連を裏付ける研究がある。
赤沢さんらが2009年度に実施した、
自殺者の家族への調査では自殺者76人中、
人間関係の悩みや健康悪化などから
飲酒問題を抱えていた人は16人。
40代、50代が各6人で、
返済困難な借金を抱えているケースが多かった。
同依存症・乱用状態だった人は13人で、
うち9人がうつ病だった。
また、断酒を目指す人たちが参加する
全日本断酒連盟の会員対象に、
同年度に実施した調査(4,616人)では、
仲間の自殺を知っている人が38.1%、
自殺未遂については44.1%いた。
会員自身が自殺を計画したことや自殺を企図した人は
約2割いた。
調査に協力した同連盟の立木鉄太郎副理事長は
「自殺についてはタブー視してきた面があるが、
昨年から防止に向け本格的に取り組みを始めた。」
と話す。
各地域の断酒会での自殺関連のセミナー開催や、
自治体の啓発活動への協力などを進めている。
○
ただ、飲酒問題を抱えた人は自ら問題を認めない傾向が強い。
赤沢さんは家族が自治体の精神保健福祉センターや
保健所に相談し、専門医療機関への受診、断酒会などの
自助グループへの参加を勧め、
「飲み方を間違えれば、自殺につながる危険性があることを
もっと知ってほしい。」
と注意を促している。
全日本断酒連盟 =電 03(3863)1600= や、
アルコール依存症の自助グループ・NPO法人
「AA日本ゼネラルサービス」=電 03(3590)5377=
などで相談を受け付けている。
東京新聞 2011年03月02日(水)