末期がん妻殺害「尽くした」夫に猶予判決…名古屋地裁支部 等(読売、毎日)
[2009年03月26日(Thu)]
2009(平成21)年03月26日(木)
読売新聞
ホーム>社会
末期がん妻殺害「尽くした」夫に猶予判決…名古屋地裁支部
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090326-OYT1T00400.htm
末期がんを患う妻に頼まれ、殺害したとして嘱託殺人の罪に
問われた、愛知県稲沢市東緑町、無職増田範雄被告(72)の
判決が26日、名古屋地裁一宮支部であった。
安達拓裁判官は
「短絡的な犯行だが、闘病中の妻にずっと付き添い、尽くした」
として、懲役3年、執行猶予4年(求刑・懲役4年)を言い渡した。
判決によると、増田被告は昨年12月25日午後3時半頃、
自宅で、末期がんのため腹部に激痛を訴えていた妻昌代さん
(当時67歳)から、
「殺して欲しい」
と頼まれ、同4時頃、寝ていた昌代さんの首を布ひもで絞め、
窒息死させた。
検察側の冒頭陳述によると、昌代さんは2000年と07年に
がんが見つかり、手術を受けた。
さらに昨年8月頃にもがんが見つかったが、昌代さんは3度目と
なる外科手術を拒み、痛みが生じた場合に痛みを取る緩和療法を
選択。その頃から、増田被告に対し
「自殺したい」
「殺して欲しい」
などと度々告げていたという。
(2009年03月26日10時58分 読売新聞)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
【 参 考 】
2009(平成21)年03月03日(火)
毎日新聞 東京朝刊
トップ>ニュースセレクト>話題
介護保険:殺人防げず 利用中発生、昨年約半数 家族負担重く−−毎日新聞調べ
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090303ddm001040016000c.html
在宅介護を受ける65歳以上の高齢者が家族に殺害される
「介護殺人」で、08年に起きた事件の少なくとも
約半数が介護保険制度を利用しながら防げなかったことが、
毎日新聞の調べで分かった。
介護保険では介護される人(要介護者)の状態を判定し、
サービスを自己負担1割で提供しているが、悲劇に歯止めを
かけられない実態が浮かんだ。
毎日新聞が06〜08年の3年間で報道した介護殺人・
無理心中(未遂を除く)は計97件で、年間30件を超える
ペースで起きている。
介護保険制度が始まる直前の99年は21件で、
約10件多くなっている。
08年の事件は32件だったが、このうち少なくとも15件が
行政に自ら要介護認定を申請、うち13件がヘルパー派遣や
デイサービスを利用し、介護専門職が家族にかかわっていた。
2月に茨城県で77歳妻が起こした嘱託殺人事件では、週6日
ヘルパーが家を訪ね、寝たきりの夫(77)を介護していたが、
深夜のおむつ交換や食事を担ってきた妻がひざを痛めた際、夫に
「殺してくれ」
と懇願され、突発的な犯行に及んでいる。
3年間の合計で加害者側の内訳をみると、約7割(70件)は男性。
核家族化などで男性介護者が急増していることが背景にある。
【有田浩子、遠藤和行】
==============
■解説
◇急がれる介護者ケア
家族を介護地獄から解放しようと「介護の社会化」を掲げた
介護保険制度は今年4月、10年目を迎える。
だが家族の精神的、身体的、経済的負担はなお重い。
家庭内での高齢者虐待は年間1万件を超え、介護うつも深刻化して
いる。背景には急速な少子高齢化で家族の介護力が一気に低下して
いることがある。そのスピードに施策が追いついていない。
行政は介護政策を施設から在宅重視へとシフトする一方、
同居家族がいる人のヘルパー利用を制限している。
ケアする人のケアに取り組むNPO「介護者サポートネットワーク
センター・アラジン」の牧野史子理事長は
「介護者の心身を守らなければ、要介護者も守れない。
家族に休息を義務づけるなどの制度が必要」
と訴える。欧州などでは介護者支援の動きが広がっている。
超高齢化の最先端を走る日本こそ、一刻も早い支援策が求められる。
【磯崎由美】
毎日新聞 2009年03月03日 東京朝刊
読売新聞
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末期がん妻殺害「尽くした」夫に猶予判決…名古屋地裁支部
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090326-OYT1T00400.htm
末期がんを患う妻に頼まれ、殺害したとして嘱託殺人の罪に
問われた、愛知県稲沢市東緑町、無職増田範雄被告(72)の
判決が26日、名古屋地裁一宮支部であった。
安達拓裁判官は
「短絡的な犯行だが、闘病中の妻にずっと付き添い、尽くした」
として、懲役3年、執行猶予4年(求刑・懲役4年)を言い渡した。
判決によると、増田被告は昨年12月25日午後3時半頃、
自宅で、末期がんのため腹部に激痛を訴えていた妻昌代さん
(当時67歳)から、
「殺して欲しい」
と頼まれ、同4時頃、寝ていた昌代さんの首を布ひもで絞め、
窒息死させた。
検察側の冒頭陳述によると、昌代さんは2000年と07年に
がんが見つかり、手術を受けた。
さらに昨年8月頃にもがんが見つかったが、昌代さんは3度目と
なる外科手術を拒み、痛みが生じた場合に痛みを取る緩和療法を
選択。その頃から、増田被告に対し
「自殺したい」
「殺して欲しい」
などと度々告げていたという。
(2009年03月26日10時58分 読売新聞)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
【 参 考 】
2009(平成21)年03月03日(火)
毎日新聞 東京朝刊
トップ>ニュースセレクト>話題
介護保険:殺人防げず 利用中発生、昨年約半数 家族負担重く−−毎日新聞調べ
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090303ddm001040016000c.html
在宅介護を受ける65歳以上の高齢者が家族に殺害される
「介護殺人」で、08年に起きた事件の少なくとも
約半数が介護保険制度を利用しながら防げなかったことが、
毎日新聞の調べで分かった。
介護保険では介護される人(要介護者)の状態を判定し、
サービスを自己負担1割で提供しているが、悲劇に歯止めを
かけられない実態が浮かんだ。
毎日新聞が06〜08年の3年間で報道した介護殺人・
無理心中(未遂を除く)は計97件で、年間30件を超える
ペースで起きている。
介護保険制度が始まる直前の99年は21件で、
約10件多くなっている。
08年の事件は32件だったが、このうち少なくとも15件が
行政に自ら要介護認定を申請、うち13件がヘルパー派遣や
デイサービスを利用し、介護専門職が家族にかかわっていた。
2月に茨城県で77歳妻が起こした嘱託殺人事件では、週6日
ヘルパーが家を訪ね、寝たきりの夫(77)を介護していたが、
深夜のおむつ交換や食事を担ってきた妻がひざを痛めた際、夫に
「殺してくれ」
と懇願され、突発的な犯行に及んでいる。
3年間の合計で加害者側の内訳をみると、約7割(70件)は男性。
核家族化などで男性介護者が急増していることが背景にある。
【有田浩子、遠藤和行】
==============
■解説
◇急がれる介護者ケア
家族を介護地獄から解放しようと「介護の社会化」を掲げた
介護保険制度は今年4月、10年目を迎える。
だが家族の精神的、身体的、経済的負担はなお重い。
家庭内での高齢者虐待は年間1万件を超え、介護うつも深刻化して
いる。背景には急速な少子高齢化で家族の介護力が一気に低下して
いることがある。そのスピードに施策が追いついていない。
行政は介護政策を施設から在宅重視へとシフトする一方、
同居家族がいる人のヘルパー利用を制限している。
ケアする人のケアに取り組むNPO「介護者サポートネットワーク
センター・アラジン」の牧野史子理事長は
「介護者の心身を守らなければ、要介護者も守れない。
家族に休息を義務づけるなどの制度が必要」
と訴える。欧州などでは介護者支援の動きが広がっている。
超高齢化の最先端を走る日本こそ、一刻も早い支援策が求められる。
【磯崎由美】
毎日新聞 2009年03月03日 東京朝刊