秋の叙勲、県関係は78人(中日新聞/岐阜)
[2009年11月03日(Tue)]
2009(平成21)年11月03日(火・祝)
中日新聞
トップ>岐阜>11月03日の記事一覧
【岐阜】
秋の叙勲、県関係は78人
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20091103/CK2009110302000037.html
3日付で発令された秋の叙勲で、
県関係では旭日章20人、瑞宝章58人の計78人が受章した。
このうち4人を紹介する。
◆「命の大切さ」訴えた 旭日双光章・加藤智子さん(71)
加藤 智子さん
1996年から12年間、県教育委員を務め、うち3年間は
委員長。受章の報せに
「光栄なことですが、重い責任を感じます」。
窯業、不動産などの事業を抱える会社社長の傍ら、
委員として「命の大切さ」を訴えてきた。
委員長時代、中津川市の女子中学生殺害事件、
瑞浪市の女子中学生いじめ自殺に遭遇。
「東濃は地元であり、特に心が痛みました」。
保身を捨て、誠意を持った対応を現場に求めた。
「委員として最善を尽くしてきた。
お役に立てたか分からないが、いい勉強をさせてもらった」
と振り返る。
「家庭、学校、地域が連携して取り組むのが教育」
が持論。今後も地域の教育問題に尽くす覚悟だ。多治見市本町。
(志村彰太)
◆預かる人の増加期待 旭日双光章・平尾 安幸さん(77)
平尾 安幸さん
「私にはすぎた勲章です」
と穏やかな表情で喜びを語る。
しかし里親を必要とする子どもは依然多く、
「どの施設も満員なだけに、もっと里親が増えてほしい」
と力を込めた。
「家庭に恵まれない子どもたちのために」
と、1975年に里親登録。
「戦時中、私も学童疎開をするなどつらい思いをした」
との思いからだった。
以来、自宅で子どもたちを預かるようになり、県里親連合会では
理事、副会長に続き、99年から9年間、会長を務めた。
2000年に知事表彰、07年に厚生労働大臣表彰を受けている。
「預かった子どもたちを主に世話したのは妻。
この勲章は妻のもの」
と敬子さん(70)とともに笑顔を見せた。恵那市長島町。
(保母哲)
◆少年の自立やりがい 瑞宝双光章・酒井 克郎さん(70)
酒井 克郎さん
「29年も続くなんて夢にも思わなかった」。
自営業の傍ら、40歳から務めた保護司の仕事を振り返る。
保護司だった父親の死後、後を継いだ。
「父の仕事ぶりを見ていたのでなじみはあったが、
商売しながらできるか心配だった」。
保護観察対象者1人当たり月3回の面接、
出所前の環境調整など、忙しい日々が続いた。
面接に来ない人の家には朝晩通った。
いきなり相手方から連絡があり、深夜に面接することも多い。
それでも
「最後にニコッと笑って『ありがとうございました』
とお礼に来てくれる時は本当にうれしい」
と笑顔を見せる。
最近は対象者の8割が青少年。
「少年が更生して巣立ってくれるのがやりがい」
と話す。岐阜市長良志段見。
(久保田麻里衣)
◆データ提供し30年余 瑞宝単光章・古川 浩三さん(75)
古川 浩三さん
自宅を訪れた建設省(現国土交通省)の職員から
「井戸はありませんか」
と聞かれたのが40年前。
それから30年半余り、母屋北側の深さ8メートルの井戸で
水位を観測し、データを提供し続けた。
観測は毎日、午前6時と午後6時。機械が導入されるまでは、
巻き尺に板を付けて測った。
「朝起きて顔を洗うようなもの。
たいしたことはしていませんよ」
と謙遜(けんそん)する。
妻ひなさん(72)が
「とても根気強い人」
と評するように、日記は結婚してから今まで欠かさず続けている。
積み重ねの大切さは、地域活動に励んだ父の背中に学んだ。
「受章は井戸とご先祖さま、そして地域の皆さんのおかげ」。
感謝の言葉を繰り返した。海津市南濃町山崎。
(松瀬晴行)
中日新聞 2009年11月03日(火・祝)
中日新聞
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【岐阜】
秋の叙勲、県関係は78人
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20091103/CK2009110302000037.html
3日付で発令された秋の叙勲で、
県関係では旭日章20人、瑞宝章58人の計78人が受章した。
このうち4人を紹介する。
◆「命の大切さ」訴えた 旭日双光章・加藤智子さん(71)
加藤 智子さん
1996年から12年間、県教育委員を務め、うち3年間は
委員長。受章の報せに
「光栄なことですが、重い責任を感じます」。
窯業、不動産などの事業を抱える会社社長の傍ら、
委員として「命の大切さ」を訴えてきた。
委員長時代、中津川市の女子中学生殺害事件、
瑞浪市の女子中学生いじめ自殺に遭遇。
「東濃は地元であり、特に心が痛みました」。
保身を捨て、誠意を持った対応を現場に求めた。
「委員として最善を尽くしてきた。
お役に立てたか分からないが、いい勉強をさせてもらった」
と振り返る。
「家庭、学校、地域が連携して取り組むのが教育」
が持論。今後も地域の教育問題に尽くす覚悟だ。多治見市本町。
(志村彰太)
◆預かる人の増加期待 旭日双光章・平尾 安幸さん(77)
平尾 安幸さん
「私にはすぎた勲章です」
と穏やかな表情で喜びを語る。
しかし里親を必要とする子どもは依然多く、
「どの施設も満員なだけに、もっと里親が増えてほしい」
と力を込めた。
「家庭に恵まれない子どもたちのために」
と、1975年に里親登録。
「戦時中、私も学童疎開をするなどつらい思いをした」
との思いからだった。
以来、自宅で子どもたちを預かるようになり、県里親連合会では
理事、副会長に続き、99年から9年間、会長を務めた。
2000年に知事表彰、07年に厚生労働大臣表彰を受けている。
「預かった子どもたちを主に世話したのは妻。
この勲章は妻のもの」
と敬子さん(70)とともに笑顔を見せた。恵那市長島町。
(保母哲)
◆少年の自立やりがい 瑞宝双光章・酒井 克郎さん(70)
酒井 克郎さん
「29年も続くなんて夢にも思わなかった」。
自営業の傍ら、40歳から務めた保護司の仕事を振り返る。
保護司だった父親の死後、後を継いだ。
「父の仕事ぶりを見ていたのでなじみはあったが、
商売しながらできるか心配だった」。
保護観察対象者1人当たり月3回の面接、
出所前の環境調整など、忙しい日々が続いた。
面接に来ない人の家には朝晩通った。
いきなり相手方から連絡があり、深夜に面接することも多い。
それでも
「最後にニコッと笑って『ありがとうございました』
とお礼に来てくれる時は本当にうれしい」
と笑顔を見せる。
最近は対象者の8割が青少年。
「少年が更生して巣立ってくれるのがやりがい」
と話す。岐阜市長良志段見。
(久保田麻里衣)
◆データ提供し30年余 瑞宝単光章・古川 浩三さん(75)
古川 浩三さん
自宅を訪れた建設省(現国土交通省)の職員から
「井戸はありませんか」
と聞かれたのが40年前。
それから30年半余り、母屋北側の深さ8メートルの井戸で
水位を観測し、データを提供し続けた。
観測は毎日、午前6時と午後6時。機械が導入されるまでは、
巻き尺に板を付けて測った。
「朝起きて顔を洗うようなもの。
たいしたことはしていませんよ」
と謙遜(けんそん)する。
妻ひなさん(72)が
「とても根気強い人」
と評するように、日記は結婚してから今まで欠かさず続けている。
積み重ねの大切さは、地域活動に励んだ父の背中に学んだ。
「受章は井戸とご先祖さま、そして地域の皆さんのおかげ」。
感謝の言葉を繰り返した。海津市南濃町山崎。
(松瀬晴行)
中日新聞 2009年11月03日(火・祝)