「直葬」から見えるニッポン(NHKオンライン)
[2010年02月12日(Fri)]
2010(平成22)年01月29日(金)
NHKオンライン
トップ>ニューストップ>あすの日本>取材最前線
「直葬」から見えるニッポン
http://www.nhk.or.jp/asupro-blog/990/34976.html
NHK仙台放送局 記者 山口 満
「無縁社会ニッポン」の取材で、
私が選んだテーマが「直葬」です。
通夜や告別式をせず、火葬のみで最後の別れをする
葬儀のスタイルです。
都市部を中心に急速に広がり、東京都内では
全葬儀の3割を占めるようになったとも言われています。
なぜ、こうした葬儀を選ぶ人たちが増えているのか。
私は各地の火葬場に何度も足を運んで実際の現場を見てきました。
自ら命を絶ち、半年後にようやく発見された独身男性。
病院で誰からの見舞いも受けず晩年を過ごし、
孤独のまま亡くなったお年寄り。
中には、火葬場に誰も現れず、私が遺族に代わって
お骨を拾わせていただいたケースもありました。
●
「人は生きているようにしか死ねない」。
「その人の生き方が、葬儀にあらわれる」。
取材に協力してくれた葬儀社の人から何度も聞いた言葉です。
生まれた時には誰かに愛され、
友人や家族に囲まれた時期もあったであろう人たちが、
親しい人に見送られることもなく、次々と世を去っていく。
それが当たり前のことになっている社会の現状は、
私にとって大きな驚きでした。
長生きすることが当たり前になる中で、
多くのお年寄りが孤独を深めている現状もあります。
夫に先立たれ、子どももいないため、
直葬を生前から予約している女性は、
「認知症になるかもしれない」
と日々恐怖を感じて、葬儀を開くことが人の迷惑になると
考えていました。
●
直葬で送られる人たちには、様々な事情があり、
そのことをもって不幸と決めつけることは決してできません。
ですから、直葬が増えている現状から
何をメッセージとして伝えるか、最後まで悩みました。
人は誰でも、誰かに愛され、繋がっていたいと
感じていると思います。
家族がそばにいたり、仕事が順調だったり、
体が健康なときには、不安を感じることはなくても、
いざ孤独になると、新たな絆を築き上げることが難しい・・・。
そんな社会が今の日本なのではないかと感じました。
●
東京に出張した3ヶ月の取材を終えて、
今は仙台で本来の担当である事件・事故の取材を続けています。
プロジェクトに参加したことで、たくさんの人たちと会い、
社会への不安や希望を聞くことができました。
必ず、これからの取材に生かすことができると思っています。
NHKオンライン 2010年01月29日(金)17時00分
NHKオンライン
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「直葬」から見えるニッポン
http://www.nhk.or.jp/asupro-blog/990/34976.html
NHK仙台放送局 記者 山口 満
「無縁社会ニッポン」の取材で、
私が選んだテーマが「直葬」です。
通夜や告別式をせず、火葬のみで最後の別れをする
葬儀のスタイルです。
都市部を中心に急速に広がり、東京都内では
全葬儀の3割を占めるようになったとも言われています。
なぜ、こうした葬儀を選ぶ人たちが増えているのか。
私は各地の火葬場に何度も足を運んで実際の現場を見てきました。
自ら命を絶ち、半年後にようやく発見された独身男性。
病院で誰からの見舞いも受けず晩年を過ごし、
孤独のまま亡くなったお年寄り。
中には、火葬場に誰も現れず、私が遺族に代わって
お骨を拾わせていただいたケースもありました。
●
「人は生きているようにしか死ねない」。
「その人の生き方が、葬儀にあらわれる」。
取材に協力してくれた葬儀社の人から何度も聞いた言葉です。
生まれた時には誰かに愛され、
友人や家族に囲まれた時期もあったであろう人たちが、
親しい人に見送られることもなく、次々と世を去っていく。
それが当たり前のことになっている社会の現状は、
私にとって大きな驚きでした。
長生きすることが当たり前になる中で、
多くのお年寄りが孤独を深めている現状もあります。
夫に先立たれ、子どももいないため、
直葬を生前から予約している女性は、
「認知症になるかもしれない」
と日々恐怖を感じて、葬儀を開くことが人の迷惑になると
考えていました。
●
直葬で送られる人たちには、様々な事情があり、
そのことをもって不幸と決めつけることは決してできません。
ですから、直葬が増えている現状から
何をメッセージとして伝えるか、最後まで悩みました。
人は誰でも、誰かに愛され、繋がっていたいと
感じていると思います。
家族がそばにいたり、仕事が順調だったり、
体が健康なときには、不安を感じることはなくても、
いざ孤独になると、新たな絆を築き上げることが難しい・・・。
そんな社会が今の日本なのではないかと感じました。
●
東京に出張した3ヶ月の取材を終えて、
今は仙台で本来の担当である事件・事故の取材を続けています。
プロジェクトに参加したことで、たくさんの人たちと会い、
社会への不安や希望を聞くことができました。
必ず、これからの取材に生かすことができると思っています。
NHKオンライン 2010年01月29日(金)17時00分