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お布施:「目安」に異議 全日本仏教会が公開シンポ(毎日新聞) [2010年09月17日(Fri)]
2010(平成22)年09月17日(金)
毎日新聞 東京朝刊
トップ>ライフスタイル>住宅

お布施:「目安」に異議 全日本仏教会が公開シンポ
http://mainichi.jp/life/housing/news/20100917ddm013100022000c.html

◇イオンが紹介サービス
 「火葬場で読経+普通戒名=10万円…」

葬儀は宗派や地域によってさまざまだが、僧侶にお経を
上げてもらい、戒名をつけてもらう形式は少なくない。

そこで渡す「お布施」のあり方をめぐり、
伝統仏教58宗派などが加盟する全日本仏教会が
今月13日、初めての公開シンポジウムを開いた。

「布施に対する一般からの不安や不満にしっかり向き合わず、
 あいまいにしてきた」(同会)

との反省と、スーパー大手のイオンが「お布施の目安」を
公表したことがきっかけだった。【丹野恒一】



全日本仏教会が開いたシンポジウムでは
葬儀や布施に関して、さまざまな意見が述べられた

◇できる範囲で 明朗会計、仕方ない

東京・秋葉原で開かれたシンポジウム
「葬儀は誰の為に行うのか? 〜お布施をめぐる問題を考える」
では、芥川賞作家で福島県の寺の住職でもある玄侑宗久さんや、
中島隆信・慶応大商学部教授ら4人がそれぞれの立場から
葬儀と布施について講演。

その後、会場からの質問を基に
パネルディスカッションを行った。



イオンは昨年9月、全国約450社の葬儀業者と契約し、
業者の見積もりをチェックしたうえで紹介する
「イオンのお葬式」を始めた。

祭壇やひつぎのグレードによって
29万8,000円から148万円までの
6種類の基本プランを用意し、料金を明確にした。

イオンカード会員とWAONカードを持っている人向けの
サービスで、紹介実績は公表していないが、
相談件数は約1万件に上るという。

仏教会が問題にしたのは、イオンが今年5月に追加した、
寺院紹介サービスだ。

主要宗派の600カ寺とイオンが連携し、
▽火葬場での読経と普通戒名だけなら10万円
▽通夜・葬儀などでも読経し、院号戒名を授与すれば55万円

−−などと布施の額の目安をインターネットなどで公表した。



「『お葬式』を利用したお客様から、
 お坊さんに渡す布施の額が不明確では不安だ、
 との声が多く寄せられたため」

と、公表した理由を説明する。

金額は、主な寺院に聞き取りを行ってまとめたもので、
「あくまでも目安」
としている。

しかし、全日本仏教会は、

「商品を売る企業が宗教的な行為である布施を
 同じように扱うのは問題。
 目安と言いながらも実際には、
 料金体系化されていく恐れがある」

として公表の中止を要請した。

イオンは現在、ネットでの公表を取りやめ、
電話での問い合わせで回答する方法に切り替えた。



「布施は慈しみの心にもとづくもので、
 商品と同じように定価とすべきものではない。
 布施をされる方がそれぞれのできる範囲で施すもので、
 その金額に高い、安いはない」。

これが、お布施に関する全日本仏教会の公式見解だ。

今回のシンポジウムでは、玄侑さんが

「都市部では菩提(ぼだい)寺との関係を面倒に思う人が増え、
 ギャラ感覚で呼ばれた僧侶が行う
 葬式『のようなもの』の需要が増えている」

と現状認識を述べたうえで、

「布施とは本来、システム化やデータ化は拒否するものだ。
 葬儀マーケットに目を付けたのだろうが、
 そのような葬儀を全国に広げられては困る」

とイオンを批判した。

一方、「お寺の経済学」などの著書がある中島教授は

「お寺と檀家(だんか)の間に信頼関係がなくなり、
 国民は布施を宗教的サービスの対価と考えるようになった。
 『明朗会計』を求めるのは仕方がない」

と分析。

仏教界に対しては、

「国民の仏教への意識が薄れていったことに気付かず、
 檀家との関係維持の努力を怠った。
 50年後、寺は現在の10分の1以下に減り、
 葬儀サービスの請負事業者化しているのではないか」

と厳しく指摘した。

また、雑誌『SOGI』編集長の碑文谷 創(ひもんやはじめ)
さんは布施の金額に対する不信感について

「財政的に自立できている寺院は全体の3割程度しかない。
 寺の会計を公開すれば、布施をする側との信頼は高まる」

との考えを述べた。

最後に、コーディネーターを務めた
全日本仏教会の戸松義晴事務総長が

「葬儀や布施が、社会にとっても仏教界にとっても
 いい形であり続けられるよう、これからも努力していきたい」

と締めくくった。

毎日新聞 東京朝刊 2010年09月17日(金)
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