• もっと見る

NPO法人宮崎自殺防止センターを応援したい

NPO法人国際ビフレンダーズ 宮崎自殺防止
センターでボランティア活動を始めました。
いろいろと勉強中です。

なお、このブログは、自死等の相談に応じるものではありません。


NPO法人宮崎自殺防止センター
■ TEL 0985(77)9090
■ 毎週 日・水・金曜日
   午後8時から午後11時まで(3時間)


<< 2014年07月 >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
月別アーカイブ
カテゴリアーカイブ
最新記事
視点・論点 「貧困と戦争」(NHK/解説委員室) [2009年03月23日(Mon)]
2009(平成21)年03月23日(月)
NHKオンライン
トップ>解説委員室>視点・論点

視点・論点 「貧困と戦争」
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/18006.html

ジャーナリスト 堤 未果

先月27日、アメリカのオバマ大統領はイラクからの撤退計画の
方針について明らかにしました。
イラク駐留米軍の「戦闘部隊」を2010年夏までに撤退させる、
しかし「非戦闘要員」については、3万5,000人から
5万人の部隊を引き続き駐留させるという内容です。

「就任式から16カ月以内にイラクから兵士を撤退させる」
という公約を掲げたオバマ大統領。

2008年の年末から年始にかけて戦争の泥沼化で減りつつ
あった米軍入隊希望者が再び急増した理由は、それは不況による
失業者の増大に加え、この全面撤退という公約がもたらした
戦争終結のイメージでした。

暗黒の8年と呼ばれるブッシュ政権の戦争経済にうんざりして
いた国民は、新しい時代を作る平和主義の指導者として
オバマ氏を支持したのです。

戦闘要員のみでは完全な撤退ではないと批判する退役軍人協会
は、アメリカ国内の深刻な社会問題の1つである兵士の自殺率に
ついて指摘しています。

PTSDなどで自殺する兵士が急増し、政府は2007年に
退役軍人自殺予防法を制定するなど数々の予防策を実施して
いますが、自殺率はあがり続けています。

去年のアメリカ議会が発表したデータによると、
退役軍人の自殺は年間6,500人、毎日18人と推計されて
います。


2004年に制定された青少年自殺予防法の予算は85億円、
2009年の退役軍人省のメンタルヘルス予算は
4,000億円、50倍もの差は一体どこから来るのでしょうか?

私が取材した26歳のある帰還兵は言いました。

「戦争には大義名分も正義も悪も存在しない、
たった1つ暴力というルールだけがすべてを支配し、
殺人マシーンとなった兵士達を壊していく」

暴力のみが支配する場所で生きた兵士たちにとって、
再び社会に適応することはとても困難です。
多くの場合、それは重度の精神障害や、自分や他人への暴力と
なってあらわれるからです。

イラクとアフガニスタンに送られた約19万人の女性兵士の
3人に1人は母親ですが、戦場で人を殺した後遺症で子供を
育てられなくなった母親が急増しています。

戦場でのストレスと鬱病、PTSDなどが兵士達の自殺率と
犯罪率を増やす一方で、社会保障削減政策によって
2003年から毎年100億円ずつ退役軍人省の予算が削減され、
多くの帰還兵が就労支援やカウンセリング、医師の診療を受ける
事ができないまま放置されている、兵士達の多くはPTSDから
逃れようとアルコールや薬物依存におちいり、
現在国内のホームレスの4分の1をしめています。

イラク戦争について考えるときもう1つ私達が忘れてはならない
のは、この戦争を支えているのが兵士たちだけではないという
事実です。

民営化された戦争は、兵士と、軍が外注した民間企業という
2つの力によって回ってゆきます。

企業が関わればそこに利益が発生する。
例えば2008年の5月、ハリバートン社の子会社である
KBR社はイラク復興事業と同地への派遣ビジネスを含む収益が
前年比3倍に増大したことを発表しました。

これらの企業は軍用住宅の建設や兵士達の食事や備品、トラック
の運転手にいたるまで、コスト削減というメリットと引き換えに
政府に提供します。

では民営化のデメリットとは何でしょう?
民営化によって戦争がビジネスになり、利益を生み出す手段と
して需要が生まれてしまうことです。

大統領選挙での高額献金元リストを見ると、イラク戦争に
よって株価を上げている軍需産業や石油会社、派遣会社や
ウォールストリートなどの企業はどこも上位に乗っています。

利益追求という企業力学が戦争と結びついた戦争経済政策を
進めたブッシュ政権の下で、中間層が貧困層に、貧困層が
さらに最貧困層へと転落していったアメリカ。

国の土台が崩れかけた中でチェンジを切望した国民の多くは今、
オバマ大統領がブッシュ政権の戦争経済政策を引き継いでいる
事や、金融危機を引き起こした張本人であるウォールストリート
の救済について失望しています。

最近では公的資金で救済された大手保険会社AIGの幹部が
160億円のボーナスを受け取っていた事もわかり、
国民の怒りはさらに膨れ上がっています。

でも2008年の選挙中、軍需産業はマケイン候補より
オバマ候補に34%多く献金し、ウォールストリートが製薬業界
やメディア業界と共に常にオバマ氏の最高献金額リストに入って
いたことを考えると、オバマ氏自身選挙を通じて戦争経済や
博打体質の金融システムを推進する業界に支えられてきた事は
明らかでした。

オバマさんはイラク戦争には反対票を投じたけれど、
その後30兆円の戦争予算には全て賛成票を投じている、
彼の選んだ副大統領や大統領補佐は率先してイラク戦争を
支持した人々です。

ガザ空爆ではイスラエル支持の姿勢を示し、テロとの戦いは政権の
最優先事項に掲げている、戦争政策についてはむしろタカ派です。

繰り返し耳に入るスローガンや華やかな選挙戦の陰で見落とされ
がちな、候補者の献金元や政策チームの顔ぶれは今後のアメリカ
を見る為の重要な判断材料になります。

2008年に無所属で大統領選に出馬したラルフ・ネーダー氏は
私に言いました。
「有権者は決してファンになってはいけない」

候補者の魅力やスローガンに陶酔し、自分達の未来に関わる政策
をよく検証せず、期待が外れたら裏切ったと言って叩く。
それは間違いなのです と。

それはアメリカだけの話ではなく、
選挙を前にした日本の私達にとっても他人事ではない話です。

戦争経済政策を進めた事で国内の格差を広げ、今では史上最低と
言われるブッシュ大統領も、9.11直後の支持率は当選直後の
オバマ大統領より高い93%でした。

アメリカを見ていると、民主主義とは独裁的なリーダーによって
奪われるのではなく、私たち有権者が単なるショーの観客に
なった時、そこから崩れてゆくのだということがよくわかります。

教育も医療も公的予算を削減しているアメリカでは、
高すぎる医療費や教育費と引き換えに若者や労働者が入隊し、
戦場で心身を壊されて帰国した彼らの多くが社会に適応できず
ホームレス化しています。

人間に投資しないことで教育レベルと国の生産性が下がってゆく、
それが戦争経済が実体経済に与える影響です。

2009年度のアメリカの軍事予算は60兆円、60兆円という
お金は、現在アメリカ国内で急増している、保険を持たない
国民全員に医療保険を30年間提供できる額でもあります。

これを多いと感じるか少ないと感じるか?
それを決める価値観は、有権者1人1人に向けられた
「国のありよう」
についての問いかけです。

現在急激に下がっているオバマ大統領の支持率。
自分達の選んだリーダーが道を踏み外しかけていると感じる時、
ただ批判して背を向けるのではなく、国の未来を共に考え、
それを実現する為に数の力でバックアップしてゆく。

アメリカだけでなく日本でも、
試されているのは指導者よりも私達有権者であるようです。

投稿者:管理人 |  投稿時間:23:22
コメント
プロフィール

黒水 宣行さんの画像
黒水 宣行
プロフィール
ブログ
リンク集
最新コメント
最新トラックバック