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【映画評】「あの夏の子供たち」(仏) 等(読売新聞) [2010年05月28日(Fri)]
2010(平成22)年05月28日(金)
読売新聞
総合トップ>エンタメ>映画>映画評

「あの夏の子供たち」(仏)
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/cinema/creview/20100528-OYT8T00684.htm

父の自殺と家族の再生

原題は「私の子供たちの父」。
仕事熱心だった父の自殺で家族はどう再生の道を歩んだのか。
人間の死と生についての一考察である。



父(ルイ=ドー・ド・ランクザン=写真右から2人目)の
職業は映画プロデューサー。
早朝から夜遅くまで企画を練り資金繰りに走り回る毎日。

が、死後多額の借金と未完成の映画が残される。
なぜ彼は命を絶ったのか。

仕事の傍ら共に多くの時間を過ごした母
(キアラ・カゼッリ=同左端)と3人の娘は
父の死をどう受け止めたのか。

ここで重要なのは映画だけでなく
家族にも深い愛を注いだ父の生き方である。

女性監督ミア・ハンセン・ラブは、父のモデルとなった
プロデューサーへの哀惜を込めて脚本を書いたという。
その父の度量の大きさ、ひたむきさ。

それなのにというべきか、だからこそというべきか、
過剰な生の輝きが突然死へと落下しても不思議はない。

それは苦境を逃れるための死ではなく、
燃え上がる生と隣り合わせの死、
日常にぽっかり空いた虚無の穴のような死だったのかもしれない。

しかし自殺の真相はともかく、残された家族の人生は続く。
母は残務整理に追われ、長女は父の知られざる足跡をたどる。

が、公私にわたる悪戦苦闘の人生をさらけ出しても
2人が父の遺志を受け継ごうとするのは映画への愛ゆえか。

思えば映画は人生のように続き、また人生も映画のように続く。
映画は人生そのもの。
終幕に流れる懐かしい名画の主題歌「ケ・セラ・セラ」
の旋律が身に染みる。

1時間50分。恵比寿ガーデンシネマ。

(映画評論家・土屋好生)

読売新聞 2010年05月28日(金)

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

2010(平成22)年05月14日(金)
読売新聞
総合トップ>エンタメ>映画>映画ニュース

「あの夏の子供たち」ハンセン・ラブ監督
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/cinema/cnews/20100514-OYT8T00455.htm

試練はね返す強さ

ある映画プロデューサーの死という現実の出来事を題材にした
フランス映画「あの夏の子供たち」が
29日から、恵比寿ガーデンシネマで公開される。



ミア・ハンセン・ラブ監督=写真= 2作目の長編だ。

物語の中心はある家族。
パリを拠点に映画の仕事と家族に愛情を注ぐ父親が、
不況の波の中、多額の借金と未完成作をのこして自殺。

妻と3人の娘は、厳しい現実の中、
再出発へ向けて踏み出していく。

父親のモデルは、インデペンデント映画製作者として活躍し、
2005年に自殺したアンベール・バルザン。

ハンセン・ラブ監督の初長編「すべてが許される」(07年)
も、バルザンの死の前は彼の製作で作られることが
ほぼ決まっていた。

「私にとって、初めて機会を与えてくれた
 素晴らしいプロデューサーでした」。

この作品の題材に彼を選んだのは、
「映画、そして子供へと引き継がれる
 彼の『魂』を描き出したかった」
からだ。

厳しい現実を描くが、過剰に劇的な描写は一切ない。

「『題材が題材なだけに、メロドラマかと思ったら
 まったく違う』

 という言葉をたくさんいただきました。

 もちろん、悲劇は存在します。
 でも、人は苦しみや試練をはね返す強さも持っている。
 そうした現実もきちんと表現したかった」

生前、バルザンは
「映画は日常生活から遊離するものではない」
と言っていたという。

「彼にとって、映画は生きるために不可欠なものでした。
 その感覚は、私も共有しています」

読売新聞 2010年05月14日(金)
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