今日の人219.番留剛裕さん [2022年02月20日(Sun)]
今日の人は、造園施工・管理・伐採・枝打ちBan Garden代表でGardener & Lumberjack(庭師&木こり)、そして牛岳スキースクール副校長でもある番留剛裕(ばんどめたけひろ)さんです。
松の木の剪定中の番ちゃん 高い所はへっちゃら 愛されキャラの番留さんは、皆さんから親しみを込めて番ちゃんと呼ばれているので、こちらでも番ちゃんと書かせていただきます。 番ちゃんは1973年8月に広島県広島市で生まれました。両親とも出身は福岡県大牟田市なのですが、6歳まで広島で育った番ちゃんは、広島カープが大好きで、しょっちゅう広島球場にも連れていってもらっていました。特に、山本浩二や鉄人衣笠といった広島の一時代の築いた選手の大ファンでした。といっても自身で野球をするのは苦手で、友だちとはサッカーをして遊んでいました。2歳上にお兄さんもいて、お兄さんや近所の友だちと外遊びをするのが日課でした。 お父さんの転勤に伴って富山にやってきたのは保育園の年長の冬でした。12月に富山に引っ越し、次の年の4月に小学校に入るまでは家で過ごしていました。雪の降らない広島市から雪がどっさり積もる富山市に引っ越してきた番ちゃん。雪の多さに衝撃を受けましたが、それがすごく楽しかった。除雪の手伝いをしていると、いつの間にか雪遊びにかわっていて、たまった雪でカマクラを作ったり、二階から落ちてきた雪で滑り台を作ったり、とにかく雪で遊ぶのが楽しくてたまらなかったのです。 そうして、4月にピカピカの1年生として富山の街中の西田地方小学校に入学しました。入学式の日、周りの子はみんな君が代を歌っているのに、1人だけ歌えなくてショックでした。実は、みんな保育園や幼稚園の卒園式で君が代を歌っているので歌えるのですが、引っ越してきてから保育園に行っていなかった番ちゃんは君が代が歌えなかったのです。 最初の頃は、広島弁が抜けないのも苦労しました。どうしても、「〜じゃけえ」等の広島弁が出てしまうのです。私からすると広島弁カッコいいなぁと思うのですが、小学1年生の番ちゃんはみんなとちがう言葉を話すのが嫌で嫌で仕方がなかったのです。 でも、そこは順応が早い小学生ですから、あっという間に富山弁にも慣れ、友だちもできました。習い事はそろばんや習字をしましたが、長続きしませんでした。サッカーや水泳もしましたが、ハマるほどではありませんでした。ただ、冬に連れていってもらうスキーだけはずっと好きでした。最初は兄がスキーを買ってもらったのですが、そのおさがりでもスキーをもらえた時の喜びはとても大きかったのです。 小学生の時に好きだったアニメはガンダムや銀河鉄道999、漫画はキャプテン翼やキン肉マンを読んでいました。ピンクレディはケイちゃん派でした。 中学校ではテニス部に入りましたが、すぐに幽霊部員になってしまいました。冬だけスキー部があるのですが、こちらは楽しくて大好きでした。校区には富山の中心商店街の西町があるので、しょっちゅう西町をウロウロしていました。必ず寄るのはゲームセンターとマツヤでした。 勉強はあまり好きではなかったのですが、唯一好きな教科は美術でした。特に彫刻が好きで、空間で何か作っていくときは時間を忘れて没頭できるのでした。それは庭師になった今も同じで、庭の設計をしている時は食べるのも煩わしいくらい夢中になる番ちゃんなのです。 中学時代の悩みは背が低いことでした。一生懸命牛乳も飲みましたが効きませんでした。特にやりたいことが見つからず、将来自分は何をしようかと思いましたが、そこまで深刻にはなりませんでした。勉強は全然できなかったけれど、一緒に遊んでいた子が塾に行くと言い出し、遊ぶ相手がいなくなるから自分も行くかなぁというノリで中3から塾に通い始めました。ご両親にはせっかく塾に行くなら進学校を目指しなさいと言われ、富山南高校の普通科に合格しました。 ところが、高校に行くと、また勉強したくない症候群になって、無気力に毎日を過ごしていました。帰宅部だったので、部活に燃えることもなく、外でフラフラして、女の子に声をかけ、一緒にカラオケに行ったりしていました。ナンパした女の子たちは年上が多かったので、その子に車でドライブに連れて行ってもらったりもしていました。高校の時、唯一得意だったのは書道です。高校では芸術教科は書道、美術、音楽から1教科選択するのですが、番ちゃんは書道を選びました。あれ?美術じゃないの?と思うかもしれませんが、番ちゃんにしたら書道も美術のような感覚でした。字じゃなくて、絵だと思って筆を走らせると、とても素敵な作品になるのです。そういうわけで、高校時代、番ちゃんの書道の成績は常に1番でした。 そんな感じで毎日を過ごしていた番ちゃんでしたが、高3の時付き合っていた彼女が大学に行くと言い出して、一緒に勉強するようになりました。しかし、それまでほとんど勉強してこなかったので、理系教科はとんとわからず、とにかく暗記教科で受けられるところを目指そうと、入試科目が国語、日本史、生物で受けられる北海道の大学の社会情報学部を受験して見事合格。こうして、札幌に近い江別市で番ちゃんの大学生活は始まりました。 社会情報学部ということで、当時は今ほどメジャーではなかったコンピューターを勉強しました。レポートは全部フロッピーで出さなければならなかったのですが、これでコンピューターが嫌いになりました。というわけで、今も設計は全部手書きでしている番ちゃんなのでした。 この頃、世の中はスキーブーム真っ只中でした。小さい時からスキーだけはずっと好きだった番ちゃんですから、迷いなく体育会のスキー部に入りました。基礎スキー部だったのですが、ジャンプやクロスカントリーもやらされました。夏場は陸上トレーニングでとにかく走らされましたが、今回は途中でやめることはしませんでした。とにかく、スキーが好きで、スキーがうまくなりたいという想いが強く、スキー三昧の日々を過ごした4年間でした。 そんな中、腰痛の後輩が大会に出られなくなり、急遽代理で大会に出場したことがありました。なんと、その代理出場の大会で番ちゃんは優勝し、表彰台に上がってしまったのです。この表彰式の快感が忘れられず、もっともっとスキーがしたい、もっともっと上手になりたいと思うようになりました。 こうしてスキーへの想いを残したまま就職した番ちゃん、冬が近づくにつれ、スキーがしたいという想いが抑えられなくなってきました。そして、就職1年目の12月に会社を辞めてしまいます。どこかスキー場でインストラクターができないか、そう思って電話したのが牛岳スキースクールでした。別のスキースクールには知り合いもいたのですが、全くしがらみのない所でやってみたい、そう思ったのです。 スキースクールに来ているインストラクターの中に、植木屋として独立した人がいて、夏場アルバイトに来ないかと誘われたことで、スキーのオフシーズンには植木屋で仕事を始めました。親方が厳しくて、やめようかと思ったこともありましたが、植木屋の仕事自体はとてもおもしろくて肌に合っていました。 その頃、番ちゃんは選手として大会にも出ていました。上位を目指して頑張っていましたが、ある時、左足首を捻って骨折。このことでスキーの大会が怖くなってしまいます。普段滑っている分にはいいのですが、もう選手としては滑れない、そう思って大会に出るのはやめました。ケガをしたこともあって、植木屋も辞めました。その後は、スキーのオフシーズンは森林組合で木こりとして仕事をすることにしました。 森林組合で働きながら冬はインストラクターを続けていましたが、選手をあきらめた後は向上心がなくなって惰性で続けているような感じでした。でも、現スキースクール校長の三井智さんに「指導員とってこいよ」と言われ、指導員の資格を取ってから、考えが変わりました。それまではとにかく自分が早く滑るスキーを目指していたけれど、教えた相手が上手に滑ることができるスキー、そして自分自身もきれいに滑ることができるスキー、そういう視点に変わったことで、またスキーが楽しくなってきたのです。指導がうまくいかなかった時は、原因は何かなぁと考える、そして、次に教えた時に、その人が上達したら本当に嬉しい、そう言ってとても優しい笑顔になる番ちゃんなのでした。 森林組合では普通の植木屋ではできないような仕事を覚えることもできました。こうしてGardener(庭師)としても、Lumberjack(木こり)としても技術を磨いた番ちゃんは、2017年、44歳の時に、Ban Gardenとして独立したのです。 庭のことを考え始めると止まらなくなる番ちゃん。木の中でいちばん好きな木は松の木です。今は松を切ることの方が多いですが、松を植えて、和風の庭をトータルで作りたい。造園だけでなく、門やフェンス、ウッドデッキ、カーポートなどトータルエクステリアとして庭の演出をしたい、考え出すとワクワクがとまらなくなく番ちゃんです。今、和風の庭は海外でも人気があるので、コロナが明けたら海外で番ちゃんの庭が見られる日が来るかもしれませんね。 そんな番ちゃんがいちばんホッとできる時間は、家のリビングでビールを飲む時間。外に泊まるのは好きではなく、とにかく家が大好きです。14歳の息子さんもどこに行くより家にいるのが安心するそうです。とてもあったかくて仲良しの番ちゃんファミリーなのです。 番ちゃんは、自分でデザインするのも好きです。番ガーデンのТシャツ、帽子など、とても評判がよく、売り切れになってしまったので、今新しいデザインを考えているところです。皆さんもBan Gardenのロゴを見かけたら、素敵な造園屋さんを探してみてください。 そして冬は牛岳で番留先生のレッスンを受けてみてくださいね。 番ガーデンのキャップをかぶって 牛岳温泉スキー場牛岳スキースクールにて |